いまタクシードライバーが稼げる職業……は幻想! 稼ぐためにはアプリ時代に適応する必要アリ!!

2024.05.22 06:20
この記事をまとめると
■タクシー運転手が儲かっているという報道が一部であるがそれは限定的な話
■もともと「稼げる運転士」だった人が配車アプリを使いこなしてさらに売り上げを伸ばす例が目立っている
■タクシー運転士として安定して稼ぐためには「営業センス」と「営業努力」が必要
タクシー運転士が儲かっているというのは本当か?
  2024年4月から影響が本格化するとされていた「2024年問題」が顕在化する以前から、おもにトラック運転士によるタクシー運転士への転職が目立っているとお伝えしたことがある。ある事業者ではタクシー運転士志望者の4割ほどがトラック運転士だったという話も聞いた。
  2024年に入ったときぐらいから、メディアでは「タクシー運転士が儲かりすぎて笑いが止まらない」という報道が目立つようになった。新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き、街に人が溢れるようになるだけではなく、世界から日本をめざすインバウンド(訪日外国人客)が戻り、タクシー需要が戻るなか、コロナ禍となり離職した運転士が戻ることもなく、新規採用も思うように進まなかった結果、極端なタクシーの稼働台数不足が発生した。それでも需要が戻っているので、需要と供給のアンバランスな状況が続き、タクシー1台あたりの営収(営業収益)が伸びた結果、「タクシーはいま稼げる」ということになったようだ。
  当時でもタクシー運転士に話を聞くと、「タクシー配車アプリサービスに参加している大手事業者の一部運転士は確かにウハウハと聞いたことがあるが、それは限定的」とも聞いた。
  その後、まだまだ繁忙時間帯では稼働不足状況は否めないものの、街にタクシーが戻りつつある。筆者は月に数日早朝時間帯に同じ場所で定点観測を行っている。メディアでタクシーの極端な稼働台数不足が報じられたころには、確かにその時間帯であっても「空車」のタクシーをほとんど見かけることはなかった(もちろん稼働台数自体も少ない)。近くに飲食店街やラブホテル街などがあり、早朝でも「需要」が見込める地域なので、帰宅する利用客を狙ってタクシーが集まってくるのであるが、それでも空車のタクシーはまずいなかった。
  その後、タクシーの稼働台数が目に見えて多くなったなぁと感じるようになった。空車のタクシーが目立ってきたのである。前述したような場所なので、お客が見つかるまでグルグルと飲食店街などの周囲をまわってお客を見つけるのがタクシー営業の「いろは」なのだが、筆者の前を何回も同じタクシーが空車表示のまま通りすぎるようになっていった。
  さらに、ある傾向に気がついた。最大手のタクシー配車アプリサービスに加盟している事業者タクシーの「実車(お客を乗せて走っている)率」が高いのである。深刻な稼働不足で道路わきで空車のタクシーを待っていてもなかなかこないなか、タクシーを頻繁に使う人ほど、東京23区内、いや都心部であっても配車アプリでタクシーを呼ぶようになった。配車マッチング及び乗車地到着まで待つ時間はそれなりにかかるが、「あてもなく空車のタクシーがくるのを待つよりは……」ということで利用者が一気に増えているようである。
  いわゆる「羽振りのいい運転士」というのは、そもそもタクシー運転士としての素質(ただ街を流していればいいというわけではない。そこには時間帯によって流すエリアを決めたり、都内ならばお客を郊外の目的地まで送り届けたあと、そこからどの通りがお客がいそうかを判断し、都心まで戻るルートを即座に決めるといったことなどができる人)があり、「稼げる運転士」だった人が配車アプリというデジタルツールをさらに使いこなして売り上げを上げていることが目立っているように見える。
  もちろん、異業種からタクシーの世界に新たに足を踏み入れた新人運転士でも前述したような素質があればすぐに稼げる運転士になることができる。それは、配車アプリサービスに加盟している事業者ならばさらに稼ぎやすい環境が整っていることになる。
デジタルツールがあっても努力なくして報酬は得られない
  タクシーを隔日勤務で連続20時間ほど乗務すると、月に最高で13勤務となる。ご存じのとおりタクシーの売り上げは法人タクシーならば、歩合給となり過去には所属する事業者と折半が一般的であった。最近では事業者によって歩合に差が出ているようだが、仮に運転士が売り上げの6割をもらえるとすると、1回の出番で7万円稼いだとしても単純計算では4万2000円となり、月13回乗務すると54.6万円が運転士の収入となる。ただ、乗務日には日曜や祝祭日も含まれるのが原則であり、平均営収で7万円、ましてや平均10万円など、高営収を誰でもキープできるかというと甚だ疑問が残る。
  仮に「月100万円稼げた」とすると、月の総売り上げは約170万円弱が必要となる。これを13勤務で稼ぐとなると、1回の出番で平均約13万円稼ぐ必要がある。さらに20時間乗務したとすると、1時間当たり平均で約6500円を稼がなければならない。これを無理な金額といい切るつもりはないが、タクシー運転士の多くがこのような「夢の収入」を得られることは厳しいといわざるをえないだろう。
  少し古くなるが2022年の東京都のタクシー運転士の平均給与は年間推計額で417万2400円となっている。月収100万円なら1200万円、その差は大きい。もちろん、タクシー運転士という仕事は働き方で大きく収入が異なる仕事である。現状では高齢運転士も多いので、「年金プラスアルファ」的な収入を見込んでいればそんなに無理な乗務はしないだろう。逆に現役子育て世代などではバリバリと日々乗務しているに違いない。
  ただし、あまりにも「稼ぐぞ」などと力んで乗務すると、かえって思った収入が得られないとか、事故や乗客からのクレームが目立ってしまうこともあるようだ。
  配車アプリなどがなかったころには、タクシー乗務はまさに「ギャンブル」的要素が多かった。狙いを定めると空振りが目立ったりする半面、思いもよらないところで長距離利用客(ロング客)に遭遇したりすることも多い。そこは長く乗務して経験や勘を磨いて調整できるようにすることが高営収への唯一の道ともいえたのだが、いまは配車アプリという強いツールをもつ事業者が出てきて、以前よりは高営収を得やすい環境は整っているが、そこに個人の資質などが加わらないと、思うように稼げないのもまだまだ現実となっている。
  タクシーという仕事はただ道を流していればいいというわけではない。「営業センス」のようなものが必要となり、自分なりのルーティーンを決め、自分なりの乗務スタイルを確立する必要がある。それがいまどきでは、たとえばアプリ配車が出やすい時間やエリアを分析して調整するなど、いまどきの「営業努力」も必要になってくる。
  あるアプリでは、アプリ配車で利用客から高いスコアを一定程度もらうと、目的地までの距離が長いマッチングを優先的にまわしてくれるようになると聞いている。航空会社のマイレージではないが、そうやってステイタスを上げると、より稼げる仕事もまわしてもらえるようになるので、収入も高めで安定していくのである。

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