日本版ライドシェアは「普通免許」でできる「バイトのタクシー」的な位置づけ! 料金もタクシーと同じで積極的に利用する理由はナシ

2024.06.04 07:00
この記事をまとめると
■2024年4月から日本でも「ライドシェア」サービスがスタートした
■タクシー会社が運営するため実質的には普通免許のタクシー運転手といった内容
■今後は海外同様のサービスに足並みを揃えていくだろう
日本版ライドシェアは普通免許でタクシー運転手ができるだけ?
  コロナ禍が明けたことと円安の流れとの相乗効果によって、日本に外国人観光客がわんさか訪れてきていることで、各地の観光名所や有名スポットが賑わっています。私の住んでいる浅草は、一昨年辺りから外国人観光客が増え続け、いまでは中心地を歩く人の半数以上は確実に外国人という状況になっています。
  そうなると問題になってくるのが交通手段の充実度でしょう。お目当ての場所に行きたいときに、もっとも手軽にその場所のすぐ近くまで届けてくれるタクシーは、外国人観光客も多く利用する手段だと思いますが、利用者が集中する場所や時間帯では「待っていても来ない」とか「アプリで配車できないといわれる」とか、稼働するタクシーの数が不足しているという問題が浮き彫りになっています。
  その状況の緩和のため、今年の4月から「ライドシェア」というサービスがスタートしました。
  ここでは、その「ライドシェア」とはどんなサービスなのか、運転手として稼ぐにはどうしたらいいのか、などについて話してみたいと思います。
■「ライドシェア」とはどんなサービス?
「ライドシェア」というのは、タクシーのように人を乗せるための「普通二種免許」を持った専門の運転手が専用の車両で運行するサービスとは異なり、一般の「普通免許」と自家用車でお客さんを乗せて営業できるサービスです。
  昔風のいい方をすれば「白タク」というやつで、以前であれば「普通二種免許」をもたない人が乗客を乗せて運賃を徴収するのは違法でしたが、それが今年の4月に解禁されて「ライドシェア」のサービスが始まりました。
  2023年に「自家用車活用事業」という「ライドシェア」についての制度が急ピッチで整備され、「自家用有償旅客運送」の一部として、「日本版ライドシェア」と銘打ってサービスが開始されたのです。
■解禁したとはいえ無認可での営業は違法
  日本での「ライドシェア」サービスが解禁されたとはいっても、いまでも道路運送法第78条で「営業許可を持たない個人が自家用車を使って有料で旅客を運送する」行為は(一部を除き)禁止されています。それに違反した場合は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処されます。
  そのため、登録すれば個人が自由に営業できる「Uber」のようなものとは異なり、きちっと国に認可を申請する必要があるんです。
  また現状では「ライドシェア」はまだ「自家用有償旅客運送」の枠の一部として、公共交通やタクシーの運行が不足する状況に限定したサービスとなっています。
■実質は普通免許のタクシー運転手?
「日本版ライドシェア」の運営は、国土交通省が営業を許可したタクシー会社がおこないます。
  これは解禁前にもっとも大きな問題とされていたタクシー業界の反発に対する妥協案という側面も大いに感じますが、運営に際する乗客の安全面などの不安を解消するための有効な方策ではあるでしょう。
  それはともかく、タクシー会社がすべての運行管理をおこないますので、ドライバーはまずタクシー会社にライドシェア要員として応募をおこない、雇用してもらうことになるのです。
  現状では、営業できる時間帯はかなり限られていますので、実質は普通免許で運行するタクシー会社雇用のパートタイマー・ドライバーといったところです。
  この時点で海外のライドシェアのイメージとはだいぶ違うなという感じがしますが、安全面を最優先させたうえでのタクシー不足問題の解決策として、程よい落としどころかもしれません。
営業地域も時間も制限されているから大きく稼ぐのは難しい
■「日本版ライドシェア」を利用するには?
  客としてライドシェアを利用する場合は専用のアプリからオファーを行います。
  現在ライドシェアの利用が可能なアプリは以下のふたつです。
・タクシーアプリ「GO」 ・配車サービス「Uber」
  使用方法は、どちらのアプリもタクシーの配車リクエストをおこなう過程で「自家用タクシー」を選択するというものです。
  実際のところライドシェアの営業はタクシーが不足する時間帯のみなので、それ以外の時間帯では選択肢に現れません。
  料金もタクシーと同じものが適用されますので、いまのところライドシェアをわざわざ選ぶ理由はあまりないように思います。
  運営がタクシー会社ということで、運行前の飲酒チェックや安全運転の指導などもおこなわれているようですが、利用者の意識としては、まだ私服ドライバーの自家用車に乗り込むには不安があるでしょう。
■「ライドシェア」で稼ぐには?
  では、営業して稼ぎたいと思った場合、配達の「Uber Eats」のように空いた時間で充分な収入が得られるのでしょうか? ザッと調べて得られたデータを並べてみると……
・営業可能地域
・東京都(東京23区、武蔵野市、三鷹市) ・神奈川県(横浜市、川崎市など) ・愛知県(名古屋市、瀬戸市など) ・京都府(京都市、宇治市など) ※2024年4月現在はこの地域のみですが、今後は北海道、大阪など16道府県でも展開予定だそうです。
・営業時間
  営業できる時間はタクシーが不足する時間帯で、細かくは各地域で異なりますが、東京都の例では下記のようになっています。
 月~金:午前7時台~午前10時台 金・土:午後4時台~午後7時台 土:午前0時台~午前4時台 日:午前10時台~午後1時台
・報酬
  あるタクシー会社の場合の報酬は、基本が時給1400円だそうです。ただし、1時間の売り上げの半分が時給(1400円)を越える場合はそれが報酬となるので、効率を上げれば収入が増える仕組みになっているようです。
  実際に営業をおこなっている人の実感としては、月に20日くらい営業して20万の収入があればそこそこ頑張ったほう、という感じのようです。そこからガソリン代などの走行経費を差し引くと、ざっくり10万〜13万円くらいが純利益となります。
  1日3時間くらいの空き時間でこれくらいの収入があれば満足なのか不足なのかは当人の判断になるでしょう。
  このように、「日本版ライドシェア」の現状は、タクシー不足の解消を目的として、普通免許所持のドライバーが自家用車で運行できるように特別認可された限定運行のタクシーという状態です。
  ただし、まだサービスがスタートしたばかりなので行政サイドも試験運用という意味合いもあるでしょうし、いずれは海外のライドシェアサービスと足並みを揃えていく方向で徐々に整備を進めていくでしょう。数年後にはもっと気軽に営業の参入ができるようになっているかもしれません。
  そして、そのころには利用者の意識としてもいまよりも身近な存在となっているでしょうから、利用の抵抗は少なくなっているかもしれません。個人的には、夜通し遊んだ明け方の帰宅時にタクシーを求めて徘徊しなくていいようになってくれるなら、普及を歓迎したいですね。

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