外国人のタクシー&バス運転士が増える可能性大! 海外じゃ当たり前の光景が日本でも広がるか

2024.04.18 06:20
この記事をまとめると
■自民党は自動車運送業を含む4つの分野を新たに特定技能制度の対象として了承した
■今後は外国人もタクシー運転士になることができる
■インバウンドにとっては外国人運転士が増えることは喜ばしいことかもしれない
外国人のタクシー運転士が増える
  報道によると自民党(自由民主党)は、外国人労働者の受け皿となる「特定技能制度」について、自動車運送業や鉄道、林業そして木材産業の4つの分野を新たに対象とする政府案を了承したとのこと。
  バスやタクシー、トラック輸送業界では慢性的な運転士不足が続いているが、これに「2024年問題」がさらに拍車をかけるのではないかといわれている。別に外国人労働者を長時間働かせようというものでもないが、時間外労働が厳しく規制されるわけだから働き手を増やさないと現状維持すらままならないのが実状。そこで公共輸送機関の現状維持などの観点から外国人労働者に門戸を開放するといった流れのようである。
  タクシー運転士に限っていえば、先進諸国ではすでに「移民の多い仕事」となって久しい。タクシーやバスといった公共輸送機関の最大にして唯一のサービスは、「安心・安全に利用客を目的地まで送り届ける」こととなる。そのようなこともあり、制服を着て言葉使いにも気を配る丁寧な接客を心がけるといった日本のタクシーやバス運転士の姿は、一部新興国で採用しているところもあるものの、世界的には極めて稀となっているものといっていいだろう。
  つまり、移民したばかりで移民先の公用語が満足に話せない状況でも就きやすい仕事であり、しかもタクシーは歩合給なので収入も期待できることが大きいようである。ドイツではもちろんドイツ人運転士もいるが、トルコ人を中心とした移民の運転士が多い。アメリカでは地域によってバラつきがあるようで、筆者の経験した限りでは、ニューヨークでは一般的にはインドなど南アジア系の運転士が多いようだ。
  筆者は以前、ニューヨークでパキスタン系の運転士のタクシーに乗ったことがある。日本人であると伝えると、かつて日本で中古車ビジネスをしていて日本語が話せる運転士がいると、わざわざ車内からその友だちに電話して「ほら、日本語で話して盛り上がれ」といってきた。
  この日本語の話せる運転士の友だちと話が盛り上がり、後日ジョンFケネディ空港まで行くときの予約をして電話を終えた。
インバウンドには外国人のほうがコミュニケーションしやすい
  ちなみにニューヨークで常宿としているホテルで空港までのタクシーを頼むと、おそらくメキシコ系と思われるリムジンサービス会社のリムジンを手配される。タクシー料金とほぼ変わらないのでとくに気にすることもなく利用している。
  たいていはリンカーンやキャデラックといった、高級セダンか高級SUVなのだが、あるとき夕方に空港へ向かうのでホテルへ戻ると、ホテル前にハリウッドの有名俳優が乗るような超ロング仕様に改造されたリムジンが停まっていた。「誰か有名人でも近くにきているのかなあ」と思ってフロントの人に声をかけると、申し訳なさそうに、「とんでもないのがきた」と先ほど見かけたリムジンに案内された。
  人生のなかでおそらく今後も乗ることはないだろうと思い、空港に着いたときに運転士に記念撮影をお願いしてしまった。どうやら、リムジンは本来の需要(パーティ会場などへの送迎)が発生するのはやや夜遅い時間のようで、それまで待機している時間を利用して空港までの送迎サービスを行っているようであった。
  いまは最寄りまで地下鉄が延伸しているので地下鉄を利用しているが、かつてマンハッタンにあるニューヨーク国際自動車ショーの会場の行き帰りはタクシーを利用していた。朝は問題ないのだが、夕方はちょうど運転士の勤務交代のタイミングになるそうで、タクシーがなかなかつかまらなかった。
  あるとき、道端でタクシーを待っていると、黒いリンカーン・コンチネンタルが停まり、「ホテルまで送ってやるよ」といってきた。ロシア系の人が運転していたので、ロシア系のリムジンサービス会社の車両なのだろう。いまどきでいえば「ダイナミックプライシング」のようなものでやや料金は高かったが、許容範囲なので送ってもらうことにした。
  ロサンゼルス地区はたいていレンタカーで移動するのだが、夜に飲酒を伴う会食があったのでタクシーを利用して会場に向かうことにした。ロサンゼルス地区では流しのタクシー営業はないので、常宿近くの5つ星ホテルまで向かい、そこのタクシー乗り場で待機していた車両に乗り込んだ。見たところ運転士は白人だったので、つたない英語で話しかけたのだがなかなか反応してくれない。そして目的地の住所を見せてもピンとこない様子。なんとかコミュニケーションをとると、東ヨーロッパから移住してきたばかりとのことであった。
  ロシアにおいて、大国意識の高いロシア人は観光業に従事でもしていない限りは、街なかで英語を積極的に話す人は少なく、逆に積極的に英語を話してくる人は周辺国から出稼ぎにきている人が目立っていた。これはタクシーや送迎サービスの運転士でも傾向は同じであった。
  いずれも、いまのようにライドシェアサービスが本格普及する前の話。いまではスマホの配車アプリを使えば、ドライバーとは料金の支払いを含め会話の必要もなく目的地まで移動できるのだから、利用者として使い勝手は格段によくなったし、ドライバーも多言語の飛び交うアメリカあたりではとくに仕事がしやすくなったことだろうと感じている。
  ただ筆者はタクシーが好きなので、いまでもタクシーを積極利用するようにしている。最近では日本人とわかると自分のスマホの翻訳アプリを使って積極的にコミュニケーションしてくる運転士もいて、英語が公用語ではない国でも目的地まで会話が盛り上がることもある。テクノロジーの進化は生活を豊かにすることを体現する瞬間である。
  日本でも今後、外国人運転士が本格的に働きだせば、「言葉は大丈夫か」といったネガティブな報道も目立ってくるかもしれない。ただ、日本の周辺国や東南アジアの国々では、若い人ほど少なくとも日本人以上に英語が堪能なことが多いので、インバウンド(訪日外国人旅行客)にとっては外国人運転士が増えることは喜ばしいことかもしれない。
  いずれにしろ日本でも、今後はタクシーだけではなく、バスに乗っても外国人運転士が運行業務についているといった姿が珍しくなくなることだろう。

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