19歳から二種免許の取得OKになったがやっぱり出てきた問題! タクシーもバスも運転士に重要な「二種の心構え」とは

2024.04.12 06:20
この記事をまとめると
■2022年5月から二種免許の取得要件が緩和されて若い人でも職業ドライバーに就く人が増えた
■しかし若い人のほうが経験が浅いので事故する確率が高いとされている
■働き手が圧倒的に不足しているため今後は人材管理が主に重要になってくる
これまでタクシーやバス運転士は比較的年齢層の高い人の職業
  2022年5月13日より、二種免許の取得要件が緩和された。緩和前は21歳以上で普通免許の保有が3年以上だったのだが、これが特別な講習を受講した場合に限り、満19歳以上で普通免許保有1年以上となった。
  実際各地のバス事業者やタクシー事業者で19歳の運転士がデビューしたといった報道もあり、19歳に限らず若年層、そして女性など運転士の多様化がここのところ急速に旅客運送事業業界では目立ってきている。
  いままでタクシー運転士といえば、「オジサン」が定番であった。とくにタクシー運転士は不景気になると「雇用の受け皿」として、年配層にとって数少ない正社員雇用してくれる職種となるので、リストラや経営していた会社の倒産や店舗の廃業などを経てタクシー運転士となるケースも目立っていたからである。
  ただ、ある程度人生経験していないと接客接遇面でトラブルとなりやすいとうことや、タクシーの運転についても抑えめな運転が必要になるということで、「タクシー運転士は年配になってからの仕事」などともいわれているが、そこは個人差があり、年配運転士だからといっても客とのトラブルが頻発したり、事故を頻繁に起こす運転士もいるので、あくまで全体を見ての傾向といったところになるようだ。
  タクシーの絡む交通事故はテレビニュースや新聞で取り上げられることがあるが、2024年になってから東京都内では若年運転士が運転するタクシーによる人身事故のニュースが相次いだ。1月には大通りの交差点の横断歩道を渡っていた女子高校生が25歳の運転士が運転する直進してきたタクシーにはねられるという事故が発生した。2月にはJR新宿駅前で新宿駅を目指し横断歩道を渡っていた歩行者がタクシーの下敷きとなり死亡するという事故が発生した。そしてこのタクシーを運転していたのは23歳の男性であった。
  いずれも詳しい事故原因などは報道の段階では捜査中ということではっきりしていない。そして「若いから事故を起こす」ともいうつもりもない。ただ若さゆえに自分を過信してしまうという部分は否定できないものと考える。歳をとるとともに視野が狭くなったり、反応が鈍くなることもあり、スピードを控えたりするなど「穏やかな運転」になるのが一般的な傾向と見られている(もちろん相変わらず無茶をするひともいることは否定しない)。一方で若年ドライバーは視野も広く、反応もいいので知らず知らずに無理な運転をする傾向があり、しかも経験が少ないので事故発生リスクが高いとされている(もちろん慎重に安全運転を心がける若年ドライバーもいる)。
技術のみでなく「二種免許」の心構えを学ばせる必要がある
  筆者の地元の路線バスにある日乗車すると、目に見えて若い男性運転士が運転していたのだが、その運転は「バスってこんなに速いんだ」と思うぐらいに、アクセルを吹かすなど路線バスにしてはかなりアグレッシブな運転をしていて、「ちょっと怖いなあ」と思うぐらいであった。一種と二種免許の違いは危険予測範囲を広げるところが大きい。運転していても、目の前の信号も確認するが、交差する道路の横断歩行者信号も確認して点滅しているようならば、減速して黄色となり赤になって停車するように調節したりするのが二種免許の運転だと聞いたことがある。
  ただ、この辺りは「禅問答」のようなところもあり、本当に「二種免許と一種の違い」について理解できていないと体現できないものともいえる。年配運転士だったのだが、筆者でもわかるぐらい危険因子を見逃すような危険予測範囲が狭い運転をしている路線バスに乗っていたときに、「大丈夫かなあ」と思っていたら、案の定自転車に乗った女性をはねるという事故を起こした。
  最近は二種免許でも実技試験免除(教習所の検定試験でOK)となっており、運転士不足もあるのか、決められた期間内に必ずといっていいほど二種免許が取得できることもあるようだが、そのため「二種免許とはこういうものか」という悟りが開けないまま教習所を卒業している人も目立つように感じている。
  実際にバス、タクシーに限らずに運転士として一本立ちしていざ営業運行を始めると、他人を乗せて走ることへの恐怖みたいなものを感じて辞めていく運転士も少なくないとも聞いている。わかりやすくいえば、自家用車とバスやタクシーを運転する時の意識には意外に大きな違いもあるのだ。
  教習所は運転技量を教えるところなので、バスやタクシーの運転士に求められるものなど、「プロドライバーとはどういうものなのか」といった部分は各事業者で指導していくべきものと考えている。体力的に無茶ができるがゆえに、本人が自覚していなくとも日々どこか無理をして乗務しがちになるのが若年層といえるだろう。旅客輸送業界にとって事故発生は最大のコストとなる。
  そのため業界としてはいままではあえて若年層の雇用は避けてきたようにも見えるが、働き手不足がここまで深刻になると、そうもいっていられなくなってきている。いままでは年配でしかも男性が圧倒的に多かったので、「あの人は事故をよく起こす」と個人の問題に捉えがちだったが、いまや働き手が多様化してきているのだから、受け手である事業者も多様な人材教育を含む運行管理が必要になってきているといっていいだろう。

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