日本でまさかの拳銃を使ったタクシー強盗発生! キャッシュレス化で現金をもたない仕組み作りが一番の解決策

2024.06.25 06:20
この記事をまとめると
■日本で拳銃を使用したタクシー強盗が発生したという報道が世間を騒がせた
■海外ではタクシー料金絡みで乗客と揉めて事件になるケースもある
■日本ではキャッシュレス化によって女性のタクシードライバーが増えている
いまどきのタクシーはそこまで現金をもっていない
  2024年5月29日夜、埼玉県川口市で拳銃のようなものを使ったタクシー強盗事件が発生した。当該運転士は犯人から発砲され重傷を負っている。いままでのタクシー強盗は刃物を使ったものが目立っていたなか、「拳銃のようなもの」を使い、しかも実際に発砲したこともあり、全国レベルで注目され、メディアも連日報道していた。
  この事件の直後、乗り合わせたタクシーのベテラン運転士によると、「あの運転士は脇腹を撃たれたみたいだね。見てのとおりヘッドレストから上は防犯のためアクリルで囲まれているので、強盗犯も頭に直に拳銃をつきつけることはできないからね。そのかわり運転席と助手席の間はスカスカでしょ。ここから拳銃つきつけて発砲したようだね」と話してくれた。
  乗車したのはトヨタ・クラウンコンフォートをがベースのトヨタ・クラウンセダンのタクシー。たしかにセンターコンソールボックスの上はただの空間となっており、運転士さんのいうとおりスカスカとなっている。これがいま都内辺りでは主流となっている、トヨタ JPNタクシーではクラウンセダンの比ではなくスカスカ感が増している。
  しかし、運転士さんは、「いまどきのタクシー運転士なんて現金持っていませんよ。キャッシュレス決済も増えてきているので、私なんかはつり銭としてトータルで1万円ぐらい持っている程度だよ」とさらに話してくれた。
  今回のタクシー強盗事件の報道でも、メディアは「いまどきはキャッシュレス決済が進み、昔ほどタクシーに現金はないのになぜいま?」ということも伝えていた。
  現金決済が主流のころは、給料日直後の週末など、都内ではタクシー1台あたりの営収(営業収入)が10万円前後になることも珍しくなく、そのほぼすべてが現金となっていたので、タクシー会社では自衛手段として現金を分散して保管するように指導していた。現金を分散することで、万が一の事態が起こったときに被害を最低限に食い止めるためである。
海外ではもっと恐ろしいことがよく起こる
  日本では「タクシー、現金、犯罪」というキーワードで連想すると、タクシー強盗をすぐに思い浮かべるが、海外、とくに新興国では乗客が逆に運転士からなんらかの被害に遭うケースも目立つ。筆者がよく遭遇したのは、メーターを入れずに価格交渉してくるケース。中国で過去には目立っていたのだが、空港のタクシー乗り場を出るときはメーターを入れるのだが、空港を出たところで停車し、電卓に数字を打ち込んで料金交渉をしてくる。
  最初は相手のいうがままであったが、慣れてくると自分の携帯電話に数字を打ち込んでディスカウント交渉するようになった。ただここで気を付けたいのが、ディスカウント交渉の「やめどき」である。あまりしつこく交渉すれば、その場に置いて行かれるだけならまだしも、仲間を集めて身ぐるみはがされるということもあったと聞いている(筆者は幸い経験していない)。また、乗車時に告げた目的地にはいかず、仲間のタクシー運転士も集まっている人気のない場所に行って、身ぐるみはがされるということもあるようだ。
  結局、料金で折り合いがつくとメーターをあげ、空車表示でタクシーは宿泊先に向かった。タイでは運転士は自衛のために刃物や銃を運転席に隠しもっているということで、命を大切にするのなら、文句をいうのもほどほどにするようにといわれたこともあった。
  タクシー強盗を減らすという効果もあるようだが、最悪の場合、料金トラブルで命を落とす可能性もある乗客の身の安全も保障するという意味でも、キャッシュレス決済は諸外国では効果を発揮しているようである。
  スマホを介して配車要請し、料金を登録したクレジットカードによるキャッシュレス決済にすれば、ドライバーの素性などが記録として残る。こうなると、運転士はなかなか乗客に対して「悪さ」はできない。降車後は乗車した運転士の評価が求められ、高評価の続く運転士はより良い仕事が優先的にまわってくる(日本のタクシー配車アプリも同じようだ)ので、タイの首都バンコクや、インドネシアの首都ジャカルタでタクシーやライドシェアに乗っても、怖い思いをすることはいまではまず起きなくなっている。
  日本ではキャッシュレス決済が進んだ結果もあり、最近では女性運転士が増えてきている。車内撮影用のドラレコ(ドライブレコーダー)もあり、さらに車両の現在位置など(場合によっては車内の状況をタクシー会社の車庫でリアルタイムで見ることもできるらしい)は、タクシー会社の車庫で把握することも可能となっている。つまり、現金が少ないだけではなく、キャッシュレス決済端末やドラレコ、デジタコ(デジタルタコグラフ)など、デジタルツールの普及で犯罪抑止効果が高まり、女性も以前よりは運転士として働きやすい環境が、日本では整ったということになる。
  諸外国ではアプリ配車やキャッシュレスが進んで、以前のような「料金交渉」など面倒なことが飛躍的に減少したといった程度しか改善が進んでおらず、日本との治安状況の絶対的な違いもあり、女性運転士を見かけたことはほとんどない。このまま女性運転士が日本のように目立ってくるかといえば、そこはデジタルツールでは解決できない部分にまで踏み込む必要があるように見える。
  タクシーにおけるデジタルツールの普及は、乗務する運転士の安全を高めるとともに、諸外国では乗客の身の安全も高めることにつながっており、世界的にはその事情や程度の違いはあるものの、タクシーを以前より警戒することなく利用することを可能にしていることは間違いないといえよう。

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