タクシードライバーになるための「地理試験」が廃止! 今後は「道を知らない運転士」が激増の可能性も

2024.04.11 06:20
この記事をまとめると
■2024年2月29日付けでタクシー運転手の「地理試験」が廃止された
■最近のタクシードライバーは道を知らない人も多く、試験の廃止にはマイナスな声も多い
■ユーザー側も今後は「タクシー運転士=道に詳しい」の認識を改める必要がある
タクシードライバーになるのに必要だった「地理試験」
  東京都内のタクシーについては、「道をよく知らない運転士が目立つ」といった不満が長い間目立っている。世界的に見ても面積の大きい大都市が東京であり、いわゆる都心を走るタクシーの営業区域は東京23区と、武蔵野及び三鷹市と広大なものとなっているので、道を覚えきれないとの話もあるが、利用者としてはついつい「東京の地理を知り尽くしたエキスパート」というイメージをタクシー運転士にもってしまうので、期待が高まってしまうことも、前出のような不満になってしまうのかもしれない。
  そんな状況に追い討ちをかけるかのように、2024年2月29日付けで東京都、大阪府、神奈川県においてタクシー運転士になるために必要だった「地理試験」が廃止されたとのこと。地理試験といっても、営業区域内のすべての道路を覚えるといったことはないので、地理試験をパスしたからといって道路をすべて網羅したというわけではないが、そうはいっても意外なほど難しい試験内容であるとも聞いている。
  今回の地理試験廃止への動きは、業界の働き手不足解消として、タクシー運転士になりやすい環境作りという側面も大きかったようだ。
  地理試験の廃止に関係なく、今後は地理に不案内な運転士が目立ってくることになるだろう。地理試験を廃止したことで、自分の営業区域の道に詳しくなるのには、いよいよ各運転士の自己努力となる。いままでも、乗務しないときでも都内で道を覚えるといった運転士もいて、道に詳しくなるか否かは個人に任される部分も大きかったといえる。しかし、ここへきて「タクシー配車アプリ」の普及により、さらに“道を知らない”運転士が増えそうだと筆者は考えている。
  タクシー配車アプリサービスのなかには、アプリ対応専用車を用意している。この専用車の運転士ならば、アプリサービス専用カーナビに表示されるとおりに乗客を迎えに行き、乗客がアプリ入力した目的地までカーナビの指示に従って運転すればいいので、理論的には道を知らなくても乗務することは可能である。
  また、一般タクシーでも都内はまだまだ稼働台数が十分ではないこともあり、流し営業のタクシーを拾うことなどは難しく、23区内、しかも都心部であっても配車アプリサービスを利用する人が増えてきている。
ユーザーもいままでの認識を改める必要あり
  諸外国ではすでにライドシェアの普及やタクシー配車アプリの普及で、道を知らない運転士が目立ってきている。ちなみに、タイの首都バンコクでは、ライドシェアサービスに多くのタクシーが参加している。また、インドネシアでは最大手タクシー会社が、日本より便利に使えるタクシー配車アプリを配信し、かなり普及している。
  このような状況なので、たまたまアプリを使わずにタクシーに乗って目的地を告げても運転士が道を知らないということになり、「お前のスマホでグーグルマップで調べて俺(運転士)に見せてくれ」といわれたことがある。言葉が通じにくいということもあるが、結果的に筆者のスマホの案内に従って目的地に向かうことになった。
  幸いにして都内でタクシー配車アプリを活用して乗車しても、運転士が目的地確認をしてくることがほとんどとなっている。登録したクレジットカード決済でキャッシュレス、しかも運転士に目的地を告げなくてもいいというのが配車アプリのウリなのだが、運転士に聞くと「乗客が入力するときは駅名やホテル名で入力するのだが、運転士の端末には住所しか表示されないので、念のため確認するようにしている」と聞いたことがある。
  つまり、配車アプリを利用しても、目的地に正確に着くかどうかは、ホテルなど有名な目的地以外は微妙ということになるようだ。
  タクシー配車アプリサービスに加盟している事業者では、運転士の稼ぎもかなりいいとの話が多いが、結果的には都内の地理に明るい運転士が、アプリサービスという新たなデバイスをさらに使いこなして稼ぎを増やしており、それはかなり限定的というのが実像と聞いたこともある。
  ライドシェアや配車アプリが普及したとしても、都内などでは流し営業が全面廃止になるわけではない。そして地理試験が廃止になったいまでは、営業区域内の地理に明るくなるのは完全に自己責任となった。となると、配車アプリサービスでは乗車した運転士の評価コーナーもあるので、評価の高い運転士はより稼ぎも多くなり、いま以上に運転士内でも勤務する事業者や運転士間で稼ぎに大きな差がつくことになりそうだ。
  そして、今後は「タクシー運転士=道を知り尽くしたプロの集まり」というイメージを利用者が変えていかなければならない。

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