株式会社10(以下、10INC.)は、2017年に代表取締役社長の佐藤が創業しました。当社は、事業会社のマーケティング職、エージェンシーのマーケティング/コンサルタント職、マーケティングリサーチ会社のリサーチャー職といった立場の違いから見えている景色や専門性が異なることを経験している人財の強みを活かした価値共創カンパニーです。10INC.のアセットである「人財」「テクノロジー」「コミュニティ」からよりよい社会のためにお客様のビジネス/マーケティング課題に伴走しています。
10INC.が「価値共創カンパニー」になるために、どんな背景や思いから今の私たちとなったのか—— 代表取締役社長 佐藤尊紀の思いと一緒に10INC.をご紹介します。
そもそも価値は、「消費者が決める」 もののはず
これまでは、マーケティングの主体はあくまでも企業やブランドであり、企業やブランドが顧客に対して行う一方的な「いかに売るのか」という経済活動であったわけです。昨今では、あらゆる商材でコモディティ化が進み変化も激しく複雑であいまいな市場において、むしろ消費者側が情報や選択肢を持つ時代になりました。それに合わせて機能性だけでは差別化がしにくくなり、よりストーリーやコンテキストの重要性が増してきました。
つまり従来型のやり方では通用しなくなってきており、マーケティングは顧客との関係性や共感、共体験を重視する方向へと変化しています。今後は、売り手と買い手、提供側と顧客、供給者と需要者といった主客関係ではなく、互いに知識経験を共有し合い、相互作用によって共創的に価値を創出していくという「価値共創」の考えが主流になっていくはずですし、それを体現していける企業こそ企業価値=社会における存在意義を高めていけると確信しています。
マーケティングに従事する中で見えてきたリサーチの課題。自らの手で現状打破すべく創業へ
創業者の佐藤は、キャリアにおいて一貫してマーケティングやリサーチに携わってきました。創業に至る思いを聞いていくと、10INC.の事業理解が深まっていきました。
佐藤:リサーチという仕事が好きであると同時に、業界の抱える課題やリサーチの扱われ方についてずっと問題意識を持っていました。「リサーチのモニター(対象者)を軽率に扱っていないか」「だからこそデータ(回答内容)の質や精度が低いのではないか」「日本の企業は量的データに傾倒し、逆に質的なデータ(ひとびとの本音や深層心理、その文脈など)を軽視していないか」「手法論にとらわれ過ぎて、かえって本質から遠ざかっていないか」「リサーチはもっともっと世の中で活用されるべきではないか」このような思いが募り、「自分なりのリサーチの在り方を追究したい」「業界や前例の破壊とあらたな創造を起こしたい」といった動機から、リサーチを事業の中核に据える企業を設立するに至りました。
ビジネスにリサーチは必要なものですが、たまに語られることのあるリサーチ不要論もあります。そして、リサーチの市場規模も日本は大きくありません。このような市場においてリサーチを事業の中核に据えた背景とは—
佐藤:リサーチや分析の力は、ビジネスに限らず、あらゆる意思決定や創造の場面で役立つ有用な活動・手法です。「リサーチ不要論」は、リサーチ自体が不要なのではなく「その人がすでに必要な知識や根拠を十分に持っている」または「外注するほどのリサーチが不要」なだけであり、リサーチ自体は間違いなく必要不可欠なものです。
リサーチの力で誰かの価値創造を支援し、また自社のプロダクトやサービスにも活かす、そしてその知見をまた自分たちのコンサルティングサービスにも活かしていく——そんなシナジーがグルグルするようなビジネスモデルを創業前から思い描いていました。
3つの事業からシナジーを生みだす。リアルとデジタルの融合で、リサーチを変える新たな一手
私たち10INCの事業は、大きく3つあります。
これらの事業開発背景は、「価値共創カンパニー」として成るべくしてBtoB(企業向けコンサル)と BtoC(消費者に直接的に商品やサービスを提供)の両方で事業を創りました。
① マーケティング&リサーチコンサルティング事業<BtoB>
企業のビジネス/マーケティング課題に対して、リサーチサービスやリサーチをベースとしたコンサルティングサービスを提供しています。特に、インサイト創出や価値共創の手法を得意とし、課題を深く理解した適切な設計と課題解決のための戦略策定・施策実行に至るまでの伴走型のコンサルティングを強みとしています。ベテランコンサルタント/リサーチャーが多数揃っています。
私たちは、リサーチの楽しさや価値をもっと広めていきたく、今までリサーチをしてこなかった企業/ブランドの方々にも、そしてマーケティングの域を超えて社会課題の解決のために、もっと活用されてほしいと切に願っていますし、そのための取り組みを積極的におこなっていきたいと考えています。
② リアルコミュニティ事業<BtoC>
一般の皆さんと直接つながり、商品・サービスのご提供や交流をおこなうリアルコミュニティ事業として、BARとキャンプがあります。これらをおこなっている理由は、社会のデジタル化がさらに進み、ますます分断化が進むであろう中で「人と人とがリアルにつながり共体験するコミュニティ」の重要性が増していくはずで、リサーチビジネスとの親和性も高いという考えがあったからです。
なぜBARとキャンプなのかというと、社内で熱く好きな人がいるので始めやすかったからというのも正直あります。もちろんそれだけではなく、ビジネスの観点として、BARは「都会的・商業的な場」であり、一方キャンプは「自然的・人間性回帰的な場」です。この2つの異なるコミュニティを構築し、連動・融合させていけたら面白いものが生みだせそうと思ったからです。
そして、リサーチの今後の在り方の一つとして、こういった自分たちで作った、あるいは自分達自身がその一部でもあるコミュニティを活用できるのではないかと期待しています。新しいリサーチの形であり、これこそが価値共創の一つの形なのではないかとも考えています。
③ オンラインコミュニティプラットフォーム事業
一つ目のコンサル事業とも連動したオンラインコミュニティの事業もおこなっています。具体的には、自社開発のオンラインコミュニティリサーチ(通称MROC)のプラットフォーム“MindSquare™(マインドスクエア)”、と、レビュー共有型SNSアプリ「Poskee」です。
オンラインコミュニティリサーチ(MROC)は、海外では大きな需要があるものの日本では発展途上の手法ですが、当社は最近の実績(案件数)だけではなくノウハウや分析力、システムのUIにおいても日本のエージェンシーの中でリードしていると自負しています。BARやキャンプのリアルなコミュニティに対して、こちらはオンライン上にコミュニティを構築し、アンケートや交流を通して共に価値を創出していく場になります。リアルとデジタルの融合によってさらなるシナジーを生みだせると期待しています。
今後は、これらSaaSビジネスをより拡大していくべく、さらなるシステム開発をおこなっています。具体的には伏せますが、リサーチ業界を変える一手になることを期待しています。
マーケティングに重要な2つのこと。真のリサーチプロ集団へ
ビジネスにとって「人財」は最も重要な会社の資産です。私たちが目指す会社=価値共創カンパニーにとって、人とテクノロジーはどちらも重要です。そして、リサーチのプロは「リサーチ(実査)だけ」のプロであってはならないと考えます。10INCが目指すプロフェッショナルは以下の2つの領域を掛け合わせたものです。
1. コンサルティング力/クリエイティブ力:リサーチによって得られたインサイトや示唆を価値やカタチに変えていく力。これは生成AIではまだ満たせない領域。
2. リサーチテクノロジー(ResTech):生成AIを含むテクノロジーを活用し、効率的かつ人間にはできないアプローチを実現する。
優れた人ほどAIや新技術を使いこなすと思いますし、一方で優れた技術・UIを実現するには優れたスキルや経験が必要だと思っています。だからこそ、私たちは、このどちらか一方ではなく、両方を追求していきたいと考えています。
「売る/買ってもらう」がゴールではない。目指すのは、ともに高め合う「価値共創」の関係性
冒頭にも記した通り、企業や売り手が価値を一方的に決めて提供するのではなく、「企業」と「生活者」が双方向の情報交換や交流などを通じておこなう「価値共創」によって、これまでにない価値が創り上げられていくはずです。社会課題の解決には、その本質を見極めることが重要で、我々がそのプロでありたいと思っています。
それを実現するために大切なこととは—
佐藤:私たち10INCだけで実現するものではなく、それこそクライアント企業や生活者の皆さんとの「価値共創」の関係性やプロセスの中で追求していくものだと思っています。
従来のマーケティングでは、「モノを売る/買ってもらう」という商品開発や販売がゴールとされてきましたが、上述の通り、「価値共創」というプロセスこそが重要になってくるはずです。
このプロセスを通じて関わる生活者やステークホルダーとの体験や絆こそがブランドを育て、あらたな商品サービスを生みだし、他者との差別化につながり、結果としてビジネスの持続的成長を実現すると考えています。このプロセスにおいて「相手の気持ちを理解する」というリサーチの本質がとても大事です。だからこそ、私たちはこの流れに伴い、共創型のリサーチへと進化させる必要があると考えています。「1回やったら終わり」ではなく、「問いすらも共に探す」「リサーチをループさせる」ような関係性を、そして「調査依頼元・調査対象者」ではなく、「価値共創パートナー」として、世の中の生活者や企業の皆さんと関わっていけたらと思っています。
私たちは、こういった考えに共感いただける企業/ブランドをぜひ応援していきたいです。
これまでにない視点で、社会から求められ共に寄添いあうビジネスへ成長していこうと模索されている時にこそ、ぜひ10INCを思い出してみてください。