私たちThinkingsは、「採用管理システムsonar ATS」を提供するHR Tech企業です。
「誰もが意志ある仕事をするために、誰もが使える方法をつくる。」をミッションに掲げ、「今ある何かをより良く変えたいと強く願い、意志を持って仕事に取り組む人たち」に選ばれるプロダクトをつくり、それを磨き続けています。
PM部門ゼネラルマネージャーの中筋に聞く、Thinkingsのプロダクトマネジメント後編です。
についてお話ししました。後編では、Thinkingsの今後につながる「開発ロードマップ」の策定から見えた、プロダクトマネジメントの難しさとやりがいについてお話します。
― 全体構想の立案と「開発ロードマップ」の策定
前編でお伝えした「PM組織の強化」に加えて、私はもう1つミッションを担っています。それは、事業拡大に向けた全体構想の立案・推進です。
現在のThinkingsは「sonar ATSを作ることに最適化された組織」になっていますが、さらなる成長に向けて大きく変えていく必要があります。数年後のThinkingsがどうあるべきかという視点で、PM部門内に限らない、プロダクト・テクノロジー・組織の観点での全体構想の立案と、その実現に向けた課題抽出・解決を推進しています。
新機能開発や、それに伴う技術的な課題の解消、開発スピードの向上など、取り組む内容は多岐に渡ります。特に、プロダクトの軸である「sonar ATS」をよりスムーズに改善していくために、「開発ロードマップ」を策定できたことは大きな一歩です。
―「攻め」と「守り」の視点で開発計画を推進
例えば、現在「sonar ATS」は旧バージョンのUI更新を進めています。加えて、新機能の開発、既存機能の保守などやるべきことは多く、どの開発作業を優先し、どのように進めるべきか、開発ロードマップの策定は非常に複雑です。
ここで重要になるのが、「攻め」と「守り」のバランスです。
PMでは、新しい機能を追加することで、収益を拡大し、顧客満足度を高めることを目指す「攻め」の視点と、既存の機能の安定稼働を確保し、顧客からの信頼を得ることを目指す「守り」の視点の両方を考慮しながら、開発ロードマップを作成しています。
「守り」も当然重要ですが、そこにエンジニアのリソースをつぎ込みすぎると、「攻め」はできません。「攻め」と「守り」のバランスをどのように取るかが、開発ロードマップを策定する際には重要なテーマとなります。今期は前期よりも「攻め」の比率を増やしていますが、来期はどうすべきか、何を優先すべきか、と全体を把握しながら日々検討しています。
― 全員が納得する、開発優先順位の意思決定方法をつくる
開発の優先順位を決めることは、どの会社でも難しい問題です。Thinkingsでは、どの部門の人が見ても納得できるよう、開発ロードマップの策定における「開発優先順位の可視化」を重視しました。
もちろんこれまでも開発計画を立てています。しかし、「攻め」と「守り」のバランスや、将来的にどのくらい収益が見込めるのかを計算した上で優先順位を決める、ということまでは出来ていませんでした。
そこで、sonar ATSユーザーからのリクエスト、営業部門からのリクエスト、PMが「攻め」として実現したい開発などあらゆる要望を一度すべて洗い出して、それぞれに対して「すぐに対応すべきか?」「どのくらいリソースがかかるか?」「売上への貢献度は?」といった、様々な観点から具体的に精査し、開発項目に優先順位をつけてリスト化することから始めました。
マーケティング、営業、エンジニア、それぞれが抱く「プロダクトがどうあるべきか」というゴールは、実は少しずつ違います。その全てを拾い上げて、お互いに違いを理解できるように数字で見える化することで、全員が納得した将来像を描くことができます。この開発ロードマップがあることで、部門を超えた合意形成のしやすさにつながりました。
― 緻密な計画よりも、柔軟性が重要
ロードマップの策定では、優先順位に加えて「柔軟性」にもこだわりました。プロダクト開発は本来「探索的」というか、常に変化する市場やユーザーのニーズに対応してロードマップを組み替えたり、アップデートしたりする必要があります。ただ、「sonar ATS」の場合、開発計画はあったものの、変更がきかない状態になっていました。
やりたいこと、やるべきことは多く、すべてに取り組めるほどのリソースはありません。今期中に必達すべきことは絶対にやる、一部はリソースに応じて対応範囲を縮小する、など状況を見て「やるorやらない」「どのくらいやるか」を決められるよう、計画にはバッファを持たせました。
プロダクト開発において、緊急度が高い案件が途中で発生し急いで対応する、ということはよくあることです。最初の段階で緻密な計画をつくることは、実はそんなに意味がない。もし突発的なことが起きた場合にそれが重要であれば、計画になくてもやるべきです。あらかじめバッファを作っておくことで、予期せぬ事態にも対応する余裕ができ、他の業務や開発計画への影響は小さくなる。心理的にも楽になります。
― キャリア採用機能の強化をチーム横断で企画・開発
ロードマップに基づいて進めた開発のひとつに、「キャリア採用機能の強化」があります。「sonar ATS」は新卒採用に強いというイメージを持たれますが、多くのお客様がキャリア採用でも活用してくださっています。「新卒採用も、第二新卒も、キャリア採用も、sonar ATSで一元管理できる」と改めて認識してもらいたいと考え、キャリア採用の機能強化を優先して進めました。どの部門からも開発の要望が高く、ユーザーにも会社にも利益が大きいとわかったことで、開発優先度が高まりました。
機能アップデートのために、キャリア採用で「sonar ATS」をご利用中のお客様からフィードバックをいただいた他、PMMでユーザーインタビューを実施しました。「何が必要か?」「市場やお客様は何を求めているか?」を分析し、実装まで進めました。この大型アップデートにより、より多くのお客様に包括的な採用管理システムとして「sonar ATS」をご利用いただけるようになったと考えています。
▲2024年12月にキャリア採用機能の大型アップデートを実施。
― Thinkingsのプロダクトマネジメントのやりがいとは
「sonar ATS」は、10年以上という長い歴史を持つプロダクトです。そのため、培ってきたイメージや、ユーザーの期待値、過去の開発経緯、ステークホルダーとの関係性など、新しい製品にはない複雑な要素が絡み合っています。このような歴史ある製品だからこそ、新しい機能を追加したり、既存の機能を改善したりする際には、様々な視点での検討が必要です。
こうした「一筋縄ではいかないこと」に向き合い考えることで、人は能力が伸びたり、考え方が深まったりする。それを敬遠する人もいると思いますが、こういう場面こそ実力が伸びるはずです。そういう意味で、「sonar ATS」を主軸とするThinkingsのプロダクトマネジメントは大きな挑戦であり、やりがいを感じています。
また、Thinkingsが向き合う人事・採用市場は、”人”に収斂される領域なので「絶対的な正解」は存在しません。採用も、タレントマネジメントも、人事評価も、「この人が採用できたから正解」、「こういう評価制度を取り入れているから正解」、なんて話はない。それでも、「多くの人にとっての正解」を見つけ、提案していく必要があります。その提案のひとつとして、「プロダクト」という形にして届けることができるのがHRTech企業です。
Thinkingsが提供するのは、採用を起点とした組織づくりのプラットフォームです。2,000社を超えるあらゆる業界、企業規模の幅広いユーザー企業様に、HRTech企業として価値を提供し続けるミッションがあり、他の分野とは異なるプロダクトマネジメントの面白さを感じています。
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今後も、プロダクトマネジメントの視点から、よいプロダクトを提供するためのThinkingsの取り組みについてお伝えしていきます。PMMメンバーがnoteも更新しています!ぜひご覧ください。
▼PMM組織2年目の挑戦:ThinkingsのPMMが取り組む2024年の重点ミッション
▼プロダクトの企画書ってどう書くの?
”売れる”プロダクトを発見するPMMのための “10の問い“とは