四川飯店の信念「菜心是愛」は日本語で「料理は愛情」思う心が人を育てます。

2024.12.16 14:30
四川飯店は、1958年の創業以来、“日本育ちの四川料理”を提供しています。大切にしているのは、「菜心是愛(ツァイシンスーアイ)」と「低賞感微(テイショウカンビ)」。菜心是愛は、日本語で言う「料理は愛情」で、「美味しく食べてほしい」と思う心が最高の調味料であり、その心あっての技術だという信念です。低賞感微は、「腰を低く」「賞賛する」「感謝する」「微笑みをたやさない」を表します。2024年12月、これらを体現する若き料理人・林優哉が、シンガポール『Shisen Hanten by Chen Kentaro』のシェフ・ド・キュイジーヌ(料理長)に着任します。林のこれまでを振り返りながら、四川飯店の人材育成についてご紹介します。




「自分のいるべき場所はここだ」と確信した四川飯店の料理
 生まれは中国福建省でも3歳で日本に来た林は、現在は日本に帰化しており、勉強するまでは中国語も話せませんでした。それでも中国料理の道を選んだのは、中国にルーツがあるからこそ。横浜で育ち、調理師学校卒業後は、姉が横浜中華街に開いていた中華料理店の厨房に立ちました。しかし、「もっとレベルの高いところでやりたい、一流の料理人になりたい」という気持ちが芽生え、中国へ短期の語学留学を敢行。帰国してからは有名な中国料理店を食べ歩きました。


 転機は、赤坂四川飯店のコース料理を食べた1月のある日です。
「感動の美味しさで、ここだ!と思いました。その日のうちに働かせてくださいと電話して、採用は調理師学校の新卒のみのところを中途で雇ってもらいました」
 中国四大料理の中でも四川料理であり、それをものにするのはこの店だという天啓でした。とはいえ林はすでに25歳。18歳の同期と洗い場に入り、19歳には「おい、林」と呼ばれる修行が始まりました。先輩の調理や作業を見て次に何が必要かを察し、言われる前に動きます。目の前の先輩に気を配れなければ、お客様のお茶がなくなっているのにも気づけない、つまり厨房の仕事もホールのサービスもすべては“思う心”に繋がっています。


「元気よく挨拶をするなど、基本の人間教育に厳しいのが四川飯店です。そして、料理は愛情だと叩き込まれました。食べる人の気持ちを考え、大事な人のために一品一品作るという姿勢です。極端に言えば、調理技術は何年かやっていればある程度身につきます。けれど、菜心是愛の心を込めて本当に美味しい一品に仕上げるのが、四川飯店なのです」
 目に見えない調味料・菜心是愛が、自分を感動させたあの日の料理にもあったと、実感する修行の日々でした。
日本から四川料理の美味しさを広める四川飯店の強み
 林が心を奪われた四川料理の魅力は、四川飯店の強みとイコールでした。四川飯店には、四川料理の豊かな食材や多彩な調味料と日常的に触れられる、伝統とネットワークがあります。四川料理は山に囲まれた内陸に発展した料理で、たとえば乾物も多種多様。それらが目を見張るラインナップで揃う四川飯店では、乾物を戻す技術一つをとっても独自のスキルとして身につけられます。
 他の中国料理店では見かけないような食材を手に取ることができるほか、研修制度として本場を訪れる機会も設けられています。四川省をはじめ中国各地に赴く「四川省研修」は、著名なレストランを訪問し現地スタッフと交流して研鑽を積みます。


 料理人としての成長を促す各種調理コンテストへの参加が奨励されるのも、層の厚さと若手を育てる懐のある四川飯店の特徴です。
「私も日本中国料理協会が開催する青年調理士コンテストはもちろん、中国料理調味料の企業などが主催するコンテストに参加し、何度か賞をいただきました。副賞の3泊4日の香港研修はいい思い出です。コンクール前には先輩から親身にアドバイスをもらいました。普段厳しい先輩も、そんな時は四川飯店ファミリーとして応援してくれるのです」


 日本に初めて四川料理を紹介した故陳建民の長男である四川飯店の二代目、故陳建一 は、とくに1990年代から2023年まで実に多方面で活躍しました。テレビ出演などマスメディア露出はもちろん、100人以上に料理を振る舞うホテル宴会でのパフォーマンスや教育機関への出張授業などには、アシスタントとして若手スタッフを順番に伴いました。
「日本中国料理協会の会長でもあった陳建一社長(当時)のアシスタントを務めることは、慣れた厨房以外の場所で最高の料理を作るための機転や調理の段取りなど、貴重な学びの現場でした。中国料理は、作るのは1、2分で仕上がるメニューも多く、準備が9割とも言われますから」




日々の努力がグローバルな舞台に繋がるのが四川飯店
 入社から11年目の2024年、赤坂四川飯店の調理主任となっていた林は、四川飯店グループが監修し現地パートナー企業が運営する『Shisen Hanten by Chen Kentaro』 料理長へ抜擢されました。私たちが「四川飯店シンガポール」と呼ぶこの店は、シンガポール一の目抜き通り、オーチャード・ロードに建つヒルトン・シンガポール・オーチャードの35階にあるミシュラン1つ星レストランです。2024年は10周年で、12月にリニューアルオープンするタイミングで林は就任します。
「海外で挑戦したい気持ちはあったので、大きなチャンスをいただけたと思っています。日本からは私一人で、陳建太郎社長がエグゼクティブ・シェフとして定期的に来星し指導、腕を振るいますが、スタッフはすべて現地の人間。調理場だけでおよそ20人いる現場を束ねます。日本とのおもてなしの解釈の違いなどがあるかもしれませんが、コミュニケーションを大切にして乗り越えていきたい。林ならできると見込んでもらえたこと、そういう会社であることが誇らしいです。料理長として全体を見る力を発揮し、シンガポールチーム一丸となって、菜心是愛を貫いていくのが私の仕事です」
 現場経験があっての入社ではありますが、一流を目指して11年目で海外旗艦店の要職に赴くのはサクセスストーリーかもしれません。しかし、林がチャンスをつかんだのは、技術を磨くのはもちろん、菜心是愛と低賞感微を怠らず、言葉の壁を乗り越える努力もした結果です。そして、誰にでもそのチャンスがあるのが四川飯店です。


「四川飯店は、料理人として、人間として、たくさんのことを学べる現場です。いずれ自分の店を持ちたい人も、他店など横のつながりもでき、コンクールで技を磨き、中国料理関連の業者さんとの人脈もできるなど、得るものが多いです。何より、料理は愛情と思う心で仕事をするのは楽しい、そう思えるのが四川飯店で働く最大の魅力です」
 四川飯店の魂を抱いて新たなステージに挑戦する、林からのメッセージです。

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