芥川賞作家・若竹千佐子の初エッセイ集『台所で考えた』11月25日発売! 主婦から、夫の死を経て63歳で作家に。何歳になっても面白い! 老いは自由! 人が生きる意味とは? 生活目線、共感必至の36篇

2024.11.25 09:00
河出書房新社
芥川賞受賞作『おらおらでひとりいぐも』が世界各国で翻訳。2022年にはドイツの権威ある文学賞、リベラトゥール賞を受賞。世界が注目する作家が、家事をしつつ考え見出した、台所目線の哲学!
若竹千佐子『台所で考えた』 河出書房新社

株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、若竹千佐子さん初めてのエッセイ集『台所で考えた』(税込価格1,595円)を2024年11月25日に発売いたします。


夫を亡くし、63歳で主婦から作家に
大ベストセラー/芥川賞受賞作『おらおらでひとりいぐも』著者の初エッセイ集

身近な人の死、孤独と自由、新しい老い、自分を知る楽しさ、
家族の形、ひとりで生きること、みんなで生きること――
書いて考えて辿りついた、台所目線の哲学

2018年にデビュー小説『おらおらでひとりいぐも』が芥川賞を受賞、その後、世界10か国超で翻訳、刊行が決定。2022年には、同作のドイツ語版『Jeder geht für sich allein』(ユルゲン・シュタルフ訳)でドイツの著名な文学賞、リベラトゥール賞を受賞した若竹千佐子さん。
世界が注目する作家の初エッセイ集は、一篇一篇が読者の心をつかむ珠玉の一冊となりました。
若竹千佐子さん初めてのエッセイ集『台所で考えた』(税込価格1,595円)の発売にぜひご注目ください。
『台所で考えた』 河出書房新社

■NHK『こころの時代』で大反響!「ドラゴンボール」(本書収録)を特別掲載
小さなアパートに にぎやかな曲が流れている
年若い夫婦と小さな子供の三人家族が住んでいる
そうさ いまこそアドベンちゃん
小さな息子にはアドベンチャーは自分と同じかわいい男の子の名前なのだ
息子のかわいらしい勘違いを笑いながら
妻は傍らの夫にささやく
「ねぇ わたしたちも永遠の命がほしいと思わない」
肯定の返事が今すぐにでも聞けると思いながら
「いやだね 永遠の命があれば俺は永遠に働き続けなくちゃならない」
目を丸くする妻に 夫は優しい目でさらに言う
「終わりがあるからいいんだよ 終わりがあるから 今 頑張れる」

歳月が流れる
風のように 雲のように

一戸建ての家には 中年の夫婦と 高校生の息子 小学生の娘が住んでいる
年々膨らむ教育費をまかなうために 妻は外に働きに出る
働くということがコップ一杯の喜びと
コップ百杯の忍耐とで出来上がっていることに 妻は気づく
疲れた妻は夫にささやく
「ねぇ 永遠の命なんていらないよね」
「あはは やっと俺の気持ちが分かったか」
そして 変わらぬやさしさで妻にこう言う
「終わりがあるからいいんだよ 終わりがあるから 今 頑張れる」

歳月が流れる
風のように 雲のように

がらんどうの 静かな家の中で
独りになった妻は夫の遺影に向かってこう叫ぶ
「永遠の命なんかいらない 今すぐ
今すぐ あなたのところに 私を連れて行って」
写真の夫は やさしく妻に微笑みかける
けれども何にも答えない
妻はなおも懇願する
夫は何にも答えない
眠れない夜 浅い呼吸のそのうちに
それでも朝はやってくる
残酷な朝はやってくる
独りになった妻には
一日は永遠のように長いのだ


■若竹千佐子『台所で考えた』収録「母に会う」Web河出で無料公開中!
■著者・若竹千佐子さん 略歴
撮影:小林紀晴

1954年、岩手県遠野市生まれ。
岩手大学教育学部卒。主婦業の傍ら、幼いころからの「作家になる」という夢を持ちつづけ、55歳で小説講座に通いはじめる。8年をかけて『おらおらでひとりいぐも』を執筆、2017年、河出書房新社主催の新人賞である文藝賞を史上最年長となる63歳で受賞しデビュー。翌2018年、同作で芥川賞を受賞。『おらおらでひとりいぐも』は世界10か国超で翻訳、刊行決定している。2022年、ドイツ語版Jeder geht für sich allein(ユルゲン・シュタルフ訳)で独の著名な文学賞、リベラトゥール賞を受賞。その他著書に『かっかどるどるどぅ』(2023年)がある。

■若竹千佐子『台所で考えた』目次
一さじのカレーから/母校へ/人が変わる瞬間/どうしよう/ドラゴンボール/悲しみのなかの豊穣/魔法の杖/歌にまつわる話/飽きない/かつて確かに生きていた人の声を/「どん底」の圧倒的な笑い/人生の十冊/土を掘る/玄冬小説の書き手を目指す/うちに帰りたい/母に会う/小説の功罪/家移りの祭り/自分観察日記/言葉で父を遺す/おタミさんとおくまさん/女の人生はいつだって面白い/弱気の日に/宴のあと/コロナの時代/変幻自在な面白さ/上がらない質/自分を磨け/遠野へ/上高地にて/一番大切な喜び/つながる/「おらおらで」の前に今必要なのは、共に生きること/付かず離れず/人間ハシビロコウ/私の戦い方

■新刊情報
『台所で考えた』
著者:若竹千佐子
仕様:四六変型判/上製/168頁
税込価格:1,595円(本体1,450円) 
発売日:2024年11月25日
ISBN:978-4-309-03925-1
URL:
※電子書籍も同日に発売します。詳細は各電子書籍ストアでご確認ください。



■好評既刊
『おらおらでひとりいぐも』
著者:若竹千佐子
仕様:文庫判/200頁
税込価格:693円(本体630円) 
発売日:2020年6月25日
ISBN:9784309417547
URL:
★電子書籍も販売しています。詳細は各電子書籍ストアでご確認ください。
『かっかどるどるどぅ』
著者:若竹千佐子
仕様:四六判/上製/228頁
税込価格:1,650円(本体1,500円) 
発売日:2023年5月25日
ISBN:9784309030791
URL:
★電子書籍も販売しています。詳細は各電子書籍ストアでご確認ください。

あわせて読みたい

日本SF大賞2冠の巨匠・飛浩隆、ベストセラー『自生の夢』より8年ぶりの作品集『鹽津城(しおつき)』発売!
PR TIMES
柳美里、佐藤究らが大絶賛! 安堂ホセの圧倒的最高傑作『DTOPIA(デートピア)』が、11月1日ついに発売!〈第46回野間文芸新人賞候補作〉
PR TIMES
いつもの朝食プラス「Y1000」でウェルネスライフ。管理栄養士が奨める新習慣!
antenna
AIとの対話で、より魅力的な小説が書ける!『小説を書く人のAI活用術 AIとの対話で物語のアイデアが広がる』を2024年10月17日(木)に発売
PR TIMES
読書のプロ・鴻巣友季子がおすすめ「2024年必読の21作品」を一挙紹介します!
現代ビジネス
【老舗茶舗 京はやしや】期間数量限定で和生菓子「いちご琥珀餅」販売
PR TIMES Topics
芥川賞作家・金原ひとみさん「デビュー作受賞のおかげで、賞狙いの小説にならなくなった」
美ST
【発売即重版!!】金原ひとみ、最新小説『ナチュラルボーンチキン』に絶賛と共感の声が全国から鳴り響く!「一生ついていきます」「この本は希望」「これはバイブル。」「登場人物全員が愛おしい」「最後は感涙」…
ラブすぽ
規格外のりんごを使用したオリジナルクラフトビールを数量限定販売
PR TIMES Topics
YOASOBI新曲「New me」制作陣による小説スペシャルPVを12/19公開!YOASOBI/monogatary.com×文芸誌「文藝」×選考委員長・金原ひとみ、奇跡のコラボで誕生した小説集。
PR TIMES
YOASOBI/monogatary.com×「文藝」コラボコンテストの受賞作品集『New me ―文藝×monogatary.com小説集―』本日発売!YOASOBI新曲「New me」も配信開始!
PR TIMES
第61回文藝賞受賞作・松田いりの『ハイパーたいくつ』11月18日発売! 俳優・仲野太賀との会話から生まれた衝撃作!
PR TIMES
『蛇にピアス』から20年、金原ひとみさん(41歳)特別インタビュー「中高年の行く末にはのびしろがある」
美ST
第61回文藝賞 贈呈式を開催、2人同時受賞! 待川匙『光のそこで白くねむる』、松田いりの『ハイパーたいくつ』が受賞。
PR TIMES
書店員さんからも主人公「愛ちゃん」へのラブコール続々! 第5回氷室冴子青春文学賞・大賞受賞『愛ちゃんのモテる人生』10月28日発売!宇井彩野のデビュー作にして、傑作青春小説の誕生!!
PR TIMES
YOASOBIの新曲「New me」が配信スタート!原作小説となった「白山通り炎上の件」を含む作品集『New me ―文藝×monogatary.com小説集―』が本日から発売!
PR TIMES
〈作家デビュー20周年記念出版〉海猫沢めろん珠玉の初エッセイ集『海猫沢めろん随筆傑作選 生活』が11月27日発売!
PR TIMES