多種多様なトラックを作るのは架装メーカーの仕事! 自動車メーカーが基本的にシャシーしか手がけない理由とは

2024.09.08 20:00
この記事をまとめると
■トラックメーカーがつくるのはシャシーまでとなっている
■それ以降の各仕様変更については架装メーカーが担うのが一般的だ
■トラックメーカーが自社で架装を行わない理由を解説
トラックの多様化とともに分業が進んだ
  トラックという車両は、荷物を運ぶという用途がメインだが、運ぶモノや目的によって最適な形状のボディがある。重い荷物を運ぶなら平ボディという荷台に屋根のないシンプルな荷台でこと足りる。ボディはそのぶん軽くできるので、車両総重量に占める積載重量が多く、安く頑丈なのでコスト面でも有利だ。
  しかし、雨に濡れては困る段ボールなどの荷物は、平ボディでは荷崩れしやすく積める限界が低い。そのため、箱ボディとも呼ばれるドライバンのボディが使われるのだ。
  さらに、生鮮食品や冷凍食品を運ぶトラックは、庫内を冷凍、冷蔵状態にできる冷凍車/冷蔵車などの断熱仕様、冷凍機搭載などの機能を盛り込んで高品質な輸送を実現できるようにしている。フォークリフトで一気に積み下ろしできるようボディ側面がガバッと開くウイングボディも、日本発祥の構造だ。
  重量のある荷物をトラック単体で積み下ろしできるユニック車もさまざまな場所で活躍するが、よく見れば仕様はいろいろあって、細部の構造が違っていたりする。
  液体を運ぶのはタンクローリーだし、粉状/粒状の原料を運ぶバルクトラックなど、運ぶモノによって最適なボディは本当にさまざま。さらには消防車やコンクリートミキサー車、レッカー車などは設計や生産に独自のノウハウや技術が必要となる。
  一見、それほど差がないように思えるようなキャリアカーやダンプ車なども、実際にはオーダーによって細かな仕様が決定することが多いため、同じ仕様はほとんど存在しないワンオフ仕様を請け負うことも架装メーカーには多いのだ。
  このような多種多様なボディの製作を自動車メーカーが請け負っては、仕事が複雑過ぎて効率が悪くなってしまう。そこでトラックメーカーはシャシーまでをつくり、それ以降の各仕様変更については架装メーカーがボディをつくる分業性が確立されたのだ。
  当初は板金塗装業と同じく職人の腕頼りだったことから、平ボディやシャシーの状態から目的に応じたボディをつくり上げていたのだろう。それが発展して、いまの業界が確立されたという流れ。
  1970〜80年代と経済が安定して発展してきたなかで、トラックの使われ方が多様化、多機能化していくに連れて、ますます分業化が進められていった。そうなると、架装メーカーのなかでも特定の分野に強みを発揮するところも現れてくる。その構造を実現するために必要な技術をあらかじめ有していたり、努力して技術を確立させると、そうした強みのあるメーカーに注文が集中することになるから、自然とそんな得意分野が出来上がるのだ。
  それでも最近は冷凍車やウイングボディなど需要の多い特装車はトラックメーカー内で完成車を生産するなど、効率化を図って車両価格を抑える工夫も図られている。
  架装メーカーは、同業者だけでなくトラックメーカーも一部ライバル化してしまったから、つねに新しい機能や構造をもったボディの開発にも力を入れている。日本人の真面目さ、きめ細かさがボディのつくりにも現れるから、乗用車と違った意味で、輸入車と国産車を見比べるのも面白いものだ。

あわせて読みたい

資源物「持ち去り」抑止に対峙したある職員の奮闘
東洋経済オンライン
誰でも扱えそうな装置だけど……じつは危険と隣り合わせ! トラックの「テールゲートリフター」の「法定教育」が義務化された理由
WEB CARTOP
mitera organicsシリーズ第三弾フェミニンオイル「mitera organics feminine oil」誕生
PR TIMES Topics
高速の道路工事で見かける「トラ柄トラック」は人や荷物を運ぶだけじゃない! 人を守る「盾」の役割もあった
WEB CARTOP
排気量1万cc超えでトルクは2000Nmオーバーの怪物エンジンが普通に積まれてる! 大型トラックってもしかして空荷でリミッター外したらバカッ速い?
WEB CARTOP
【文明堂】期間限定の新色「黄色いこぐま焼き スイートポテト」新発売
PR TIMES Topics
荷台が「量り」になって積み荷の重量がわかる! 奥の壁が動いて土砂を押し出す! カーボン製まで登場したトラックの荷台はいまや衝撃の進化を遂げていた
WEB CARTOP
行きはクルマを運んで帰りは普通の荷物……なんてケースも! 多様化するいまどきのキャリアカー事情
WEB CARTOP
あなたの動画を自然に翻訳!「AI動画翻訳くん」とは?
antenna
「スワップボディ」「コールドテナー」「サイドバンパー代わりのツールボックス」! 物流をスムースにするトラックの「アイディア技術」が目から鱗!!
WEB CARTOP
「危」「毒」「高圧ガス」マークを見るとちょっと怖い気も……タンクローリーって何を運んでて安全性はどうなってる?
WEB CARTOP
動物病院からも信頼のペットシャンプーが動物病院3院で展示開始
PR TIMES Topics
輸送効率を追求したら「荷台自体」が取り外し可能に! 注目度爆上がりの「脱着装置付きコンテナ自動車」が使えるヤツだった
WEB CARTOP
トラックの隅から生えてる「牙」のようなアイテムは? ドレスアップ目的の人もいるその名も「象牙ホース」とは
WEB CARTOP
ロキソニンにまつわる素朴な疑問を薬の作り手が解決! 小さな錠剤に込められた想いとは
antenna
巨大トラックが富士スピードウェイを激走! ジャパントラックショー in FSW 2024が昨年よりパワーアップして開催!!
WEB CARTOP
危険な上に道路を傷つける違法行為「過積載」! 違法と知りつつ手を染めざるを得ない「運送会社」が後を絶たないワケ
WEB CARTOP
老舗洋傘メーカー「2024クリスマスフェア」開催
PR TIMES Topics
新車のトラックが不足……それなら再生! いま中古トラックの「リノベ」事業が注目されていた
WEB CARTOP
トヨタ「ハイラックス」本格キャンパー登場の真相
東洋経済オンライン