「スワップボディ」「コールドテナー」「サイドバンパー代わりのツールボックス」! 物流をスムースにするトラックの「アイディア技術」が目から鱗!!

2024.10.06 20:00
この記事をまとめると
■近年物流業界ではトラックドライバー不足が深刻だ
■対策としてトラックにはさまざまな工夫がなされている
■「ジャパントラックショー2024」で公開された最新技術を紹介
荷物を運ぶ必要がなくなる「スワップボディ」
  トラックの荷台はさまざまな架装が可能であるものの、よく見かけるのは平ボディとバンボディだろう。土木・建築関係の資材輸送などには平ボディタイプが多く利用されているようだが、一般的な荷物はバンボディタイプによる輸送が主流である。このボディは、外から見れば単なる長方形の箱に過ぎない。しかし、近年はそのなかやまわりにさまざまな工夫がなされ、作業性・安全性の向上につながっているという。
  これは、2024年問題をきっかけにトラックドライバーの不足が深刻化したことに端を発している。この問題が抱える要因のひとつに、トラックドライバーに課されている荷積み・荷降ろしの過酷さがある。そこで、トラックの架装メーカーなどから、これを少しでも軽減するためのアイディアが数多く提案され始めたのだ。
  そのなかでも比較的大がかりなシステムは「スワップボディ」であろう。これは、本来一体化しているパワートレインと荷台を分離して活用しようというものである。すなわち、トレーラーと同様の荷台運用が、普通のトラックでも可能になるわけだ。これなら、出発地・到着地で荷物を荷台ごと積み降ろしできるようになり、トラックドライバーが荷物を運ぶ必要がなくなる。
  トレーラーとの大きな違いは、ドライバーが「牽引免許」を取得しなくてもいいということだ。荷台の脱着にはジャッキなどの装置・設備が必要だが、大がかりなものではないので、スペースさえ確保できれば、比較的低いコストで導入が可能なことも、魅力のひとつとして挙げられよう。
  荷台のなかに設置する装備として注目されているのは、荷台床面が動く「オートフロアー」である。荷積みは荷室の奥から順に行ない、手前まで積んでくるのが一般的だ。しかし、この装置を導入すれば荷物はすべて荷室手前に積むだけで、後は床面が動いて奥まで運んでくれる。降ろすときはその逆だ。電動式なので相応の機器設置をする必要はあるものの、軽量設計になっているから積載量の減少を抑えることができる。
「コールドテナー」は環境にも優しい
  製品化に向けて開発が進められている「コールドテナー」は、環境の面からも期待が大きい。冷凍・冷蔵車は多くが専用車になっており、基本的にはそれに対応する荷物しか運搬ができない。宅配専用車両のなかには、冷凍・冷蔵室を備えたものもあるが、それは車両荷室に固定されたものだ。
  同製品は、コンテナボックスとして独立したタイプ。容積は22~915リットル、温度制御は-35°~+40°の範囲に対応が可能で、コンテナを独立した荷物と同様に運用できる。また、センサーを取り付ければコンテナ内部温度の管理を、遠隔で行なうことができるようになる。ECサイトの普及で小口配送が増えるなか、温度管理が必要な荷物を臨機応変に運搬ができるようになれば、輸送効率の向上にもつながるのではないだろうか。
  トラックには荷物だけではなく、工具や洗車用品など、メンテナンスにかかわるアイテムなども積んでおく必要がある。その場所として最適なのが、デッドスペースとなっているサイドバンパー部分だ。サイドバンパーはトラックの安全装置であり、装着していなければ車検に通らない。
  しかし、「LAGO(イタリア)」のツールボックスはそのサイドバンパーの代用が認められているので、安心して装着ができる。バリエーションもツールボックスだけではなく、消火器ボックス、救急箱、水用タンクなどがある。積載効率に影響を及ぼすことなく、デッドスペースを有効活用できるという斬新なアイディアだといえよう。
  これらは、5月に横浜で開催された「ジャパントラックショー2024」に出展されたものの一部である。トラック・運輸業界の最新テクノロジーといえば、運行管理システムや安全装置、あるいは自動運転、EV化などが話題になりがちだ。
  しかし、トラックドライバーの日常業務に焦点を当てた、明日にも役立つこういった技術の積み重ねにも、もっと注目するべきなのではないだろうか。

あわせて読みたい

トラック荷積み・荷降ろしの自動化に向け、三菱重工業と共同実証を開始
PR TIMES
10/27(日)限定!富士スピードウェイでクルマ&トラックのコラボイベント「オートメッセ リアル×ジャパントラックショー」
ラブすぽ
あなたの動画を自然に翻訳!「AI動画翻訳くん」とは?
antenna
真夏も真冬も車内で寝る必要があるトラックドライバー! アイドリングが御法度なイマドキの「冷暖房」事情
WEB CARTOP
2024年問題はドライバーだけじゃなく「トラックの整備業界」にも影響! 整備&修理を時短化するさまざまな新技術
WEB CARTOP
mitera organicsシリーズ第三弾フェミニンオイル「mitera organics feminine oil」誕生
PR TIMES Topics
ドライバーの負担軽減を実現する「中継輸送」には3つのパターンがある! 思ったほど簡単じゃない実現に向けての「メリデメ」を考えた
WEB CARTOP
輸送効率を追求したら「荷台自体」が取り外し可能に! 注目度爆上がりの「脱着装置付きコンテナ自動車」が使えるヤツだった
WEB CARTOP
ロキソニンにまつわる素朴な疑問を薬の作り手が解決! 小さな錠剤に込められた想いとは
antenna
行きはクルマを運んで帰りは普通の荷物……なんてケースも! 多様化するいまどきのキャリアカー事情
WEB CARTOP
いま「コンサイ便」が注目! 2024年問題対策に繋がる「物流皆兄弟」の考え方
WEB CARTOP
【BAREFOOT DREAMS】スタイリスト金子綾氏とのコラボレーションボックス発売
PR TIMES Topics
多種多様なトラックを作るのは架装メーカーの仕事! 自動車メーカーが基本的にシャシーしか手がけない理由とは
WEB CARTOP
巨大トラックが富士スピードウェイを激走! ジャパントラックショー in FSW 2024が昨年よりパワーアップして開催!!
WEB CARTOP
動物病院からも信頼のペットシャンプーが動物病院3院で展示開始
PR TIMES Topics
亀田製菓、ブルボン、岩塚製菓の荷物を共同輸送 全長25メートルの連結トラックで効率化図る
ITmedia ビジネスオンライン
大量輸送可能な「フルトレーラー」はなんと全長25m! 大型+けん引免許を「もってるだけ」じゃ運転できないシロモノだった
WEB CARTOP
山形県初のプリン専門店「山形プリン」開業6周年を記念した特別ギフトセット数量限定販売
PR TIMES Topics
サントリーとサッポロ、長距離輸送で協業 ドライバーの負担軽減目指す
ITmedia ビジネスオンライン
荷台が「量り」になって積み荷の重量がわかる! 奥の壁が動いて土砂を押し出す! カーボン製まで登場したトラックの荷台はいまや衝撃の進化を遂げていた
WEB CARTOP