「危」「毒」「高圧ガス」マークを見るとちょっと怖い気も……タンクローリーって何を運んでて安全性はどうなってる?

2024.10.11 20:00
この記事をまとめると
■ガソリンスタンドなどでよく見かけるタンクローリー
■液体・気体・固体のすべてを運ぶことができる
■タンクローリーの積載物について詳しく解説
積載容量は車両によって異なる
  ガソリンスタンドなどでよく見かけるタンクローリー。身近な存在ではあるものの、多くの車両が「危」マーク、「毒」マーク、「高圧ガス」マークをつけており、興味はあっても何となく近寄り難い存在だ。ひと口にタンクローリーといっても、石油類だけを運んでいるわけではない。基本的には、液体・気体・固体いずれも運ぶことができる。
  車両は道路運送車両法で「主たる使用目的が特種である自動車であって、定められた構造や装置などの要件を満たした車両」と規定した、特種用途自動車に分類されている。外見的に大きな特徴といえるのは、荷台部分が楕円柱のタンク形状になっていることだろう。トラックメーカーが製造するパワートレインとシャシーの上に、架装メーカーが製造するタンクを載せるといった感じになっており、大型のものにはトレーラータイプもある。
  積載(タンク)容量はさまざまで、一般には1万2000〜2万リットルが大型車、3000〜8000リットルが中型車(車両は3トン〜4トン車)、2000〜4000リットルが小型車(車両は2トン〜3トン車)といったところだ。
  積載容量を考えるのであれば箱車(バンタイプ)が効率的だが、液体は揺れが生じると安定性に影響を与えるので、重心が低くなる構造にしなければならない。また、積載・荷降ろし施設などの高さ制限などもあるため、これらを総合的に考えた結果、楕円柱を基本に積載物に合わせた形状にしているようだ。ただ、高圧気体を運搬する車両は内圧の問題から、真円柱のタンクを使用する。
  石油製品などの「危険物」を運ぶものは、消防法の規制を受けて「移動タンク貯蔵所」となる。これに伴い、積載容量やタンクの構造などについて制限を受けることになるのだ。また、軽油・ガソリンなど性質の異なるものを同時に運ぶため、タンク内を小部屋に仕切る構造になっており、それぞれ何をどれだけ運んでいるかということを表示しなければならない。
高圧ガスの運搬には特別な資格が必要
  さらに、運搬の際には「危」マークの表示や、「危険物取扱免状」を携帯した「危険物取扱者」が乗務することも義務付けられているなど、この法律は非常に細かく厳しい規定が多い。しかし、これらは事故などを未然に防ぐことや、万一の際にも大きな災害にならないようにするために必要な処置なのである。
  過酸化水素水など「毒物」を運搬する場合は「毒物及び劇物取締法」の規定に従う必要がある。タンクは耐薬品性を考慮した材質を使用するが、積載物がとくに腐食性の強い酸性・アルカリ性水溶液の場合は、別途に樹脂被覆した耐食性・非粘着性を向上させたものを使用する。これら毒劇物にあたる運搬物を扱う場合は、「毒物劇物取扱責任者」の資格が必要になる。運搬する車両には、「毒」の表示をしなければならない。
  運搬物が気体の場合は、ほとんどが圧力をかけた「高圧ガス」の状態(液化している場合もある)で運ばれる。このとき適用されるのは「高圧ガス保安法」だ。輸送対象ガスが同法に適合したガスボンベに注入されている場合は、平ボディのトラックやライトバンなどで輸送されるが、タンクローリーの場合は車両自体がガスボンベの役割を担うため、その構造・材質などには厳しい規定がある。
  また、万一タンク内の圧力が異常に高まった場合は、安全弁により圧力を下げて爆発を防ぐ工夫がされているのだ。運搬の際には、「高圧ガス移動監視者講習修了証」を携帯した「高圧ガス移動監視者」を同乗させて、「高圧ガス」の表示が必要となっている。
  水・飲料・液糖・セメントなど、危険物・毒劇物・高圧ガスに該当しないものを積載する車両は、道路運送車両法の規定に合わせた構造であれば問題はない。高速道路などでピカピカのステンレスタンクを載せたタンクローリーを見かけるが、これは飲料系の液体を運んでいるものが多い。
  さまざまな規制のなかで特殊な積載物を運んでいる車両だが、法律によって十分に安全性が確保されているので、決して警戒する必要はないのである。

あわせて読みたい

【世界初】災害時に電気を届ける“小型EV電配車”が新開発
smart
「南海トラフ巨大地震」が起きたら、名古屋に襲ってくる津波の「高さ」と「場所」
現代ビジネス
【品川プリンスホテル】Strawberry Garden アフタヌーンティースイーツコース
PR TIMES Topics
床下のスペアタイヤ付近にぶらついてる謎のチェーンって放置していいの? じつは安全と便利さを両立したスグレモノ機構だった!
WEB CARTOP
「バキュームカーがきた」なんて臭いでわかったのは昔の話! 臭いとおさらばした最新バキュームカー事情
WEB CARTOP
伝統工芸を未来につなぐ取り組み!職人技を取り入れたネームタグ「LEE」発売
PR TIMES Topics
「SLから勢いよく出るのは煙?蒸気?」シンプルな構造をイメージしがちだがその仕組みはかなり複雑!“蒸気機関車のいろは”をイチから解説
MonoMaxWEB
なんと12日間燃え続けた…「長周期地震動」で発生した「史上最悪の石油コンビナート火災」
現代ビジネス
楽しさ体験「都心の工場」PRINTONE渋谷5周年!エコバッグプレゼント
PR TIMES Topics
「ドラム洗濯機難民に朗報!」設置場所問題をクリアするパナソニックの“省スペース”にもこだわったSDシリーズがデビュー
MonoMaxWEB
あっぱれ「新型冷蔵庫」…!なんと「磁石が物を冷やす」衝撃の新技術
現代ビジネス
40代女性の欲しいを全部詰め込んだ「新美容手帳」制作プロジェクトスタート
PR TIMES Topics
「ダッシュボードにぬいぐるみ」「ルームミラーにレイ」も場合によっちゃ怪しい! 車内を装飾する際は「違反」に要注意
WEB CARTOP
ななめドラム洗濯乾燥機SDシリーズ 2タイプを発売
PR TIMES
スマホの写真を似顔絵グッズにできるプラットフォームオープン
PR TIMES Topics
省スペース設計ながら洗濯容量10kg、乾燥容量5kgを実現!パナソニックのななめドラム洗濯乾燥機にコンパクトモデルが登場
@DIME
「スワップボディ」「コールドテナー」「サイドバンパー代わりのツールボックス」! 物流をスムースにするトラックの「アイディア技術」が目から鱗!!
WEB CARTOP
【IFME新作】機能性にこだわった防寒ブーツ登場  
PR TIMES Topics
【ルーフボックス】立体駐車場だって余裕!使うときは高さを上げて積載量アップ
MADURO ONLINE
【折り畳みコンテナ】サイドオープン窓に注目!積み重ねた状態でも横からフリーアクセス
MADURO ONLINE
「相続ナビ」で相続を手軽に! 事例とともに対処法を解説
antenna