看護師の働き方はもっと多様であっていい。育児を経験したからこそ感じる訪問看護のやりがい

2025.04.01 12:43
小児専門看護師が、子どものケアリングサービスを提供するソイナース。訪問看護や在宅レスパイト、医療的ケア児の通学支援など幅広いサポートを行っており、様々なキャリアを持つ看護師が活躍しています。
病院での勤務経験がある方はもちろん、保育園の看護師や派遣での経験を持つ方など、そのバックグラウンドは実に多様。


今回は、ソイナース立ち上げメンバーとして参画し、産休育休を経て子育てと訪問看護を両立させている渡邉璃奈さんにお話を伺いました。
ソイナース立ち上げから在籍。子育てと両立させながら勤務
渡邉璃奈さん
看護師として病棟勤務を経験後、人材紹介会社での派遣事務職と現在のソイナースの前身となる自費サービスを掛け持ちする形で訪問看護と出会う。2020年、ソイナースの立ち上げ時から参画し、制度や請求業務などを学びながら基盤づくりに尽力。現在は1児の母として、時短勤務を活用しながら訪問看護師と本部業務の両方をこなす。


──まず現在の勤務状況について教えていただけますか?


時短勤務を部分的に取得していて、基本的な勤務時間は9時から16時30分が多いですね。夫の仕事の調整もありますが、保育園のお迎えのタイミングに合わせて柔軟に調整しながら働いています。
もうすぐ2歳になる娘がいるのですが、送り迎えは基本的に分担制にしていて、朝は夫が担当、お迎えは私が行くようにしています。夫がリモートワークの日や早く帰れる日は交代したりと、その日の状況に応じて調整していますね。仕事が早く終わる時は少し早めにお迎えに行って、娘との時間を過ごすようにしています。


──立ち上げからジョインされたとのことですが、どういったきっかけでしたか?


もともとソイナースができる前に、代表の横山さんが1人で運営していた自費のサービスがあり。そこでダブルワークとして働いていたんです。それが1年ほど続いていた時に、ちょうどステーションを立ち上げるという話を横山さんから直接いただきました。
その当時は派遣の事務職とソイナースでの自費サービスを掛け持ちしていたんですが、そろそろ正社員として働きたいという気持ちもあって。何より、小児の訪問看護の仕事がすごく楽しかったんです。ぜひ!という気持ちで参加させていただきました。
わからないことだらけの立ち上げ期。現在の働き方に至るまで。
──立ち上げ時はどんな苦労がありましたか?


当時は横山さんが行っていた自費のサービスから医療保険での訪問看護に切り替わる時期で、新しいケアの方法を覚えたり、マニュアルを作ったりする必要がありました。私一人ではご家庭を回りきれない部分もあって、パートの看護師さんたちにケアを引き継いでいく必要があったのですが、そういった経験が今までなかったので、そこが最初の難しさでしたね。
また、立ち上げ時は私も訪問看護での経験があまりなかったので、医療保険の制度について一から学ぶ必要がありました。例えば、レセプト請求という、保険者に負担してもらう費用を算出して請求する一連の業務なども担当させていただいていたのですが、制度がとても細かいので、いろんな本を読んだり、あちこちに電話して確認したり。毎月の請求作業は悩みながら進めていましたね。


──その時期は何人体制でやられていたのですか?


最初は横山さんと私ともう1人の3人体制でした。そのため、どんな仕事をするのかということも、私が作り上げていく部分が大きかったんです。今、訪問看護師が行っているタスクの多くは、当時私が手探りでやってきたことが形になったものなんですよ。日々の動きを見ながら「これをやったらいいかも」と仕事を探していくような感じでした。


──現在はどのような業務を担当されているのですか?
訪問看護はもちろん行っていますし、レセプトなども引き続き見ています。パートの看護師さんがかなり増えたので、LINEでのやり取りも多くなりました。利用者さんについての相談が日々入ってくるので、それを確認して返信したり。書類作業や事務作業関係も担当しています。
1日の予定は本当に日によって様々です。終日訪問に出ている日もあれば、半日以上事務作業をしている日もあります。でも基本的には1日1回は必ず訪問に行くようにしていて、3件くらい訪問する日もあれば、保育園関係の場合は1日そこに行ったりということもありますね。


──立ち上げ時と比べて、組織の変化は大きそうですね。


そうなんです!組織として、常に前に進もうとする方向性は変わっていないと感じています。横山さんの「多くの利用者さまの支えになりたい」という強い思いも当初のままですね。
ただ、物理的な規模は本当に大きく変わりました。もともと3人だった組織が、今では看護師の人数も10倍以上に。私が育休から戻ってきた時は、その変化にびっくりしました。以前は私がほぼ全ての看護業務を担当していましたが、今は訪問看護師も増えて、みんなで相談しながら決められるようになりました。必ずしも私一人でやらなければいけないことが減ってきて、そこは本当に良い変化だったと思います。


── 変化の中でも、やりがいは変わらず感じられていますか?
そうですね。むしろ子育ての経験が、仕事にも活きてきています。自分が母親になって子育てを経験してみると、お母さまの気持ちがより深く理解できるようになりましたし、その経験を活かして、よりやりがいを感じています。
子育てを経験したからこそ見えてきた新しい視点
──育休を経て、なぜソイナースに戻ろうと思われたんですか?


単純に、ソイナースが好きだったんです(笑)。それに、以前から訪問していた利用者さんのことも気になっていて。戻りたいという気持ちはずっとありました。
ただ、悩みがなかったわけではありません。ソイナースの訪問は夕方がメインなので、保育園のお迎えとの兼ね合いをどうするか。でも、会社が柔軟に対応してくれて、勤務時間も調整していただけることになり、「これなら復帰できるかも」と。


──実際に子育てをしながら訪問看護をされてみて、何か変化はありましたか?


自分が子育てを経験したことで、利用者さんのご家族の気持ちがより理解できるようになりました。特に、医療的ケアが必要なお子さんのご家族は本当に大変で、お一人だともっと大変だろうなって。その気持ちがより深く分かるようになりました。
また、自分の子どもと同じくらいの年齢の利用者さんもいらっしゃるので、発達や子育ての話を保護者の方とできるのも良いところです。同じ母親としての視点で関われるようになったことで、働き方の幅も広がった気がします。


──具体的にどんな場面でそれを感じますか?


例えば、利用者さんのお子さんが学校に通い始めるときですね。保育園や幼稚園から小学校への環境の変化って、親子にとって大きな転換期なんです。通学用のバスが新しく加わったり、生活時間が変わったり。そういう時に、「この時間に訪問してお風呂を手伝えば、お母さんの負担が減るかもしれない」など、より具体的な提案ができるようになりました。実際に子育てをしている立場だからこそ、気づける部分が増えたように思います。
立ち上げ時から変わらない魅力と、これからの夢
──立ち上げメンバーとして長く関わってこられて、特に印象に残っているエピソードはありますか?


はい、あるお子様が生まれつき疾患があり、長期入院をしていたんです。退院直後から訪問看護を始めることになり、最初は呼吸器を使いながらの生活でした。ご家族と一緒に試行錯誤しながらケアをしていく中で、どんどんお子様のできることが増えていくのを感じて、喜ばしい気持ちでいっぱいでした。
そして、私が産休・育休から復帰した頃には、お子様はすっかり成長して、保育園にも通うようになって、おしゃべりしたり歩いたりと、2年前と比べて本当に大きな成長を見せてくれたんですよね!医療的ケアはまだ続いていますが、ご家族でのケアも確立されてきて、ソイナースでの訪問看護は卒業することになりました。正直、寂しい気持ちもあるんですが、それ以上に、お子さんとご家族の成長を見届けられたことが本当に嬉しいんです。長い目で見届けることができる小児の訪問看護ならではのやりがいを感じたケースでもありましたし、これからもたくさんのご家庭に寄り添っていきたいなと思っています。


──今後はどのような看護師を目指していきたいですか?
私はどれか一つに特化しているというよりも、いろんなことができる「なんでも屋さん」の立場だと感じています。本部の業務も現場も両方できるこの立場が実は好きで、ずっと現場に出たいという思いもありますし、本部での仕事も楽しいんです。
特に最近は、自分が子育てを経験したことで、赤ちゃんからのケースにも関われるようになりました。一般的な子育ての知識も増えたので、子育て支援も含めて利用者さんに還元できたらいいなと思っています。


──昨今、看護師の人材不足や勤務環境が話題に上がることも多いですが、働き方についてどのようにお考えですか?


看護師ってもっと色々な働き方ができるんですね。でも、一般的に、「看護師=病院勤務」というイメージが強すぎて、その可能性に気づいていない人も多いと思うんです。今の勤務先が合わないな、と思っていても、他に働き方がないと思っている人もいるかもしれません。
小児の訪問看護は訪問する時間帯が様々で、訪問の時間数も1時間だったり長時間のお預かりなど幅が広く、ご自身の生活スタイルに合わせやすく、比較的ワークライフバランスを大事にできると感じます。ソイナースならお子さんの通学支援バスに同乗したり、本部業務に関わったり、多様な関わり方ができます。そういった可能性がもっと広まっていけば、看護師さんたちも自分に合った働き方を見つけやすくなるんじゃないかなと思います。


──最後に、これからソイナースでの勤務を検討されている方へメッセージをお願いします。


訪問看護は確かに病棟とは全然違う働き方です。例えば、利用者さんの生活により深く関われる。長期的な変化に寄り添える。そこにすごくやりがいを感じています。
特にソイナースは、子育て中の方への理解もあって、働き方の融通も利きやすい。なにより、子どもたちの成長に関われることは本当に素敵な経験です。ぜひ、新しい可能性として考えてみてください。

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