意志なんて、なくてよかった――累計40万部『暇と退屈の倫理学』の國分功一郎著『中動態の世界 意志と責任の考古学』(新潮文庫刊)本日発売!

2025.03.28 12:00
株式会社新潮社
第8回紀伊國屋じんぶん大賞、第16回小林秀雄賞受賞の話題作。文庫書き下ろしの「責任論」を収録。

本日3月28日、國分功一郎氏の『中動態の世界 意志と責任の考古学』を新潮文庫より刊行しました。
単行本刊行時から大きな話題を呼んだ本書は、能動でも受動でもない“中動態”という失われた概念を軸に、言葉に規定されてしまう人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求めた新たな時代の哲学書です。
今回の文庫刊行に際してジュンク堂池袋本店・代官山蔦屋書店でのイベント開催が決定しました。
■『中動態の世界 意志と責任の考古学』とは
本書は2017年、「シリーズ ケアをひらく」として医学書院より刊行された哲学書です。刊行当時より大きな話題を呼び、紀伊國屋じんぶん大賞2018、第16回小林秀雄賞を受賞しました。
依存症当事者との対話から、普段私たちの思考が能動/受動の対立に強く縛られていることに注目した著者は、歴史からひっそりと姿を消した“中動態”を手がかりに、私たちの思考の可能性を条件づける「する」と「される」の外側へと目を向けます。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める新たな時代の哲学書がこの度、待望の文庫化です。
■刊行記念イベント開催決定
\國分功一郎さん、伊藤亜紗さん登壇/
4月30日(水)19時~ 代官山蔦屋書店にて開催 
意志がある方が、変! ~能動でも受動でもない“中動態”について考える~

著者・國分功一郎さんと美学者の伊藤亜紗さんのトークイベントを開催いたします。
國分さんは伊藤さんのこれまでのお仕事、特に『手の倫理』における「さわる」「ふれる」の話などに、中動態の観点から強い関心を持っていたと言います。障害を通して人間の身体のあり方を研究してきた伊藤さんと、依存症当事者との対話をきっかけに、能動でも受動でもない“中動態”に注目した國分さん。お二人にはそれぞれがこれまで得てきた見識を持ちより、人間の身体について、そして中動態という概念について存分に語っていただきます。

日 程:4月30日(水)
会 場:代官山蔦屋書店
時 間:19時~20時半 対談&質疑応答 20時半~ サイン会
登壇者:國分功一郎氏、伊藤亜紗氏
料 金:1.会場参加 2,200円
    2.書籍つき来店イベント参加券 2,590円
    3.オンライン視聴のみ 1,600円
    4.書籍つきオンラインイベント参加券 2,640円(送料込)

ゲスト紹介:伊藤亜紗
美学者。東京科学大学未来社会創成研究院/リベラルアーツ研究教育院教授。MIT客員研究員(2019)。2010年に東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻美学芸術学専門分野博士課程を単位取得のうえ退学。同年、博士号を取得(文学)。主な著作に『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)、『どもる体』(医学書院)、『記憶する体』(春秋社)、『手の倫理』(講談社)。第13回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞、第42回サントリー学芸賞、第19回日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞受賞。
\國分功一郎さん、白石正明さん登壇/
5/9(金)19時~ ジュンク堂書店池袋本店にて開催
思い出の中動態 

著者・國分功一郎さんと、単行本の企画・編集を担当し、2025年4月に岩波新書より『ケアと編集』を刊行する白石正明さんのトークイベントを開催いたします。
國分さんと白石さんはどのようにして出会い、どのようにしてこの本が生まれたのか。単行本刊行から8年経った今、当時の思い出を振り返りながら、改めて中動態について、そしてケアとは何かについて存分に語っていただきます。

日 程:5月9日(金)
会 場:ジュンク堂書店池袋本店
時 間:19時~20時半 対談&質疑応答 20時半~ サイン会
登壇者:國分功一郎氏、白石正明氏
料 金:1.会場参加 2000円
    2.オンライン視聴のみ 1650円
    3.書籍付きオンライン視聴 2090円(送料別)

ゲスト紹介:白石正明
1958年生まれ。1996年に医学書院入社。雑誌『精神看護』を創刊。担当する「シリーズ ケアをひらく」は、2019年に第73回毎日出版文化賞を受賞。担当書に『リハビリの夜』(熊谷晋一郎著/2009年)、『中動態の世界 意志と責任の考古学』(國分功一郎著/2017年)、『食べることと出すこと』(頭木弘樹著、2020年)など。2025年4月『ケアと編集』(岩波新書)を刊行。
■各界から絶賛の声続々!
- 濱口竜介氏( 映画監督/『ドライブ・マイ・カー』『悪は存在しない』監督・脚本など)

「中動態」を知って以降、撮影現場で起きていることの捉え方が変わった。
他者を、自己を、道具のように使用することに抵抗するために、この本は世界の見え方を一新させる。


- 伊藤亜紗氏(美学者・作家/著書『どもる体』『目の見えない人は世界をどう見ているのか』など)

國分功一郎『中動態の世界』は、「中動態」というインド=ヨーロッパ語族の失われた文法カテゴリーを発掘しながらも、いわゆる言語学の領域を超えて、世界の新しい見方、つまり「中動態的な見方」を教えてくれる哲学の本である。
(『精神看護』2017年7月号 中動態の歌――書論『中動態の世界』より)


- 斎藤哲也さん(紀伊國屋じんぶん大賞2018 一般推薦コメントより)

さながら推理小説のように展開される、中動態の謎を解く旅を堪能した。「自由を追求することは自由意志を認めることではない」という一節は、自由論にとっても大変な示唆を含んでいる。


- 山本貴光さん(紀伊國屋じんぶん大賞2018 一般推薦コメントより)

「する」でも「される」でもない行為のあり方を示唆する中動態。失われたこの態を求めて、言語学と哲学の交わるところで遂行される思考の考古学のおもしろさ! 一読三嘆、言語観ばかりか世界の見え方も変わるに違いない。


- 橋本亮二さん(紀伊國屋じんぶん大賞2018 一般推薦コメントより)

『暇と退屈の倫理学』から5年半……「する」「される」の起源を論考した本書。意志、責任、秩序。言語により規定される思考。自身の内面/外面から生じる依存症の治癒にも可能性を開く、「中動態」から見える景色だ。


■刊行にあたって――著者・國分功一郎さんのコメント
難しいと思ったら飛ばす!
あとで、あるいは、いつか読めばいいのです。
大切なのは自分なりの「中動態」のイメージをつかむことです。
毎日の生活の中に、ある時の思い出の中に、必ず、「中動態」を通じてよりよく理解できるものがあるはずです。


■ノーベル賞作家のハン・ガン氏も注目。"失われた態"「中動態」とは
おそらくほとんどの人が学校教育において教わってきた能動と受動という文法。しかし私たちが当然のことと認識している能動と受動という対立はかつて存在せず、インド=ヨーロッパ語では能動態と“中動態”という対立が記述されていました。例えば「誰かを好きになる」という文章。これは能動でしょうか。それとも受動でしょうか。誰かを好きになろうとしたわけでもなければ、誰かを好きになるよう強いられたわけでもありません。このように自分が「する」と人に「される」しか認めない言葉はこんなありふれた日常事を説明することすら出来ません。ただこのような事象は能動と“中動”の対立を使えばいともたやすく説明することが出来ます。
この中動態という文法は、2024年にノーベル賞を受賞したハン・ガン氏の『ギリシャ語の時間』(晶文社/2017年)でも言及されており、現代社会を生きていくうえで重要なテーマとなっています。

■「責任とは何か」文庫版補遺を収録
今回の文庫化に当たり、補遺「なぜ免責が引責を可能にするのか──責任と帰責性」を新たに収録しました。著者が単行本では「意志」と比較し、大きく踏み込むことがなかったと語る「責任」という概念。単行本を刊行してから多くの人と対話を交わしたことで得たヒントを活かし、新たに「責任」について論じています。そもそも責任とは何か。“責任を負う”とはどういうことなのか。意志と責任が結びつくことで生まれる現代社会の歪みを指摘した、時代を画する責任論となっています。

■哲学書として異例の売行きを果たした『暇と退屈の倫理学』
『暇と退屈の倫理学』文庫版は2022年1月の刊行以降部数を伸ばし続け、累計40万部を突破。20~40代の方々を中心に、普段は哲学書を手に取らない読者からも広く支持されました。
現代の消費社会において気晴らしと退屈が抱える問題点を紐解いた本書は、哲学書として異例の売行きを見せ、2022年、2023年と2年連続、「東大・京大で一番読まれた本」となったことでも話題となりました。
(※東大生協本郷・駒場書籍部両店、京大生協ショップルネ書籍コーナーにて2022年、2023年共に文庫1月~12月実績で1位を獲得)

■書籍内容紹介文
誰かを好きになる。これは能動か受動か。好きになろうとしたのでもなければ、好きになるよう強いられたのでもない。自分で「する」と人に「される」しか認めない言葉は、こんなありふれた日常事を説明することすらできない。その外部を探求すべく、著者は歴史からひっそりと姿を消した“中動態”に注目する。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める哲学書。時代を画する責任論を新たに収録。

■著者紹介:國分功一郎(こくぶん・こういちろう)
1974(昭和49)年生れ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2025(令和7)年1月現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は哲学。’17(平成29)年、『中動態の世界』で小林秀雄賞を受賞。著書に『暇と退屈の倫理学』、『ドゥルーズの哲学原理』、『近代政治哲学』、『スピノザ――読む人の肖像』、『目的への抵抗』、『手段からの解放』、『〈責任〉の生成--中動態と当事者研究』(熊谷晋一郎と共著)ほか。

■書籍データ
【タイトル】中動態の世界 意志と責任の考古学
【著者名】國分功一郎
【発売日】3月28日(金)
【造本】文庫
【定価】990円(税込)
【ISBN】978-4-10-103542-0
【URL】

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