傷つきやすく、同時に相手を簡単に傷つけてしまう存在でもある私たちは、どのようにケアし合うことができるのか? 傷からケアを問い直す1冊

2025.05.21 12:00
株式会社KADOKAWA
『傷つきやすさと傷つけやすさ ケアと生きるスペースをめぐってある男性研究者が考えたこと』2025年5月21日(水)発売

株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区、取締役 代表執行役社長 CEO:夏野剛)は、2025年5月21日(水)に、『傷つきやすさと傷つけやすさ ケアと生きるスペースをめぐってある男性研究者が考えたこと』(著:村上靖彦)を発売いたします。
もともとフランス哲学の研究者であった著者の村上靖彦氏は、約20年間の医療や福祉現場でのフィールド調査を通して、支援者の方々から学んだケアについて数多くの著作を書いてきました。
本書では、著者自身の「傷つきやすさ」やケアに内在する暴力の可能性にも向き合いながら、ケアしあう社会と、生きやすい空間はどのように実現できるのか、論じています。
ケアを受ける当事者や医療従事者、ソーシャルワーカーへの聞き取りを通じて、医療をこえたケアの本質について考えた『ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと』(中公新書)の続編のような立ち位置にある1冊です。
◆本文「はじめに」より
はじめに 僕の負い目 

もともとはフランス哲学の研究者だった僕は、20年ほど前から医療福祉現場でフィールド調査を重ねるようになった。そのなかでだんだんと溜まってきた負い目のようなものがある。

これまで生死の境目にいる患者やその家族をケアする看護師さんたちや、社会的困窮地域で子育て支援に取り組む熱心な支援者のみなさんと困難のなかにいる人たちと出会ってきた。苦痛や困難を抱えた人のために献身的に働くみなさんの姿は、大きなインパクトがあった。虐待を被っている子どもやヤングケアラーの子どもたちからは、僕が何も役に立つことをできないことにうしろめたさを感じてきた。

さらにアイヌの出自をもつ人たちの聴き取りを行い、沖縄や被差別部落、在日コリアンの出自をもつ人たちともお話しする機会が増えるなかで、僕自身が加害集団の一員であることをどのように受け止めるのかということを問われている。

もう一つ別の個人的な課題もある。子どもの頃の僕は、競争を好み攻撃的だった。親からはしばしば「人の気持ちを考えなさい」とられた。人の気持ちがわからない、だけではなく、むしろ思いついたことをそのまま口にして人を傷つけることがしばしばあった。今思い返すと、(1)相手に、自分が正しいと信じている規範を押し付け、(2)競争主義に毒されて相手にマウントを取り、(3)意図せず相手が傷つくことを言ってしまっていた。困難な境遇のもとにいる人に対する想像力を僕がもっていなかったのだが、ここには構造的な問題もあるので本文のなかで考えたい。


◆目次
はじめに 傷つきやすさと傷つけやすさ
序章
第1章 家族ケアに忍び込む暴力
第2章 プロのケアのなかのネガティブな出来事
第3章 ケアを管理から解放する
第4章 孤立と〈かすかなSOSへのアンテナ〉
第5章 生きのびるためのミクロな実践
おわりに 二つの対話、いくつもの対話 
◆刊行を記念し、著者出演の書店イベント開催!
【イベント1】
東京・三鷹のUNITE、京都の鴨葱書店の店主である大森皓太さんが聞き手となり、『「傷つけやすさ」の自覚から「ケア」の実践へ──傷つけあう私たちと傷を助長する社会』と題した刊行記念トークイベントを行います。イベントは現地にて、またはオンラインでの参加が可能です。

日時:2025年5月23日(金)19:00~20:30
場所:丸善ジュンク堂書店 梅田店(大阪府大阪市北区茶屋町7-20 チャスカ茶屋町 地下1階~4階)
※「会場参加チケット」は、2025年5月23日(金)18:00までの販売となります。
※会場参加は座席数に上限があります。
※イベントに関するお問い合わせは、上記URLの「お問い合わせフォーム」からお願いいたします。

【イベント2】
代官山 蔦屋書店にて、組織開発専門家である勅使川原真衣さんをゲストに迎え、「傷から学び、考える――ケアからつくる社会とは」と題した対談イベントを行います。
こちらは同時期に刊行される、村上靖彦氏による『鍵をあけはなつ』(中央法規出版)とのダブル刊行記念イベントになります。イベントは現地にて、またはオンラインでの参加が可能です。

日時:2025年7月17日(木)19:00~
場所:代官山 蔦屋書店(渋谷区猿楽町17-5)
※申込受付は、2025年7月17日(木)19:00までとなります。
※会場・オンラインともに参加人数に上限があります。
※イベントに関するお問い合わせは、上記URLからご確認ください。

◆書誌情報
『傷つきやすさと傷つけやすさ ケアと生きるスペースをめぐってある男性研究者が考えたこと』
著者:村上靖彦
発売:2025年5月21日(水)
定価:1,650円(本体1,500円+税)
判型:四六変形判
ページ数:240ページ
ISBN:978-4-04-115283-6
発行:株式会社KADOKAWA
◆著者プロフィール 
村上靖彦(むらかみ やすひこ)
1970年、東京都生まれ。基礎精神病理学・精神分析学博士(パリ第7大学)。現在、大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点CiDER兼任教員。専門は哲学と現象学的な質的研究。
著書に『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書)、『ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと』(中公新書)、『「ヤングケアラー」とは誰か 家族を“気づかう”子どもたちの孤立』(朝日新聞出版)、『子どもたちがつくる町 大阪・西成の子育て支援』(世界思想社)、『すき間の哲学 世界から存在しないことにされた人たちを掬う』(ミネルヴァ書房)、『摘便とお花見 看護の語りの現象学』(医学書院)、『鍵をあけはなつ 介護・福祉における自由の実験』(中央法規出版)など。共著に『アイヌがまなざす 痛みの声を聴くとき』(岩波書店)などがある。
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