Thinkingsが運営する「組織再考ラボ」のフェロー、小澤 健祐 氏に「生成AI時代の人事戦略」についてインタビューを実施しました。
メディアや企業の方向けに取材・講演テーマについても伺っていますので、ぜひご参考いただければ幸いです。
■組織再考ラボ
「企業における組織づくりのあり方について再考し、経営層や人事部門の皆さまに対して有益な情報発信を行う」をミッションに掲げ活動しています。
フェローへの取材、講演、企業コンサルティングなどは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ先:
「生成AIで人と組織の未来を描く実践者」 小澤 健祐 氏
一般社団法人生成AI活用普及協会 常任協議員
Google「Gemini」アドバイザー
Thinkings 組織再考ラボ フェロー
「60点の法則」を実践し、メディア、企画、AI、経営など多彩なスキルを掛け合わせながら活動。AIメディア編集長として1,000本以上のAI関連記事を執筆。書籍「生成AI導入の教科書」の著者。人事×DXの新しい組織モデルを探求しながら、10以上の組織で取締役や顧問を務め、データドリブンな組織変革を支援している。
■プロフィール
「人間とAIが共存する社会をつくる」がビジョン。
書籍「生成AI導入の教科書」。1000本以上のAI関連記事を執筆。一般社団法人生成AI活用普及協会 常任協議員。Google「Gemini」アドバイザー。
その他、AI領域で幅広く活動。ディップの生成AI活用推進プロジェクト「dip AI Force」の推進、生成AI教育事業を展開するCynthialyのコンテンツ責任者、日本最大のAI活用コミュニティ「SHIFT AI」のモデレーター&パートナーインフルエンサー、社長のAI化を進めるサービス「AI社長」を運営するTHA顧問、東大発AIスタートアップ Lightblue顧問、生成AIとエンターテイメントの融合を進めるAI Booster顧問。千葉県船橋市 生成AIアドバイザーー。AIに関するトークセッションのモデレーターや登壇、講演、メディア出演も多数。News Picks プロピッカー。
●60点の法則によって築かれた多彩なキャリア
──今のキャリアを確立するに至った、小澤さんの考え方やエピソードについて教えてください。
私は「60点の法則」という考え方を軸に生きてきました。一つのスキルで100点を目指すには膨大な時間がかかりますが、60点程度まで高めるのは比較的容易です。
この60点の法則は「限界効用逓減の法則」とも言えます。学習初期の効果が最も高く、時間とともに効率は下がるため、最初の一定期間で得られる効果をさまざまな分野で獲得してきました。メディア制作、企画、ディレクション、経営戦略、そしてAIなど、それぞれ完璧ではなくても、スキルを掛け合わせることで独自の強みを構築できたと思います。
また、私のキャリア確立のもう一つの理由は、プランドハップンスタンス理論(キャリアは偶然の産物であり、それを活用できる人の特徴を示した理論)の実践で必要とされる好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心という5つの要素があったからだと思っています。これらの要素を育んでくれた両親や祖父母の教育に感謝しています。
●データ起点で考える、生成AI活用の本質
──人事領域における、生成AI活用の現状について教えてください。
2019年の調査ですが、AI活用において「課題がわからない」と答えた企業が4割前後と高く、企画から実証実験段階を経て実装フェーズに至っても、その割合はほとんど改善されませんでした。これは技術ありきで考える企業が多いことを示す本質的な問題です。だからこそ私は「Problem 1st・Data 2nd・AI 3rd」という原則を提唱しています。
具体的な成功事例として、dipのAIエージェントサービスがあります。AIチャットボットで仕事探しができるサービスですが、その裏側には約2,900人の営業担当者による地道なデータ収集があります。
各店舗に直接足を運び、働く環境や雰囲気、具体的な仕事内容までインタビューして情報をデータ化。この豊富なデータがあるからこそ、生成AIと組み合わせることで求職者一人ひとりのニーズに合った職業紹介が実現できています。これは、アナログデータをデジタル化する「デジタイゼーション」があってこその成功事例です。
●なぜ人事が生成AI導入の主導権を握るべきなのか
──生成AI活用において、人事部門はどのような役割を果たすべきか聞かせてください。
人事部門は、生成AI導入の主導的な役割を担うべきだと考えています。生成AIは請求書管理システムのようにマストで使うものではなく、適用分野は幅広いものの強制力は低い。そのため、導入の成否を分けるのは使う人のスキルと組織文化です。
人事制度でインセンティブを設計し、教育と検証を通じて現場の文化を変えていく。この一連のプロセスを推進できるのは、DX部門ではなく人事部門です。ただし、これは人事部門単独では実現できません。私は「人事部門とDX部門を一緒にすればいい」と考えるほど、密接な連携が必要だと感じています。そして、この連携を実現するには、経営層のコミットメント以外にありません。
一人事としてできることは、まず採用管理システム(ATS)やタレントマネジメントシステムの導入を積極的に進め、自社チャネルの採用歩留まり改善に取り組むことです。こうしたデータ基盤の整備が、次のステップへの足がかりとなります。
●データ基盤が変える、これからの人事と組織の在り方
──生成AIがもたらす価値と、人事部門が向き合うべき未来について、どのようにお考えですか。
生成AIは自分や組織の価値を見つめ直す機会を与えてくれます。自身の存在意義や、組織ならではの強みを再確認するきっかけになる素晴らしい技術です。
このような技術を活用し、より良い人材をアトラクトしていくためにはデータドリブンな人事への転換が不可欠です。例えば、これまでの採用プロセスでは変数を入れ替えるだけのテンプレートメールが主流でしたが、生成AIを活用することで候補者一人ひとりの個性に合わせたコミュニケーションが可能になります。細やかな対応は、歩留まり率の改善にもつながるでしょう。こうした取り組みの基盤となるのが、採用管理システム(ATS)などのデータベースレイヤーです。
「AIに仕事を奪われる」という懸念を聞きますが、実際には「AIに精通していない人がAIに精通した人に仕事を奪われる」というのが実態です。生成AI時代の人事には、こうした変化を見据えた人材育成と組織づくりが求められています。
①生成AIの基礎と可能性
・生成AIの進化と変革~企業活動におけるパラダイムシフト~
・デジタル変革の新段階~データ基盤構築からAI活用まで~
・既存システムの再定義~生成AIによる価値創造の可能性~
・組織戦略の転換期~生成AI時代の組織設計と推進体制~
・データ起点の変革~持続可能なAI活用に向けた実践アプローチ~
②人材戦略の未来像
・次世代型人材要件~AIネイティブ人材の特徴と育成施策~
・“専門性”頼りはもう終わり?~総合型人材への移行とその対応~
・リスキリングの本質~生成AI時代に求められる学び直し~
・進化するタレントマネジメント~データ活用による人材配置の最適化~
・組織文化の再創造~テクノロジーと人材育成の融合~
③HRテック革新
・人事DXロードマップ~具体的な導入ステップと推進方法~
・採用改革の実践~データドリブン採用の設計と運用~
・採用体験の進化~AIがもたらす個別最適化の可能性~
・これからの人事~生成AI時代の人材育成と組織対応~
・プロンプト活用法~人事業務における実践的な設計と運用~
■メディア・企業からのお問い合わせ先
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「企業における組織づくりのあり方について再考し、経営層や人事部門の皆さまに対して有益な情報発信を行う」をミッションに掲げ活動しています。