可愛さも実用性も欲張れる!フィアット「600e」の魅力

2025.01.10 12:00
フィアットといえばイタリアのベーシックカーブランドとして広く知られている。中でもコンパクトモデルのフィアット「500(チンクェチェント)」は、愛らしいボディと相まってブランドを象徴する存在だ。フィアットはバッテリーEVにも積極的で、2022年には500のBEV版である「500e」をデビューさせている。
今回試乗した「600e ラプリマ」は500eのボディをひと回り大きくした5ドアハッチバックモデル。BEVといえば最初に気になるのは航続距離だが、今回はフィアットならではの愛らしい表情に目を奪われた。
少し眠そうな目をしたアニメキャラクターのようなフロントマスクが特徴的で、正面からのキャラクター顔に対し、横から見たシルエットは思いのほかボクシーで、丸くて小さな500eより実用性を重視している印象だ。
前後のドアを開けて室内を確認すると、白い内装色の効果もあって、広々とした印象を受けた。ボディサイズはBMWのラインアップ中で最小のBEV「iX1」よりも全長で300mmほど短い。つまり、普段使いに最適なサイズ感だ。
運転席からの眺めもフィアットらしさがあふれている。すっきりとしたダッシュパネルは全体的に丸みを帯びたデザインで、500eの兄弟車らしさが随所に感じられる。走り出すと、スロットルを踏み込んだ瞬間から鋭い加速を披露。とはいえ、BEVのハイパワーモデルでありがちな、リアが沈み込むほどの暴力的な加速ではなく、高速道路の合流時に“ちょうどいい”実用的なダッシュ力を提供してくれる。
前輪を駆動するモーターの最高出力は156ps。これに対する航続距離はバッテリー残量96%で400km弱と表示されていた。これはWLTCモード値(493km)の約2割減で、現代のBEVの常識に即している。この数値が示す通り、近場の普段使いなら週1回の充電で十分だし、途中で30分ほどの充電を挟めば、週末のゴルフ場往復も余裕でこなせるだろう。
今回は混雑した都心と首都高速で約120kmを走行した結果、外観の可愛らしさとは裏腹に、基本性能の高さが際立つことを実感した。ボディは硬質でカッチリとした印象で、乗り心地はしっとりとして心地よい。特にステアリング上のスイッチで操作するアダプティブクルーズコントロール(ACC)や、横長モニターを通じたインフォテイメントシステムの操作性は直感的で扱いやすい。比較的新しいプジョー系プラットフォームの採用が、これらの高い完成度に寄与しているのだろう。
リアのラゲッジスペースは丸みのあるスタイリングの影響もあってコンパクトだが、6:4分割可倒式リアシートを活用すれば、キャディバッグも問題なく積載可能。1本なら4の部分を倒せばよく、2本なら6の側を倒すことでスムーズに収納できる。
フィアット500eはその愛らしいスタイリングで多くのファンを魅了しているが、ミニマルな2ドアボディゆえに万能とは言い難い。その点、600eはサイズ感、使い勝手、そしてBEVとしての性能全てにおいてバランスが取れており、弱点がほとんど見当たらない。フィアットならではのデザインが気に入ったなら、「買い」という判断に間違いはないだろう。
フィアット 600e ラプリマ  車両本体価格: 585万円(税込)ボディサイズ | 全長 4200 X 全幅 1780 X 全高 1595 mmホイールベース | 2560 mm車両重量 | 1580 kgモーター出力 | 156 ps(115 kW)最大トルク | 270 N・m一充電航続距離 | 493 km(WLTCモード)お問い合わせ先www.fiat-auto.co.jp
Text : Takuo Yoshida

あわせて読みたい

電動版Gクラス登場。電気で走るメルセデス・ベンツ「ゲレンデ」は、なにが凄いのか?
GOETHE
フィアットらしいかわいさ全開の新しい電気自動車
MEN'S EX
【老舗茶舗 京はやしや】期間数量限定で和生菓子「いちご琥珀餅」販売
PR TIMES Topics
アウディの「Q4 e-tron」「Q4スポーツバックe-tron」によりパワフルな仕様の「45 e-tron」が登場
webCG
【国内試乗】日産自動車のフラッグシップEV、いま改めて検証する“アリアの進化と真価”とは!?
CARSMEET WEB
いつもの朝食プラス「Y1000」でウェルネスライフ。管理栄養士が奨める新習慣!
antenna
ロータスらしさを電動&5ドアで実現 ロータス「エメヤR」
BRUDER
走るデザイナーズマンション? すっきりとシンプルなボルボ「EX30」
BRUDER
【横浜初上陸】フレンチトーストの専門店「The French Toast Factory」オープン
PR TIMES Topics
伝統のSUV開祖がついにフル電動化 メルセデス・ベンツ「G580 with EQテクノロジー」
BRUDER
【比較試乗】オーソドックスなSUVボディを纏った最強のコンパクトBEVは!?「BMW iX1 vs ミニ・カントリーマンSE vs ジープ・アベンジャー vs メルセデス・ベンツ EQB」
CARSMEET WEB
フィアット600eラプリマ(FWD)【試乗記】
webCG
MINIクーパー3ドアSE(FWD)【試乗記】
webCG
【国内試乗】オフロード性能もしっかりと確保されたジープ初の電気自動車「アベンジャー」の実力を試す!
CARSMEET WEB
【ロングドライブ】ボルボのBEV「EX30」で京都から都内までロングツーリング「ボルボ EX30 ロングドライブ」
CARSMEET WEB
ソフトウェアを熟成させたことで安全性能が大幅進化! ボルボらしさが凝縮されたフラッグシップBEV「ボルボEX90」に試乗
CARSMEET WEB
とどまることを知らないメルセデスの最新テクノロジーとは? メルセデス・ベンツの最新技術ワークショップ「INSIGHT Mercedes-Benz DRIVETRAINS & EFFICIENCY WORKSHOP」
CARSMEET WEB