名称は新しく、仕上がりは熟成の域に VOLVO「EX40 ウルトラツインモーター」

2025.02.28 12:00
かつては“堅牢なクルマ”をアイデンティティとしていたボルボ。近年は北欧デザインの美意識を全面に押し出しつつ、電動化を着実に進めている。その流れの中で登場したのが「EX40ウルトラ ツインモーター」。名称こそ新しいが、実はこれまでの「XC40リチャージ」(BEVモデル)が、マイナーチェンジのタイミングで改名されたもの。つまり、XC40シリーズの中からBEV(電気自動車)が独立し、EX40シリーズとして新たな展開を見せることになった。
スタイリングは従来のXC40リチャージと大きく変わらない。しかし、2017年にデビューしたXC40のデザインが、わずかなリファインのみで今なお新鮮さを保ち続けているのは驚きだ。他の40シリーズと差別化されているポイントは、フロントグリルを覆うパネル。これによってBEVであることを視覚的にも強調している。
EX40シリーズの駆動方式は、シングルモーター(RWD)とツインモーター(AWD)の2種類。グレード展開はベースモデルの「プラス」と上級の「ウルトラ」だが、AWDは「ウルトラ」のみの設定となる。試乗したのはAWDモデルのウルトラ。前後にモーターを1基ずつ搭載し、パワートレインは改良が施されている。従来は前後とも204psだった出力が、フロント150ps、リア258psへと変更され、リア寄りのパワー配分となった。
バッテリー容量は73kWhで、一充電あたりの航続距離は560km(シングルモーターは590km)。BEVでは実際の走行距離がカタログ値の8割ほどとされるが、それでもゴルフ場への往復程度は問題ないだろう。
ボディサイズは「EX30」より20センチ長く、BMW 「X1」より10センチ短いという絶妙なポジション。取り回しのしやすさを維持しつつ、SUVらしい存在感も備えている。ラゲッジスペースは、ゴルファーにとって「最適」とまでは言えないものの、リアラゲッジ下やフロントにも収納スペースがあり、実用性は十分だ。
特筆すべきは、ボルボの最新モデルに共通する“キーを持って乗り込むだけ”のスタートシステム。運転席に座れば、電源ボタンを押すことなく、シフトをDに入れるだけで走り出せる。最初は戸惑うが、慣れれば利便性の高さを実感するはずだ。 実際に走り出すと、まず感じるのは想像以上の安定感。リアモーターの出力が強化されたこともあり、動き出しの瞬間から力強さが伝わる。アイポイントは高すぎずちょうどよく、視界の広さも安心感をもたらす。BEVならではの静粛性はもちろん、サスペンションやタイヤが適度に柔らかく、プレミアムSUVらしい上質な乗り心地を実現している。
街中から高速まで試したが、以前のXC40リチャージにあった“重さ”を感じさせない一体感のある走りに進化していた。サスペンションが改良されただけでなく、前後モーターの協調制御の精度が向上した影響もあるのだろう。ボルボのADAS(先進運転支援システム)は信頼性が高く、長距離ドライブでもストレスなく走り続けられる。
EX40シリーズの販売はEX30と同様にオンライン限定。公式サイトを見ると、納期は約6週間と記載されている。自宅や近隣に充電環境があり、長く乗れる高品質なBEVを求めるなら、EX40は最適な選択肢の一つとなるだろう。
ボルボ EX40ウルトラツインモーター  車両本体価格: 789万円(税込)ボディサイズ | 全長 4440 X 全幅 1875 X 全高 1650 mmホイールベース | 2700 mm車両重量 | 2160 kgモーター最高出力 | フロント 150 ps / リア 258 psモーター最大トルク | フロント 252 N・m / リア 420 N・m一充電走行距離 | 560 km(WLTCモード)お問い合わせ先www.volvocars.com
Text : Takuo Yoshida

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