自然のめぐみと、ほんまもんのおいしさを伝える。豆のトップメーカーであるフジッコ×小田垣商店×神戸ポートピアホテルの3社による「とびっきりの食育」

2024.11.28 13:30
収穫体験で嬉しそうな表情を見せる参加者


 1960年に創業したフジッコ株式会社(本社:神戸市中央区/代表取締役社長執行役員:福井正一)では、「自然の恵みに感謝し 美味しさを革新しつづけ 全ての人々を元気で幸せにする 健康創造企業を目指します」を企業理念の基本に据え、たゆみない研究開発と時代の先を見据えた商品づくりで、日本の伝統食から世界の長寿食、さらにその先を目指し、安心、安全で、いつも新たな発見のある食生活を提案することを目指し「おいしさ、けんこう、つぎつぎ、わくわく。」というスローガンを掲げています。


 そんなフジッコには、2009年から継続している活動があります。それが「丹波黒黒豆」をテーマとした食育活動です。


 「丹波黒」とは、黒豆の中でも、とりわけ粒が大きく、ふっくらと柔らかく、食味が良いと言われる品種です。この黒豆を使用したフジッコの「
」は発売から40年を超え、お客様に愛され続けるロングセラー商品です。
自分たちが大事にしている商品の価値を真摯に伝え、子どもたちを喜ばせたい
 近年、煮豆の食卓出現頻度は減少傾向にあります。フジッコでは、その理由を競合料理や新たな食品の増加で和食の食卓頻度が相対的に減少していることや、食卓にあがる品目数が減っていることに起因していると考えています。
 フジッコは、豆を手軽にお楽しみいただくために豆を使った商品を45年以上に渡り作り続けてきました。ですが、毎日の暮らしの中で豆をもっと気軽にお召し上がりいただきたいという思いから、2024年は「原点回帰」と題して豆の普及活動を進めています。
豊田さん


 そこで、3年前に「丹波黒」に関する食育活動の担当者に指名されたのが、元海上自衛官という異色の経歴を持つ、コア事業本部の豊田麻衣子さんです。社内複業制度を活用し、広報室を兼任しているほか、持ち前の企画力と実行力で、丹波黒の食育活動を牽引しています。


 「この活動は、2009年から承継されてきた食育活動ですが、私が担当者になった次の年に、内容を一から見直し、現在の「丹波黒育成体験プログラム」に名称も改めました。半年の月日をかけ、丹波黒黒豆の生育過程を実際に体験することで、自然のめぐみや生産者への感謝の気持ちを養うことを目的としています。」(豊田さん)


 当プログラムでは、丹波黒の育成はもちろん、企業や商品、生産地への「共感・愛着・信頼」を育み、子どもたちの感性を刺激するための工夫が随所に散りばめられています。


「丹波黒の苗植え・手入れ・収穫までの農業体験と、穫れたての新豆を味わう会をセットにした全4回のプログラムには、各回に「出会う」「知る」「味わう」というテーマを設けています。ただ、私の性格上、真面目にやるだけでは面白くないので、随所にアソビゴコロを取り入れています。ご応募が多いため、厳正な抽選を行い、今年は17組34名の皆さまにご参加いただいております。」(豊田さん)
小田垣商店伝統の「手撰り」を体験する参加者たち


「第1回は、6月初旬に行う「苗植え」体験です。午前中に、圃場を管理している小田垣商店の田村さんによる指導のもと、保護者の皆さんと力を合わせて苗を植えていきます。畑いっぱいに黒豆の苗を植え、午後は「くろまめ隊員任命式」を行い、自己紹介、豆の授業、豆つかみゲーム小田垣商店伝統の「手撰り」体験を行います。この過程で、子どもたちは、丹波黒や半年間共に過ごす仲間と「出会う」。


そして、第2回は、8月中旬に行う「手入れ」体験です。午前中に、圃場の雑草を抜いたり、水やりをしたりしながら、この時期にしか咲かない丹波黒の花を愛でたり、丹波篠山の夏の暑さを体感してもらいます。午後は、お絵描き体験。午前中の記憶を元に、神戸市在住のイラストレーター・みしまあきひろさんのてほどきを受け、グループ毎に大きな絵を描きました。この日のテーマは「知る」。まさに丹波黒や丹波篠山を知る絶好の一日でした。」(豊田さん)
大きなキャンバスに両手を使って自由に絵を描く


「第3回は、10月中旬に行う「収穫」体験です。午前中は、6月に植えた丹波黒の若さやを収穫します。午後は、みそづくり体験と、「十三夜」と呼ばれる日本独特の風習を学びながら、お月見団子を味わいました。この日のテーマは「味わう」。一日中、丹波黒を味わい尽くしていただきました。」(豊田さん)
参加者にとびっきりの体験を


「このプログラムでは、普段の生活では決して見ることができないものづくりの現場を子どもたちに伝えること、大地や水、風に触れながら、五感を使って丹波黒を味わってもらうことを大事にしています。臨場感あふれる、息をのむような作業工程を見ることや、どんな人がどんな想いで商品を生産しているのかを知ることは、子どもたちにとって、貴重な体験になることは間違いありません。」(豊田さん)
強力なパートナーとともに「とびっきりの体験」を提供する
 「丹波黒育成体験プログラム」には、株式会社小田垣商店及び株式会社神戸ポートピアホテルにご協力いただいています。


 育成面でこのプログラムをサポートしていただいているのが、
さんです。営業部長の山本さんと、丹波黒の圃場を管理・提供している田村さんが、丹波黒の育成を支えています。
*小田垣商店は、享保十九年(1734年)に兵庫県丹波篠山市で創業した老舗豆類卸小売業者です。丹波黒大豆と丹波大納言小豆にこだわり、古くから栽培されてきた黒豆や小豆を先人の努力により幾多の選抜を繰り返し、今日の大粒で美味な大玉丹波黒大豆、丹波大納言小豆に育てあげ、丹波黒の価値を発信しています。
フジッコとは、上野東照宮・金色殿で160年ぶりに、「令和五年「黒豆奉納式」(徳川将軍への黒豆献上)」を復活開催させるなど、和食文化継承および黒豆の魅力発信を目的とした活動を展開しています。
令和五年「黒豆奉納式」


「僕はこれまで、丹波篠山の気候や土が育む、丹波黒の魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと祈りながら、ひたむきに丹波黒に向き合ってきました。参加者の皆さんが土に触れ、トンボやカエルを見てはしゃいだり、嬉しがったりする様子を見たり、このプログラムで提供した「丹波黒おむすび」をきっかけに、豆が食べられるようになったといったお声をいただいたりするたびに、胸が震えています。そして、毎回毎回子どもたちを喜ばせるために、全力でこのプログラムに打ち込むバイタリティあふれる担当の豊田さんに圧倒されつつ、その熱意に賛同し、活動を支援しています。」(山本さん)
(左から)小田垣商店の田村さん、山本さん


 続いて、おいしさをサポートしていただいているのが、
さんです。シェフを含む3名のスタッフが、毎回おいしい差し入れを片手に、子どもたちを見守っています。
*神戸ポートピアホテルは、神戸のポートアイランドに位置する、1981年開業のシティリゾートホテル。世界と交流する国内屈指のコンベンションホテルとして数多くの賓客をもてなしています。ホテル内には多彩なジャンルのレストラン・バーを備え、地元・兵庫県産の食材を中心に地産地消を推進しています。


「このプログラムの面白みは、企業同士が協力し合い子どもたちを本気で楽しませようとすることにあります。参加している子どもたちのきらきらした眼差しや、僕たちの作ったものをおいしいおいしいと食べてくれる姿に、毎回やる気をもらっています。」(シェフの太田垣さん)
とびっきりのおいしさで参加者を喜ばせる


「フジッコだけで実施するのではなく、想いや志を同じくする仲間と協力してプログラムを創り上げることで、それぞれの得意技を結集し、より味わい深いプログラムになるのではないか、また、丹波篠山という地域や、小田垣商店、神戸ポートピアホテルの魅力を発信することができるのではないかと考え、無理を承知で、さまざまな試みやアイデアの実現のため、お力をお借りしております。」(豊田さん)
企業とお客様を超えた「仲間」に
 担当者の「丹波黒育成体験プログラム」に対する熱い想いは、確実に参加者の心を掴んでいます。


「収穫した丹波黒、家で美味しくいただきました。少しずつですが、家族や友達、会社の人にもお裾分けして、今回の、フジッコさんの企画を説明して、お友達や会社の人は「へ〜、すごいね!フジッコってそんな事してるの?!」って、皆さん、驚いていましたよ。どれも、とても貴重な体験をありがとうございます。応募した時には、ここまでの素敵な体験が詰まっているなんて想像もしていませんでした。」(保護者の声)


 担当者の豊田さんが大事にしたいのは「顧客体験」だといいます。


「これからの時代「いい商品を作れば売れる」という古来からの戦法では、生き残っていけないという危機感を持っています。だからこそ、食育活動などを通じて、われわれが大事にしている価値や想いを参加者の皆さまにお伝えし、フジッコを心から応援してくれる「仲間」や「ファン」を増やしていく必要性を強く感じています。ファンの口コミと伝播力ほど、心強いものはありません。」(豊田さん)


 第4回は、いよいよ「獲れたての新豆を味わう会」です。
 午前中に、フジッコ本社で、完熟した丹波黒のさや外し体験や、半年間の振り返り、おせちについて学んだ後、神戸ポートピアホテルで、北原和食総括料理長が、子どもたちに、ほんまもんの味を伝えます。






写真:中村 年孝

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