愛知県豊橋市の「健康サポート いきものがたり工房」岡田は産業看護師として、経営者・人事・総務部向けのメンタルヘルス対策、熱中症予防対策、健診データの見方、腰痛予防対策などの健康安全研修や従業員の休職や復職支援、メンタル相談等の産業保健のコンサルタント業を行っております。
事業継続計画(BCP)に基づく労働安全衛生の重要性を理解し、従業員が緊急事態に的確に対応できる能力を身につけることを目的として、2024年6月より
従業員が転倒してケガや骨折などした時、医師も看護師もいない状況で救急車が来るまでに企業の備品を使って応急処置ができ、企業が直面するリスクを軽減し、安心・安全な職場環境を提供するための「労働安全衛生と応急処置法、BCPの実践的教育」という新しい研修プログラムになっています。
ナースdeナイス研修では何が学べ、そのことがどのような事に繋がるのかをご説明します。
作業現場での忘れられない経験
健康サポート いきものがたり工房は企業内の産業看護師と違って、個々の企業の健康課題や個人相談等、建設業、製造業など幅広い職種の法人企業様の健康サポート活動をしています。
例えば大手自動車会社では、健康診断後の精密・再検査の方々に健診データの説明をしながら病院受診の必要性について説明をしたり、特定保健指導教育、休職・復職支援、メンタル相談などの業務に携わってきました。また、熱中症時の対処、ケガや骨折などの応急処置など産業看護師として産業医、職場と連携しながら従業員の方々の健康管理をしてきました。
企業内産業看護師として勤務する中で忘れられない事例があります。野外現場で1人作業をしている従業員が倒れている所を、他の従業員が発見し医務室に連絡通報、私たち医療チームが現場に到着した時、倒れた方を囲むように多くの従業員の方が「どうしよう どうしよう 何したらいい」と只々立ちすくみ見守っている状況で、患者さんは呼びかけにも反応がなく、呼吸も浅く、嘔吐、失禁している状態でした。そんな緊急を要する事態でしたので、直ぐに救急搬送したのですが脳梗塞で半身麻痺になり、しばらく入院治療後亡くなられました。
多くの従業員が慌てず対処できるように。企業人材育成プログラムの一環として発案
急病や事故が発生した場合、救急車が到着するまでにかかる時間は約10分間です。この10分間に適切な応急処置を行うことが出来るかどうかは、その現場にいる人たちの「知識」と「判断力」にかかっています。この場面のように「もしあの時、早めに処置していれば・・・」と後悔する場面は珍しい物ではありません。特に労働現場や日常生活において事故やケガが発生した時に冷静に適切な対処ができる知識や技術を学んでいれば命を救うことも、ケガの悪化を防ぐことも、症状を悪化せずに救急車に繋ぐことができます。
しかし、情報や症状を上手く伝えることが出来ない方が多いため、救急隊に正しい情報や症状を伝えることも含めて学べる内容にしています。
そんな想いから救急車が来るまでに適切に対処できる応急処置法を身につけ、イザという時に慌てず行動できるように一人でも多くの従業員の方々が楽しく応急処置法を学べる方法はないかと模索し、企業人材育成プログラムとして視覚的に楽しめる応急処置法のカードゲーム”ナースdeナイス”をアドバイザーと共につくりました。
ナースdeナイス応急処置カードゲーム創作過程
応急処置の知識は職場や家庭で知っていると役に立つものです。
しかし、一般の従業員の方々に医学的な知識を伝えることは、”難しそう” ”できるかな” と不安を感じやすいのが事実です。
また、災害時を想定したグループディスカッションでは白熱しすぎてグループ内で意見が対立したり対立したり、笑顔が無い場面がありました。
そこで、誰でも楽しく応急処置が身につけれる方法はないかと、いろいろ模索し楽しく学べる方法としてカードゲーム形式を取り入れることを思いつきました。
一度聞いたら誰でも身につく。さまざまな場面が学べる研修構成
職場や家庭で起きやすい、ケガや骨折の対処法、出血時の対処、熱中症予防対策、災害関連死対策、災害時のメンタルケアなど多岐にわたるケースを考えました。
応急処置の基本的手順を項目ごとに質問形式・アイテム探しなどを入れて誰でも1度聞いたら身につけれるように構成し、必ず看護師の私が経験・体験した内容事例を交えながら解答を伝えるようにしています。例えば、止血時間に関しては医学的根拠を取り入れた解答を分かりやすい言葉で伝えるようにしています。
「楽しい」と「学び」を両立!ナースdeナイスが提供する研修の工夫
ケガや病気の対処法を皆さんが知っていれば、直ぐに応急処置ができるようになる。
誰でも1度受講しただけでナース(看護師)になれることをイメージして思いついたのが”ナースdeナイス”という言葉でした。
また、普段の研修では、いつ質問が来るのかという緊張感でドキドキしていたり、参加型ではない聴くだけの研修になってしまっている様に感じ、遊び心を取り入れた自由な発想でコミュニケーションが取れるゲーム感覚で応急処置が学べるカードゲームのアイデアが生まれました。
ゲームを通じて応急処置力を養成!ナースdeナイスの構成
一例として、ケガの応急処置の項目では、「ケガをした時まず何をしたらいいの?」「血を止めるには何が使える?」など項目ごとの手順で応急処置を知っていれば、1回聞いて誰がやってもケガや出血等の対処法ができるようになるのが”ナースdeナイス”です。
また、このゲームではグループで互いにセッションしながら楽しめる内容にして応急処置の知識を楽しく身につけてもらう。まるで職場や家庭が病院化して、この疑似体験を通じて緊急事態に直面する場面での応急処置ができるようになっていただくことを目指しました。
受講生からの斬新な提案が研修をより楽しく進化させる
医学的知識を子どもから大人まで誰が聞いてもわかるように正確に伝えるとともに、カードゲーム形式の面白さを取り入れることで応急処置法の手順が身につき、ゲーム感覚で楽しく学んでいただけるよう、アイテム探しなどの項目も入れる工夫をしながら作り上げました。
応急処置カードを実際に使いデモを行ったところ、受講生の皆さんの楽しい笑い声、発想豊かで柔軟なアイデアを提案している楽しそうな様子に、”ナースdeナイス”を作って良かったという思いに。
受講生の皆さんからは「看護師さんから直接に事例を含めて応急処置の仕方を学べたことがすごく良かった」との感想をいただき、大きな手応えを感じるとともに、オフラインでの研修がこのゲームに合っていることを実感することが出来ました。
また、企業ごと、グループの組み合わせによっても答えにも違いがあり、「このケガには、タコ糸が使えるんじゃない?」などと独自のユニークなアイデアが次々と出てきます。
講師の私でも気づかない新たな発想、気づきを聞くことで、毎回、私自身も楽しんで講義させていただいています。受講生の方から出てきたアイデアに少し看護師のアドバイスを加えて、使い方・対処方法などを提案しています。
このように受講生の方のアイデアを活かした解答をするように心がけていることで、企業様、受講生の方からも、「こんなにワクワク楽しい研修は受講したことがない」「今度は災害時のトイレについても教えてほしい」と巷では大評判になっています。
全国展開へ応急処置カードゲーム「ナースdeナイス」の未来展望
2024年6月6日、ナースdeナイス商標登録取得。ナースdeナイス商品及び役務として、教育分野における知識の教授、職業訓練、教育分野における情報の提供、ノウハウの伝授などなど多岐の項目を提供することができます。
現在、公共団体を通じて研修をオフラインで実地。参加者の方々からはカードゲームで学んだ内容は「1度聞いただけで直ぐに実践でき、受講した内容は記憶に残る物で家族や知人にも伝えていきたい。」との御意見をいただき大変喜ばれています。私が看護師として実践してきた内容を、受講された方々のコミュニティで繋げて行って欲しい、繋げていきたいと考えています。
労働安全衛生の向上、BCPとの連携、メンタルヘルスへの配慮、ナースdeナイス応急処置カードゲームの活用を通じて、今後の研修プログラムを進化させ、企業現場における安全性と応急対応力を高めて行きたいと考え行動していきます。これからの動向をぜひ楽しみにしていてください。