オープンキッチンがつなぐ、子どもたちの未来へのバトン

2024.09.12 12:13
キユーピーは日本国内の工場のうち3カ所で工場見学を実施しています。“工場は家庭の台所の延長”と考え、私たちは工場見学のことを「オープンキッチン」と呼んでいます。サステナビリティ目標の取り組みテーマに「子どもの心と体の健康支援」を掲げるキユーピーグループにとって、オープンキッチンは重要な食育活動の一つでもあります。茨城県にある五霞工場では、さまざまな工夫をして子どもたちへ食の大切さやものづくりの魅力を伝えています。
五霞工場のオープンキッチン
関東平野のほぼ中央、四方を利根川や江戸川といった河川に囲まれた茨城県五霞町の工業地帯に、キユーピー五霞工場があります。東京ドーム7.5個分の広大な敷地に立つ五霞工場は日本国内のキユーピーの工場の中でも最大の規模を誇り、東日本で消費されるキユーピー マヨネーズをはじめ80以上のアイテムを製造しています。兵庫県にある神戸工場と並ぶマザー工場として、キユーピー商品の生産を支える“東の拠点”となっています。


「五霞工場のオープンキッチンでは、マヨネーズとドレッシングの製造工程を見学いただけます。見学者は一日平均60〜80名、多い日には200名にのぼり、4名体制でご案内しています」


そう話すのは、五霞工場のオープンキッチンをとりまとめる総務課長の笠 英会(りゅう てるえ)です。
キユーピー 五霞工場 総務課 笠 英会


「お客様ご自身の目でキユーピー マヨネーズやドレッシングがどのように作られているのか見ていただくことは、お客様に安心をお届けする最良の機会だと思っています。キユーピーはかつてミートソースなどの缶詰商品を製造・販売していました。『缶詰は中身が見えない。だからこそ正直者が作らなければならない』というのが創始者である中島董一郎の教えです。工場を公開することは、何を見られても問題がないという安全・安心の証でもあるんです。
製造工程をご覧いただくだけでなく、お客様とのコミュニケーションも大切にしています。お客様に楽しんでいただき、お役に立てる情報を一つでもお届けできるよう日々工夫を凝らし、お客様と向き合っています」
社会科見学で伝える食とものづくりの魅力
キユーピーの工場見学の歴史は古く、その活動のスタートは1961年まで遡ります。食品業界では生産現場を公開することが珍しかった当時、小学生の社会科見学を実施したことがきっかけです。創始者 中島董一郎の『食を通じて社会に貢献する』という精神のもと、健やかな食生活の実現をめざす食育活動の一環として定着しました。


「現在も近隣小学校の社会科見学の場としても活用いただいています。子どもたちにキユーピー マヨネーズができるまでの製造工程を見てもらうのはもちろんのこと、マヨネーズの原料や容器のことなどもお伝えしています」


最初はちょっと緊張していた子どもたちもクイズなどを交えてコミュニケーションをとりながら説明していくと、次第にリラックスして笑顔が増え、積極的に質問をするようになります。
「特に子どもたちが目を輝かせ、見学者通路の窓越しに釘付けになるのが、マヨネーズの原料である卵の割卵機ラインです。1分間に600個というスピードで卵が割られ、卵黄と卵白に分けられていく光景と、うまく割れなかった卵を手早く取り除く従業員の早業に子どもたちの驚きと歓声が響き渡ります。機械と人が共に作業する製造ラインの様子は、子どもたちにとって新しい学びです。機械の精密さと人の技術の協力によって生まれる商品を見ることで、ものづくりの新たな魅力も感じてもらえると嬉しいです」


五霞工場の見学者通路は、工場で働く従業員も通る場所です。この構造を生かして、従業員全員で子どもたちをお迎えしようという意識を大切にしています。


「ささやかではありますが、すれ違う時は従業員から積極的に挨拶をしたり、製造ラインにいる従業員から手を振ったりして、子どもたちと触れ合う機会をつくっています」
私たちがつなぐ未来への大切な70分
社会科見学の時間は70分。限られた時間の中で何を持ち帰ってもらうかが重要です。


「社会科見学では、子どもたちの心の成長を促す応対を心がけています。質問や疑問に対して真摯に向き合い丁寧に答えることで、好奇心や探求心を育むサポートをしています。また、積極的な参加を促すようなクイズやディスカッションを取り入れ、学びを楽しい体験に変える工夫もしています。日々磨き続けるために、今日の反応はどうだったのか?どんな質問があったのか?などを全員で都度共有しています」


今まで通りの見学内容を継続していては、案内するスタッフも子どもたちも進化できません。小学校で学ぶ内容も今の大人たちが小学生の頃に学んできた内容から変化しています。常に学び続ける必要があります。


「例えば、SDGs(持続可能な開発目標)は、私たちが小学生だった頃には学ぶ機会がなかったテーマです。しかし、現在の子どもたちは学校でSDGsについて学んでいます。そこで、企業とSDGsの関係をどのように伝えれば子どもたちに分かりやすく、興味を持ってもらえるかを常に工夫しています。また、子どもの頃の食習慣は大人になっても大きな影響を与えるため、野菜や卵を食べることの重要性も楽しく学べるよう工夫しています」
子どもたちの70分が有意義な時間となって、「楽しかった!」「来てよかった!」「学びがたくさんあった!」という気持ちになってくれていることを願いながら、子どもたちが帰るときは全員で手を振ってお見送りします。


「お家に帰って『知ってる?マヨネーズの工場ではね・・・』とお家の人たちと会話したり、野菜や卵を食べるようになったり、何か行動に変化があると嬉しいですね。そして、ゆくゆくは食品業界に興味を持ち、私たちと一緒に働きたいと思ってくれることがあると嬉しいです。実際に、就職活動で訪れた学生さんに『子どもの頃、見学に来たことを今でも覚えています』と言っていただくこともあるんです。工場見学で得た小さなきっかけが、子どもたちの未来を大きく変える可能性があると思っています」


見学に来てくれた子どもたちの反応や笑顔は、従業員全員にとって何よりのご褒美です。


「キユーピーでの見学が特別な体験となり、好奇心や探求心が少しでも生まれ、子どもたちが将来にわたり食や健康に対して前向きな気持ちを持ち続けられるよう、私たちも全力で取り組んでいきます」
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2024年9月公開
※内容、所属、役職等は公開時のものです

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