Google Workspace を授業に取り入れやすく、日本の学習環境に合わせた便利な機能を搭載した授業支援ツールを開発・販売しているゼッタリンクス株式会社。
その営業担当であり、元塾講師でもある高橋が自身の経歴を振り返りながら、公教育の現場をサポートするゼッタリンクスへ入社し、キャリアチェンジすることとなった転機や、教育への思いについて語ります。
大手塾での経験。管理職への急な昇進がもたらした心の葛藤
前職では大手の塾で講師をしていました。運とタイミングのおかげで、集客と合格実績で成果を上げ、自分の意思とは裏腹に早々と管理職となり徐々に現場の業務がなくなってきました。もともと、偉くなりたいという気持ちがあまりなかったため、戸惑う気持ちのほうが大きかったというのが本音です。
部門長になってからは、教室責任者時代と比べると大したことはできなかったと思います。特に、最後の 2 年間は新規事業の立ち上げに関わっていましたが、肝心の事業内容よりも、不毛と思える社内調整や人間関係の構築に振り回され、無理な計画をもとに走らざるを得ない状況にストレスでいっぱいでした。大きな声では言えませんが、常にいつ辞めるかを考えていたような気がします。年齢のことを考えれば転職のリスクは相当大きいことは理解していましたが、心の健康を第一に転職に踏み切りました。
公教育の ICT 活用を支援するゼッタリンクスへの入社決意と新たなスタート
転職先は納得がいくまでゆっくり探そうと思っていました。その中で、塾の管理職時代にAI教材などの ICT ツールを積極的に導入していた経験から、学校の ICT 活用をサポートする ICT 支援員に興味を持ちました。
そこで、ICT 支援員を派遣しているゼッタリンクスに応募し、面接を受けました。面接の際、「ICT 支援員以外の仕事もありますよ」と提案され、今までの経験を生かすことができる仕事でもあったことが、この会社により興味を持ったきっかけになります。
当時、自分の中では「ICT の導入や利活用は、塾の方が進んでる」と思い込んでいたんです。面接を受けた時に、主に公立小中学校へ導入されているこの会社の製品案内を見せてもらい、「あれ、、、ちょっと勘違いしてたかもしれない。」と思いました。
全国の小中学校には GIGA スクール構想※で1人1台端末が入った頃だったので、「ひょっとすると塾より公教育の方が進んでるかもしれない」と意識が変わりました。
※GIGA スクール構想とは、文部科学省より提唱され、全国の学校に児童生徒1人1台のパソコンやタブレット端末を配備し、高速通信ネットワークを整備することで、個別最適化された学びと協働的な学びをともに実現させる構想。
当時、ゼッタリンクスは Microsoft Office のこども向け学習支援ソフトを注力商品として販売していました。世界中のビジネスの中で使われている標準ツールをベースにして、必要な部分をソフトとして提供していることに驚き、「世界標準で学ぶ」というコンセプトにとても惹かれました。学校の中だけで使うソフトやツールを開発するのではなく、社会に出てからも活用できるスキルを支援するソフトを提供している唯一の会社だと感じ入社を決めました。
日本の教育における ICT 活用の現状と課題。効率的な授業支援ツールの必要性を強く実感
現在、全国の自治体や代理店営業を担当し、営業支援の事業戦略推進部長も務めています。
各地を訪れる中で、先生方や販売店の方々と ICT 教育の未来について熱く語り合う機会が多くあります。
仙台を訪問した際にお会いした、フューチャーインスティテュート株式会社の教育コンサルタントである佐藤靖泰先生と意気投合し、「これまでの学校教育と今後のあるべき姿」について、現場のリアルな声を基に無料ウェビナーを開催しました。
大々的な宣伝は行いませんでしたが、約 150 名の先生方にお申込みいただき、多くの先生方が授業スタイルの刷新や学習効果の向上、協働学習や個別学習を取り入れて児童生徒の主体性を引き出す授業作りをしたいと真剣に考えていることがわかりました。
一方で、ICT の活用が進んでいる自治体と、1 人 1 台端末が導入されても利活用が進んでいない自治体との格差も感じており、効率的な授業支援ツールの普及が不可欠だと痛感しています。
教員向けオンラインセミナーの様子
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GIGA スクール構想の問題点と将来の危機感。学校現場で見落とされがちな ICT 教育の本質的な問題とビジネスツールの活用のメリット
前回の GIGA スクール構想における端末導入は、コロナ禍の影響で計画が前倒しとなり、国や自治体が手探りで進めざるを得ませんでした。その結果、多くの自治体では、授業にすぐに活用できる学習アプリやドリルに頼るケースが多く見られました。
しかしその影響で、教員も児童・生徒も特定の学習アプリしかうまく使うことができないという状況に陥っています。Microsoft Office や Google Workspace のスキルが身についていないのです。
残念ながらこの状況が大問題だという認識が欠けている先生方が少なからずいらっしゃいます。先生方にしてみれば、学校現場では PC スキルが乏しくてもあまり業務に支障が出ることがないのかもしれません。特定の学習アプリに限定された環境で学んできた生徒たちが、そのまま ICT 教育に積極的でない高校に進学し、さらに社会に出ることになれば、彼らは必要な PC スキルを持たないまま社会に飛び込むことになります。この現状に対する危機感は深まるばかりです。
Teams や Google Workspace を使いこなしている小中学生がいる一方で、ほとんど使っていない自治体の児童・生徒がいるのです。PC スキルや ICT のスキルという定義も、一昔前とは変わってきたように思えます。以前は、マウスを駆使して Office ソフトが使えることが指標の一部だったような気がしますが、現在必要なスキルは、クラウド上でファイルを共有し、共同編集したり、個人情報を意識してネットワーク上で安全にデータのやり取りをしたりすることではないでしょうか。そのスキルは単体の学習アプリでは身につきません。
だからこそ、教育現場においても Teams や Google Workspace の活用が必須なのです。
EDIX東京にて登壇
ゼッタリンクスは現在、Google Workspace を授業に取り入れやすくできるように、日本の学習環境に合わせた便利な機能を搭載した授業支援ツール
「Suiteツール for Education」を開発・販売していますが、前述したように、学校の中だけで使うソフトやツールに慣れ親しむよりも、ビジネスで使うことが多いツールやアプリを学生時代から使っているほうがどれだけメリットがあるか、教育委員会にも考えてもらいたいところです。
マーケティング力や営業力を磨く土台となった、バンドでの活動
大学時代、塾講師のアルバイトをしながらバンド活動もしていました。ライブハウスを運営する事務所から CD を出す話もあったため、フリーターとしてバンド活動を続けることにしました。
ツアーでは、タワーレコードなどの大手店舗に自ら宣材とサンプルを持ち込み、地方に行くたびにマーケティング活動も行いました。また、平日夜の費用が安い時間帯にワンマンライブを設定し、2 か月前から営業活動を開始して集客をしていました。似たようなバンドが出演するライブハウスの前でお客様を捕まえてチラシを配り、アルバムのサンプルを手渡して営業しました。お客様の好きなアーティストを聞き出し、そのテイストに似ている自分たちの音楽をピックアップして聴いてもらい、集客を成功させていました。
ニーズに応じたマーケティング力や営業力が磨けたのはバンド活動のおかげです。この濃密な経験は、自分の強みとなっていますし、もし 20 代で普通に就職していたら、何もできないのにプライドばかり高く、会社の文句ばかり言っている人間になっていたかもしれないと感じています。
見守ることで確かな学びにつなげる。新しい授業スタイルのための学習モニタリングツール
これからの学びでは、子供たちが主役となり、先生はあくまでも支援者です。個別学習と協働学習が同時進行する新しい授業スタイルが広がる中、児童生徒が ICT 機器を活用しながら主体的に学びを進める姿を、先生方がしっかりと見守り、支援することが大切です。これを実現するために、ゼッタリンクスでは児童生徒のデスクトップ画面を取得し、先生方が一覧で確認しながら学びをサポートできるツール「Suiteモニター」を新たに開発しました。このツールを通じて、先生方が多様な児童生徒を誰も取り残すことのない環境づくりに貢献し、未来の学びを支えていきたいと考えています。
【会社概要】
社名:ゼッタリンクス株式会社
本社所在地:〒116-0013東京都荒川区西日暮里5-14-4 KYビル5/6階
代表取締役:山田 邦裕
事業内容: 教育ICTソリューションの開発、販売
設立: 2011年7月
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