過去30年でクルマの保有台数は36%増えたのに新車販売は40%減! クルマの需要はあるのに新車が売れないワケ

2024.08.16 17:20
この記事をまとめると
■新車の販売台数の最高記録は1990年の778万台だ
■2020年以降は500万台を下まわる数値となっている
■クルマの高寿命化の理由のひとつに製品クオリティの向上が関係している
新車は売れずともクルマを持つ人は増えた
  2023年に日本国内で売られた新車は約478万台であった。新型コロナウイルスの影響を受けて、半導体の不足などに悩まされた2022年の約420万台に比べると急速にもち直した。それでも過去最高を記録した1990年の778万台に比べると、2023年の販売実績は約61%に留まる。
  その推移を少し細かく見ると、1990年代はおおむね600万台を超えたが、2000年以降は550万台前後に下がり、2020年以降は500万台を下まわるようになった。このような経緯により、30年少々を費やして、国内販売台数は約4割減った。
  その一方で、クルマの保有台数は、30年ほど前に比べると増えている。1990年の4輪車保有台数は5770万台だったが、2022年は7852万台だ。街なかを走っているクルマの数も減っていない。つまり、保有台数は36%増えたのに、販売台数は約40%減ったのだ。
  保有台数と販売台数の推移が相反する理由は、1台のクルマを長く使うようになったからだ。4輪車の平均使用年数(新規登録されてから抹消登録されるまでの年数)は、もっとも保有台数の多い乗用車の場合、1990年は約9年だった。それが2023年には13年を超えて14年に近付いている。クルマの使用年数が1.4倍に長期化した結果、保有台数が増えて販売台数は減る矛盾が生じた。
クルマの品質向上が長寿命化を助長
  それならなぜ平均使用年数が1.4倍まで長期化したのか。この背景には、まず車両の耐久性の向上がある。
  1990年頃に新車として売られていたクルマは、いまに比べると塗装や樹脂部品から各種メカニズムや装備まで、耐久性が全般的に低かった。たとえば直射日光が当たりやすいインパネの上面などは、平均使用年数の9年を超えた車両になると、ザラザラに荒れたり、はく離を生じたりするることもあった。
  しかし、いまのクルマは生産されて10年を経過しても、普通に使っていれば劣化した印象は受けない。たとえば2014年ごろに売られていた先代ヴェゼル、同じく先代エクストレイルなども、現役として十分に通用する。安全装備や運転支援機能などは現行型が優れているが、通常の使用で不都合は感じない。
  クルマの値上げも平均使用年数の長期化に影響を与えた。いまのクルマは安全装備や運転支援機能を割安に装着するが、それでも15年ほど前に比べると、同じ車種同士で比べて価格が1.2〜1.5倍に高まっている。
  その一方で平均所得は伸び悩むから、購入予算が同じであれば、小さなクルマに乗り替える。その結果、軽自動車が新車として売られるクルマの40%近くを占めて、ミニバンやSUVでもコンパクトな車種が売れ筋になった。
  ただし、ユーザーによってはサイズを小さくできない場合もある。そのような人達は、耐久性の向上もあり、従来の愛車に車検を取って乗り続ける。所得が伸び悩む状況でクルマの価格が高まり、同時に耐久性も向上すれば、1台の愛車を長く使うのは当然の成り行きだ。
  とくに最近は新型コロナウイルスの影響で所得が減ったユーザーも多く、新車の納期も遅延しているから、ますます1台の愛車を長く使う。いい換えれば、以前に比べるとクルマを大切に扱うようになった。
  それなのに国は「古いクルマは燃費と環境性能が悪い」と決め付けて、初度登録や届け出から13年を超えると、自動車税や自動車重量税を増税する。「保有台数が増えたのに新車の売れ行きが下がる」事実も、古いクルマの増税が罪悪であることを示している。

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