この記事をまとめると
■高速道路を使用しない人や腕に自信がある人からは先進安全装備を否定する声も多い
■先進安全装備によって事故率が大幅に低減したというデータもある
■先進安全装備は日常生活において間違いなく大きな武器になるといえる
運転支援装備のメリットとは
いま、新車で販売されているクルマには、ADASと呼ばれる前方を走る車両を追従する機能や、交通事故を防止するための自動ブレーキ機能を始め、さまざまな運転支援機能が装備されている。
たとえば、交通事故を防止するための衝突軽減ブレーキ(自動ブレーキ)は、2021年11月以降にフルモデルチェンジをする新車から標準装備が義務化されているし、後退時の事故防止や駐車に役立つバックカメラは、2024年11月以降に発売されるすべての新車に義務化。ヘッドライトの点灯忘れ防止のためのオートライトも2020年4月から販売されている新型乗用車に義務化されているほどで、すべては事故防止、安全のためである。
しかし、運転支援機能としてACC(アダプティブクルーズコントロール)など、主に高速道路で威力を発揮する運転支援機能や装備もあり、「自分は高速道路を走らないし、安全運転を心がけているから運転支援機能など不要」と勝手に決めつけている人もいるかもしれない。
が、それは大きな間違いだ。運転支援機能、装備は日常、一般道走行でも、もはや安全運転のために欠かせないものとなっているのである。もし、運転支援機能、装備が付いていなければ、防げた事故も防げないこともあるから、ことは深刻だ。
「ぶつからないクルマ」として安全性をアピールしてきたスバルのアイサイト(最新機能では3つのカメラとレーダー)の例では、衝突軽減ブレーキによって、追突事故発生率が0.06%(2014年~2018年に発売したアイサイトver.3搭載車)にまで低減。TVCMのように、ついうっかりの事故を防止、低減してくれるのである。これは一般道も高速道路も関係ない。これが義務化されたことで、社会全体の安全、クルマの事故低減につながる大いなるメリットがあるというわけだ。
そして、ニュースでも騒がれている、コンビニに突っ込むような事故を防いでくれる踏み間違い防止アシスト、バック時に死角になる車体後方をモニターに映し出してくれるバックカメラ、クルマと歩行者などの事故が多発する夕方以降に事故を防ぐ、外の明るさをセンシングして、自動でヘッドライトを点灯させるオートライトもまた、夕方、夜間(暗い日中、トンネル走行を含む)の事故率低減に貢献してくれる運転支援機能、装備だと断言できる。
日常走行、一般道走行で役立つ運転支援機能はそれだけではない。一時停止時にブレーキを踏み続けなくていいオートブレーキホールド機能はドライバーの右足の負担を軽減するだけでなく、スーパーマーケットの出入り口などにある料金所などでも、ブレーキを踏む力が抜け、クルマが動き出してしまうことを防止してくれるのだ。
先進安全装備はメリットしかない
さらに、装着車が増え始めているブラインドスポットモニターは、一般道、高速道路を問わず、レーンチェンジ時などでのうっかり接触事故を未然に防いでくれる、カメラやセンサーが常に後方の死角をセンシングしてくれるとても有用な運転支援機能、装備といっていい。
なかでも一般道でも役立つ、トヨタが生み出した先進運転支援機能、装備のひとつが、トヨタの先進運転支援機能のトヨタセーフティセンスに含まれるプロアクティブドライビングアシストだ。これこそ、「自分は高速道路など走らない」という人にもぜひ注目してほしい、安全運転をさりげなくサポートしてくれる画期的な先進運転支援機能、装備である。
その機能は5つあり、まずは歩行者、自転車運転者、駐車車両に対するハンドル操舵、減速支援。リスクを先読みし、メーターで注意喚起してくれるとともに、危険に近づきすぎないように、減速、ステアリング操舵を行ってくれる。
筆者がプロアクティブドライビングアシスト装着車に乗っているときに大いに感心するのが、先行車に対する減速支援。高速道路ではACC(アダプティブクルーズコントロール)によって、前車との距離を一定にして走り、安全な車間距離を保ってくれるのだが、ACCは基本的に一般道では使えないことになっている(実際には機能するACCもあるが)。が、プロアクティブドライビングアシストは一般道走行中に先行車や隣接車の割り込みを検知すると、ドライバーのアクセルOFFに応じて、車間距離が近すぎないように穏やかに減速。前車との安全距離を自動で保ってくれるのだ。ACCの車間距離を保つ機能が一般道でも使えるといいな……と思っていた人にはうってつけである。
そして、カーブに対する減速支援機能も完備。前方のカーブに対して自車の速度が速すぎるとクルマが判定した時には、ドライバーのアクセルOFFに応じて穏やかに自動で減速。カーブを曲がり切れず、ガードレールなどにぶつかる危険、事故を未然に防いでくれることになる。
さらに、信号交差点の接近を検知すれば、ドライバーのアクセルOFF、ウインカー操作に応じてあらかじめ減速支援してくれる左折時減速支援、ドライバーの操作を先読みし、ステアリングの反力を変化させることで、不要な操作の抑制や、操作遅れを防止し、スムースな走行をサポートしてくれる車線内走行時常時操舵支援まで備わっているのだから、プロアクティブドライビングアシスト恐るべし、である。衝突軽減ブレーキなどとともに、「一般道しか走らない」というドライバーに対しても、事故低減、運転ストレス低減に大いに役立ってくれるに違いない。
というわけで、先進運転支援機能、装備の数々は、ACCを除いて一般道でも(もちろん高速道路でも)、安全運転、事故防止に極めて意味あるものなのである。これから新車、新型車を買うのであれば、先進運転支援機能、装備の多くが備わっているはずだが、中古車狙いの人も、先進運転支援機能、装備が充実した年代、モデルを選ぶとより安心・安全だろう。
極端な例では、ルノー・カングーがある。先代モデルは先進運転支援機能が搭載されず、それが理由で購入をためらった安全志向のカングーユーザー予備軍もいたはずだが、新型の現行型では、歩行者・自転車検知機能付き衝突軽減ブレーキはもちろん、ストップ&ゴー機能付きACC、それとレーンセンタリングアシストを組み合わせたハイウェイ&トラフィックジャムアシスト、ブラインドスポットインターベンション(約70~180km/hで作動)、エマージェンシーレーンキープアシスト、オートハイビーム、パーキングセンサー&リヤカメラなどをフル搭載しているのだから安心・安全だ。
なお、いかに先進運転支援機能、装備が優れていても、絶対はない。機能に頼りすぎることのない安全運転が基本であることをお忘れなく。そして、「高速なんて乗らないけど運転支援機能・装備って意味ある?」の答えは、もちろん、イエスである。先進運転支援機能、装備は、高速道路走行はもちろん、日常、一般道走行、駐車時にも威力を発揮してくれる、もはや安全運転、事故防止に欠かせないものだと理解してほしい。