いまスズキの勢いがヤバい! いまだコロナ禍前には戻らない2024年7月の新車販売ランキングを分析した

2024.08.16 06:20
この記事をまとめると
■2024年7月の新車販売台数が自販連と全軽自協からそれぞれ発表された
■納期が不安定ということもあり年間を通じてフラットな販売台数になりやすい
■軽自動車では今後の動向的にスズキが年間販売台数でトップの売り上げになる可能性がある
7月に売れたクルマとは
  例年7月は夏商戦後半月となっている。トヨタを除けば、新車の供給体制は深刻な納期遅延発生前の水準にほぼ戻っているが、多くのメーカー系ディーラー個々がまだ潤沢な在庫をもっているという状況でもないので、月末に向かってガンガン売りまくる(この場合は7月中に登録[軽自動車は届け出]に間に合う在庫車を売りまくるということ)ことはできないので、その意味では物足りない部分もあるといえよう。
  自販連(日本自動車販売協会連合会)による2024年7月単月の登録乗用車の新車販売台数は22万9683台(前年同期比103.6%)となった。コロナ禍直前となる2019年7月の登録乗用車の新車販売台数が25万8150台だったので、2020年7月比では約88%となっている。
  全軽自協(全国軽自動車協会連合会)による2024年7月単月の軽四輪乗用車の新車販売台数は10万9020台(前年同期比109.7%)となっている。こちらも同じく2019年7月の販売台数を見ると、12万1272台となるので2019年7月比では約89%となっている。
  コロナ禍前の水準までは新車需要全体を見ても戻りきっていない状況が続いているといっていいだろう。
  すでに一部メーカー系ディーラーでは、2024年9月、つまり2024事業年度締め(2024年4月~2025年3月)上半期(2024年4月~9月)末決算セールを睨んで活発な売り込みをしているところもある。あるメーカー系ディーラーでは、複数都道府県をまたいで展開するメーカー子会社系ディーラーがあるのだが、そこでは販売エリアが広いこともあり、多数の在庫車を持っているようで、店頭において「在庫処分!」といったチラシを作っていたりする。もちろん、諸物価高騰の煽りなどで、新車販売でもなかなか値引きが拡大しにくくなっているのだが、このチラシではかなり魅力的な条件が提示されていた。
  供給体制が戻りきっていないので、一部新型車や人気車種では納期が長めになっているし、問題がそれほどなくとも、ディーラーにおける納車準備作業担当者不足などがあり、契約月内納車はさすがに難しいとして、納車まで2~3カ月程度を要するので、仮に7月の受注件数ベースで数が多かったとしても、そのほとんどが7月実績に反映できないということも影響しているかもしれない。
  つまり、年度末などの増販期に際立って多く受注したとしても、供給体制の関係から新車販売台数が際立って多くなるということもなく、年間を通じてわりとフラットな統計数に落ち着きやすくなっていると販売台数推移の傾向を語ることもできる。
  ただ問題はそれだけではなく、やはりいまの世の中にまん延している「増税重圧」や収まらないインフレによる物価高騰、そしてそれによる家計圧迫、さらには本稿執筆時点では円高に転じているが、それまでの異次元の円安傾向など、市場環境がけっしてよくなかったことも影響しているのは間違いないだろう。
今年の軽市場はスズキの勝利か
  軽自動車では引き続きダイハツの復調傾向が気になるところ。軽四輪車総販売台数では4万435台となり、トップのスズキと8192台まで差を縮めているものの、軽四輪乗用車販売台数ではトップのスズキとの差が約1.2万台まで広がってしまっている。軽四輪貨物販売台数では逆にスズキを4225台引き離してダイハツがトップとなっている。何も問題がなく、ダイハツが軽四輪車総台数でトップに君臨していたときも、軽四輪乗用車ではスズキに抜かれることが多かったので、傾向としては変わらないともいえる。
  すでにコロナ禍に入っているものの、2020年7月にダイハツは軽四輪車総台数で約5.2万台販売しており、2020年7月と2024年7月を比較すると、2020年7月比で76%、以下軽四輪乗用車では65%、軽四輪貨物で110%となっている。コロナ禍かどうかなどに関係なく、軽四輪貨物販売台数で総販売台数の積み増しをしているともいえる。
  ダイハツは認証問題を経て、当面2024年いっぱいは新型車の発売は行わないとしているので、「客寄せパンダ」がいないなか、軽四輪乗用車販売促進も苦しい状況が続いていることも影響しているようだ。また、2024年末には再び生産中止となる車種があるようなので、完全復調までにはまだ時間がかかるようである。
  スズキが年後半に向け、登録車ではコンパクトクロスオーバーSUVとなる「フロンクス」を、そして軽自動車ではスペーシアの派生車種「スペーシアギア」を発売予定なので、販売台数統計では「台風の目」となりそうだ。
  スペーシアギアの新型登場を警戒してか、届け出済み未使用中古車や、中古車専業店などでの委託販売車種(未届け新車)では、三菱デリカミニが目立ってきている。スペーシアギアは現行モデルでも、スペーシアシリーズの販売台数上積みに大きく貢献したほどの人気モデルだったので、ライバルともいえるデリカミニは相当な警戒態勢に入っているようだと事情通からも聞いている。
  ダイハツの現状を見れば、スペーシアギアでダメ押しする形で、2024暦年締め年間新車販売台数や、2024事業年度締め年間新車販売台数などでスズキがトップを確実なものにしようとしているのかもしれない。

あわせて読みたい

軽を買うならチェック必須! “国民車”である軽自動車の「SUVルック」な気になる新車種4台
OCEANS
伝説のABCトリオってじつはソコまで人気じゃなかった? いま軽2シータースポーツが「コペン」しか存在しないワケ
WEB CARTOP
あなたの動画を自然に翻訳!「AI動画翻訳くん」とは?
antenna
【マニュアル車が欲しい】3ペダルの軽自動車を物色してたら元祖トール系のスズキ・ワゴンRが地味に光って見えた件
FORZA STYLE
軽が日本のガラパゴスカーだなんてとんでもない! 排気量こそ違えど日本の「軽トラ」&「軽バン」は世界で愛されていた!!
WEB CARTOP
日本古来の文化や意匠を現代の技術・手法で写し取ったグラスウェア発売
PR TIMES Topics
スペーシア ギアの登場カウントダウンでN-BOXの王座再陥落もある!? 7月の新車販売ランキングを読み解く!
WEB CARTOP
トヨタが強すぎる! 8月の登録車販売ランキングTOP10は7台がトヨタ車で圧巻の内容
WEB CARTOP
秋の深みを感じる『ジャーマンポテトサラダ』登場
PR TIMES Topics
軽自動車販売ランキングで1カ月天下に終わったスペーシア! 王者N-BOXに再逆転を許したのは「タントの出荷が再開したから」の噂を検証した
WEB CARTOP
「お金は返すので点検受けないでもらえません?」なんて事態になっていた! いまディーラーのメカニック不足がヤバい
WEB CARTOP
わんちゃんと泊まれる都市型ホテル「ザ・スクエアホテル銀座」予約受付開始
PR TIMES Topics
いまノア&ヴォクシーの中古価格が上昇中! 「新車が買えない」だけじゃない人気ミニバンを取り巻く複雑な要因とは
WEB CARTOP
最新人気28車種徹底ガイド!『2024-2025年 軽自動車のすべて』発売!
PR TIMES
ロキソニンにまつわる素朴な疑問を薬の作り手が解決! 小さな錠剤に込められた想いとは
antenna
毎日が冒険になる! 「10マイルアドベンチャー」をテーマに掲げる新型スペーシアギアの戦略
WEB CARTOP
納期遅延なんて概念自体が世界的には珍しい! 海外は日本の自転車のように「そこのクルマ」を買って帰るが普通だった
WEB CARTOP
ブランド創立40周年記念「J&M デヴィッドソン」、マッキントッシュとコラボレーションした限定コート発売
PR TIMES Topics
「10年振りに新車に買い替え」なんて人は要チェック! 昔の常識が通用しないイマドキの「新車購入」テクニック
WEB CARTOP
日本じゃ地味めのトヨタ・グランエースがインドネシアでは存在感アリアリ! ダイハツ・グランマックスとして売れまくっていた
WEB CARTOP