スズキ車がどう考えても安い! 他社と比べて何かを「ケチって」いるわけじゃないのに安い秘密

2024.10.29 13:00
この記事をまとめると
■スズキのクルマが安いのは行動理念のひとつである「美」が関係していた
■スペーシアはスズキらしい作り込みにより価格を抑えている
■登録車のコスパの高さも他メーカーよりも総じて優秀だ
スズキの新車価格が安いのには理由があった!
  自動車メーカーには、それぞれブランドイメージがある。多くのケースで、独自技術やモータースポーツ活動に由来するものだ。そのなかで、スズキには「とにかくクルマを安く仕上げる」という印象があるようだ。
  はたして、スズキがコストパフォーマンス(以下、コスパ)に優れたクルマをリリースしているというイメージは事実なのだろうか、事実だとすればその理由はどこにあるのだろうか?
  そのヒントとして注目したいのが、スズキの行動理念として一番に挙げている「小・少・軽・短・美」という言葉だ。
  もともとは生産現場における、ムダを省いた効率的で高品質なものづくりの基本方針から生まれたという言葉で、「小さく」「少なく」「軽く」「短く」「美しく」をつなげたものだという。
  スズキのホームページから引用すると、それぞれの漢字には以下の意味合いが込められている。とくにポイントとなるのは、「小・少・軽・短・美」の最後にあり、もっとも大事な要素である「美」であろう。
「小」はコンパクトにまとめる方が効率アップにつながり、
「少」はムダを省き必要なことには適切に資源を配分し、
「軽」は効率アップのためにスリム化を図り、
「短」は意思決定と実行や報連相をスピードアップするという意味があります。
「美」にはすべての活動がお客様のためにあるという意味が込められており、性能、品質、コスト、信頼、安全・安心、コンプライアンス、すべてを満たして初めてお客様満足が得られるという考えにつながっています。
  ともすれば、素人目線では「安く作ればコスパがよくなる」と思いがちだが、「安かろう悪かろう」では満足度が低くなってしまい、結果的に「安物買いの銭失い」になりかねない。それではユーザーが満足できないのは自明。コスパの評価をする以前に、単にランクが低い工業製品となってしまう。
  しかしながら、最近のスズキ車が受けている高い評価からすれば、自動車として満足いくものながら期待値より安価に仕上がっているという、真の意味でリーズナブルな工業製品が生み出されているのはご存じのとおりだ。
細かく見ていくとスズキの企業努力が見えてくる
  たとえば、日本一売れているクルマの座をホンダN-BOXと競い合っているスペーシアの設計や作り込みを見れば、結果的に「コスパがよい」と感じさせる、スズキならではのアプローチが見えてくる。
  せっかくなのでスペーシアギアとN-BOXジョイというSUVテイストの2台から、最上級グレードの2トーンボディのターボ車(FF)をピックアップして比べてみよう。
  メーカー希望小売価格は、スペーシアギアが209万7700円、N-BOXジョイは212万7400円となっている。わずかな価格差だが、N-BOXジョイは純エンジン車だが、スペーシアギアは、小さいながらリチウムイオン電池を搭載したマイルドハイブリッド仕様なので、そこを加味するとかなり割安といえる。WLTCモード燃費はスペーシアギアが21.9km/Lで、N-BOXジョイは20.2km/L。わずかな差ではあるが、ハイブリッドの効果は数字にも表れている。
  タイヤサイズはどちらも14インチながら、スペーシアギアはアルミホイールを標準装備。N-BOXジョイも凝ったスチールホイールなので豪華さでは互角といえるかもしれないが、ここでもスペーシアギアのコスパのよさは際立つ。
  両モデルとも渋滞対応ACCや電動パーキングブレーキを標準装備しているが、スペーシアギアは単眼カメラとミリ波レーダーを併用するシステムで、N-BOXジョイは広角カメラだけを使うタイプ。センサー数が多いほうがエライというわけではないが、スズキがセンサーをケチって安く仕上げているわけではないことがわかる。
  ただし、細かい部分を見ていくと、スズキらしい工夫がみられる。その最たる例がメーターだ。両車ともフルデジタルメーターだが、スペーシアギアは3桁のデジタル表示の速度計+4.2インチ・カラーマルチインフォメーションディスプレイを組み合わせている。一方、N-BOXジョイは7インチのカラーディスプレイによるフルデジタル仕様。ユーザー的には、どちらでもデジタルコクピットが味わえるものだが、スズキはディスプレイサイズを小さくすることでドライバーが感じる美しさは維持しながら、コストを抑える手法をとっている。
  こうした細かい部分での工夫を知れば、スズキの「コスパのよいクルマづくり」を支えていることが理解できるのではないだろうか。
  さらにいえば、スペーシアギアには後席オットマンモードなどを実現するマルチユースフラップや、キャビンの空気を循環させて空調効果を高めるスリムサーキュレーターといった快適機能も標準装備されている。まさにスズキの高コスパを実感できる好例といえる。
  ただし、スズキのラインアップからコスパのよいクルマを探そうと思ったときに軽自動車ばかりに注目する必要はない。古くは「泣く子も黙る79万円」という語呂合わせ的キャッチコピーで一世を風靡したスイフトSE-Zのように、登録車にもスズキの「小・少・軽・短・美」なクルマづくりが実感できるモデルが多く存在してきている。
  現行ラインアップでいえば、1.2リッターエンジンを積んだ後席スライドドア車ながらスターティングプライスが164万7800円という「ソリオ」が、スズキらしい高コスパカーの代表といえるだろう。また、「スイフトスポーツ」についても、そのパフォーマンスと価格のバランスから圧倒的な高コスパ系スポーツカーとして知られている。
  いずれもモデルチェンジがウワサされているが、次期型に進化してもスズキらしいコスパのよさは守られるだろう。それこそがスズキの高コスパというブランドイメージを守るために最重要になるからだ。

あわせて読みたい

第296回:現代によみがえった初代「ゴルフ」[カーマニア人間国宝への道]
webCG
ほぼ「JOY抜き」でも9月単月でN-BOXは2万5000台を販売! 圧倒的No.1キープの裏に見える不安要素とは
WEB CARTOP
戸籍を調べて驚愕! 実際にあった相続トラブル
antenna
「ギア感満載、スズキの人気モデルが復活」アウトドア派注目の軽自動車、スーパーハイトワゴン“スペーシア ギア”がフルモデルチェンジ!
MonoMaxWEB
内装はあえての「チェック柄」のみ! N-BOX JOYの「日常プラスαの外感」を表現するインテリアの魅力をデザイナーが語る!!
WEB CARTOP
「相続ナビ」で相続を手軽に! 事例とともに対処法を解説
antenna
上半期の登録車販売ランキングは20位までにトヨタが14車種! もはやトヨタかそれ以外かの状況!?
WEB CARTOP
いま軽の販売バトルは「クロスオーバーSUV」に託された! スペーシアギア&N-BOX JOY途上で風雲急を告げるハイト軽市場!!
WEB CARTOP
ジェラート専門店からクリスマス限定フレーバー登場
PR TIMES Topics
「N-BOXジョイ対スペーシアギア」最新モデル比較
東洋経済オンライン
軽を買うならチェック必須! “国民車”である軽自動車の「SUVルック」な気になる新車種4台
OCEANS
ポップアップイベント 丸山百景 KEITA MARUYAMA 30TH ANNIVERSARY「丸山敬太の縁起物市 in 銀座三越」開催
PR TIMES Topics
ホンダN-BOXジョイ/スズキ・スペーシア ギア ハイブリッドXZターボ(前編)【比較試乗記】
webCG
ホンダN-BOXジョイ/スズキ・スペーシア ギア ハイブリッドXZターボ(後編)【比較試乗記】
webCG
ヒルトン京都「ストロベリーハーベスト デザートビュッフェ」開催
PR TIMES Topics
「安さだけが取り柄」のように言われてきた「鉄ちんホイール」を見直すときがきたか! いま「スチール+ホイールキャップ」でキメるクルマがじわりキテる!!
WEB CARTOP
ホンダ「N-BOX ジョイ」は“気軽なアウトドア派”へ。軽自動車の激戦区に加わったNEWモデル!
OCEANS
【ねんりん家】おめでたい紅白カラーの「初春のストレートバーム」販売
PR TIMES Topics
スズキ・スペーシアギア開発陣が「ライバルに負けません」と胸を張る自信ポイント【試乗記】
ダイヤモンド・オンライン
軽自動車も高いから同じ値段出すならコンパクトカー買えるじゃん……は合ってるようで間違い! 価格と中身を比べてみた
WEB CARTOP
divan「アードワーズチョコレート」新商品「アールグレイ」も加わりアソートで登場
PR TIMES Topics