ほしい新車を手に入れるには「情報戦」がモノを言う! 相変わらずの納期混乱のなか「累計販売台数」も重要な目安だった

2024.08.02 06:20
この記事をまとめると
■物価高や人件費高騰で新車ディーラーのランニングコストが上がっている
■新車の値引きもあまりできなくなっており納期も不安定なメーカーも多い
■納期に関しては累計受注台数を元にすることである程度割り出すこともできる
納期を気にするユーザーはまだまだ多い
  新車購入における商談ではかねがね、「値引き交渉」がその主体となっていた。しかしここのところ、人件費の高騰や収まらないインフレなどの影響で、車両価格の値上げや改良などを伴った事実上の値上げなどが目立っている。しかし、生産コストの上昇を十分吸収できるような値上げ幅にはなっていない。
  しかも、値引き原資はディーラー利益を削ることで捻出しているのだが、ディーラーであっても人件費高騰やインフレの影響で利益が圧迫されており、いまでは一時に比べれば値引きはできない状況になっている。「あるメーカー系ディーラーで話を聞くと、ほとんどの車種で値引き額は5万円から10万円に抑え込まれているとのことです。下取り査定額への値引きアップのための補填も一時厳しく制限されていましたが、最近は多少緩くなっているので査定額の上乗せで調整しているようです」とは事情通。
  残価設定ローンの利用が増えるなか、無理のない範囲で設定残価率を高めにして、月々の支払額でお値打ち感を見せるケースもあるようだ。残価率が高くなれば月々の支払い負担がより軽減されるので、月々の支払額では割安イメージをもちやすくなる。そのような車両価格設定を心がけているようにも見える。
  あらかじめ自宅などで、メーカーウェブサイトを活用し車種選定や見積り計算コーナーで予算の大枠をつかむことができるので、いまどき「リアル商談」は「タイパ(タイムパフォーマンス)」も考え、本命一本で済ませる人も多くなっている。そんな商談では、納期というものがまだまだ気になる状況となっている。
  新型コロナウイルスの感染拡大が収束傾向となると、半導体不足などの影響もあって、日本でも「年単位」で納車待ちしなければならなくなるほど納期遅延が深刻となった。現状ではコロナ禍前のレベルに完全に戻っているわけでもないが、多くのメーカーでは改善傾向となっている。
「トヨタはその販売規模が大きいこともあり、まだ多少の混乱が残っているようです。そのためウェブサイトで工場出荷時期目処というものを公表しています。同じものは日産もウェブサイトで公開しています」(事情通)
  販売するのは代理店であるディーラーなので、メーカーとしては「納車に係る時期の目処」を知らせることはできないが、完成車として工場から出荷される時期の目処は公表することができる。
「出荷時期目処に1カ月ほど加えると、だいたいの納期目途になるとされています。ただ、ディーラーに届いた車両の納車準備をするスタッフが足りないディーラーもあり、そのようなディーラーでは工場出荷時期目処+1カ月ではほぼ納車が間に合わないともいわれています」(事情通)
  トヨタ系ディーラーでは、日々メーカーからアップデートされる工場出荷時期目処などをセールスマンが確認しており、セールスマンに聞けばすぐに教えてもらえたり、ショールームレディが端末検索してくれたりしている。
累計受注台数も見るべし!
  また、コロナ禍前は「人気の度合いを示す」として各メーカーで競い合うように報じていた、「予約受注段階からの累計受注台数」も、納期確認には有効である。例えば、2024年3月に発売となったホンダWR-Vは発売1カ月後に累計受注台数が約1万3000台になったと報じている。1カ月の販売計画が3000台なので、計算するとその時点での納期は約5カ月以上かかると目安を把握することができる。
  ホンダの最近の傾向は新型発表もしくは、ティザーキャンペーンを開始してから数カ月後に正式発売しているので、正式発売後にディーラーにて実車を確認したり試乗したりしてから購入判断したいという人には、累計受注台数は貴重なデータとなるだろう。WR-Vは発売前に、ショッピングモールなどで実車展示を行っていたので、予約受注段階でかなりペースよく受注台数を積んでいったようである。
  また、トヨタではアルファード&ヴェルファイア、プリウス、ランドクルーザーシリーズなど、とくに人気の高いモデルでは初期配車台数を設定して、その枠を売り切るといったん新規受注停止を行い、極端な納期遅延にさせないように調整しながら、新規受注停止段階でも余裕が出ればスポット的に新たな受注枠を設けるなど細かな需給調整が行われているとも聞いているので、累計受注台数などは出したくても、出せない状況になっているともいえる。同じデータでも見方を変えれば情報収集の有効なツールとなるのである。
  現状では、生産計画も含めて短いサイクルで状況変化が起きている。柔軟な情報収集とともに、直接出向かなくてもいいが地元ディーラーへの問い合わせも密に行わないと、なかなか納得できる新車購入ができなくなっているのである。

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