点検整備の待ち時間解決が新車販売を伸ばす鍵になる! 既納客にとって新車ディーラーが「行きたくない場所」である現状

2024.10.13 07:00
この記事をまとめると
■現在の新車販売店では整備はもち込みが原則となっている
■整備終了までの待ち時間が長くてディーラーは行きたくない場所と考えられている
■整備に訪れた顧客に新車販売の営業ができるためにいまだに実店舗販売が継続されている
クルマをメンテナンスに出すときは店頭にもち込むのが主流
  新車購入後の定期点検といえば、いまは店舗にもち込み作業が終わるのを待つというスタイルが定番となっている。かつての定期点検といえば、午前中早めなどに担当セールスマンとメカニック、あるいは同僚セールスマンと連れ立って当該顧客の自宅や職場を訪れて当該車両を引き取り、そして作業を行い、夕方には戻すというスタイルが定番であった。
  しかし、個人情報保護の観点や、お客のなかにもディーラー関係者に自宅に来てほしくないという人も多くなるという世相の変化や、「引き取りや納車回送中に傷をつけられた」というクレームに対するリスクも高くなり、そしてそもそも働き手不足でそこまで手がまわらないということもあり、店頭もち込みが主流となっているものと考えている。
  筆者は仕事柄、ディーラーへよく足を運ぶのだが、店内には点検作業終了を待つ人がスマホをいじるなど退屈そうに時間を潰している姿を目にすることが多い。店舗によっては担当セールスマンが話し相手になっていることもある。昔のように飛び込み営業や訪問営業といったことは、世のなかの変化や、やはり働き手不足(店が空っぽになる)もあり、新車の売り方も「外まわり」から店頭販売にほぼ完全にシフトしている。
  そのなかで、点検のために店を訪れる既納客とのコミュニケーションは重要な販売促進の場にもなっている。店舗内で耳を澄ますと、点検待ちのお客とセールスマンの会話は確かに、「次のクルマは……」的な話が多くなっている。
「低年式車所有のお客がメインターゲットと思われがちですが、じつは高年式車所有の人のほうがセールスマンの話に耳を傾け、そして乗り換えを決断するケースは目立つと聞いております。点検で訪れるたびに、ローンを組んでいるお客には下取り査定額の案内とともに、残債の相殺が可能かどうかの採算分岐点などについての案内もしていると聞きます。退屈しているお客も多いので結構注目してもらえるようです」とは事情通。
  とはいうものの、お客からしたらわざわざ時間を設けてディーラーへ行かなければならないので、点検車両のもち込みを負担に感じる人も多い様子。土曜日や日曜日はなかなか予約も取りにくいので、平日となれば、パートナーがもち込むこととなり、負担も増える傾向にある。
日本でも「進んで行きたくない場所」として数えられている
  アメリカではかなり以前から、「歯医者と新車ディーラーには行きたくない」といわれていた。自家整備が原則のアメリカだが、いまやICE(内燃機関)車でもメカニズムが複雑で、おいそれと自家整備などはできない。そして、新車販売だけでは食えないこともあり、メンテナンスパックが標準付帯されるケースがほとんどで(無料点検のほか有償となるパッケージ以外の作業へのおすすめもできる)、ディーラーへ点検車両をもち込むという光景が一般化している。
  実際アメリカのディーラーを訪れれば、整備工場の規模の差もあるが、日本の比ではないほど点検終了待ちをしている人が多く店内にいる。そして待たされる不満から前述したように「行きたくない場所」の代表として挙げられるようになっているのである。
  そして、日本でももち込み点検が主流となって久しいので、ボチボチ巷では「すすんで行きたくはない場所」と広く認知されるようになっているように見受けられる。
  日米共通だが、新車購入の際に時間がかかることも敬遠される理由になっているようだ。このように敬遠される傾向が強まってくると、新車を積極的に購入しようとする動きもなかなか期待できないともいえる。
  それでは何か対策があるのかといわれれば、抜本的に解決する手段はなかなか見当たらない。ただ、担当セールスマンのフォロー次第でその不満のレベルは前後するものと考えている。
  アメリカでは販売とその後のメンテナンス担当はきっぱりとわかれている。しかし、日本では納車後も担当セールスマンが次への乗り換えも期待して点検案内などのフォローをするのが一般的となっている。とすると、売りっぱなしに近いセールスマンでは不満は高まる。そこで、点検で顧客が訪れるたびに適度にコミュニケーションをとっていれば不満を和らげることはできるだろう。そのため、非効率とか人件費などのコストがかかることはあるものの、いまもって対面販売(リアル店舗を構える)を継続しているともいっていいだろう。

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