純国産サーモンでサステナビリティに貢献。サクラマスから生まれた「つきみいくら」の開発秘話

2024.01.26 11:50
FISH FARK SAKURAについて
FISH FARM SAKURA®は自然の中で、魚に寄り添いのびのびと魚を育むブランドで、純国産サーモンの「サクラマス」の身や魚卵などの加工品を販売しています。サクラマスを淡水と海水を行き来させる独自の技術で完全養殖しており、親子から子へ、子から親へと世代を繋ぎ優秀なサクラマスの家系を今も作り続けています。会社としてサクラマスの稚魚を養殖事業者に販売する卸事業と加工品を販売する小売事業を行っています。つきみいくら®はそのサクラマスの卵を加工した商品で、ANAの国際線ファーストクラスの機内食に採用されるなど高い品質が評価されています。こちらの記事ではここに至るまでの、つきみいくらの開発秘話を紹介していきます。
創業とブランド立ち上げ
FISH FARM SAKURAを運営する
(宮崎市、代表取締役上野賢)は2019年4月に当社代表の上野が宮崎大学大学院在籍中、当時所属する研究室のシーズである「サクラマスの循環型養殖技術」をベースに創業いたしました。その後、2023年6月に本ブランドを立ち上げて、D2C事業を本格化させました。
つきみいくらの開発まで
宮崎大学の研究成果を活用しサクラマスを完全養殖することで、稚魚の時期から飼育環境や飼料、出荷時期をコントロールできるのが強みでした。完全養殖の過程でできるサクラマスの卵は味もよく、またビジュアルも金色で非常に良かったため、商品化を会社創業当初から検討していました。そして、初めてサクラマスの卵を親魚からとれた2019年の秋に開発がスタートしました。
開発のきっかけ
当時、国内ではサーモンの養殖事業が日本各地で急激に増加していた時期で、安心安全の品質維持や、持続的に食糧を供給していく観点で国産の養殖サーモンが注目を集めていました。しかし、サーモンの魚卵であるイクラは天然のサーモン(サケ・マス類)に依存しており、天然の魚の漁獲量が顕著に減少していため、養殖で持続的につくられる私たちのサクラマスのイクラは魚卵のサステナビリティに貢献ができそうと期待しました。
私たちのこだわり
サクラマスのイクラを商品化するにあたり、いくつかのこだわりを軸にしました。これまで魚の研究に深く取り組んできた私達ですが、食品の開発を行った経験はなかったため、おおきな方向性を自分たちで決め、細部はコンサルティング会社、デザイナーやプロの料理人とディスカッションすることで決めることとしました。
①  わかりやすい名前
これから新しい商品を世に送り出す際にまずはたくさんの人に覚えてもらいやすいように、シンプルにその商品の見た目をあらわす名前を付けようと思いました。しかし、なかなか良いアイデアがでず、100件ほどボツになった後、イクラの見た目が金色に輝く月を見ているようだということから、つきみいくらと名付けることに決定しました。
②  金色のビジュアルを保つ
食品であるため、おいしいということを担保するのを根底に、金色のビジュアルがひきたつような味付けを開発しました。料理人と製造工場協力のもと、試行錯誤し、「だし」で味付けをすることで金色のビジュアルを保ちつつ、おいしさを実現しました。
③  “イクラ”、“水産物”を想起させない斬新なパッケージ
これまでの漁獲したサーモンからイクラを獲るのではなく、完全養殖で育てられた持続的なイクラでサステナビリティに貢献するという意味で、良い意味で水産物らしくない洗練されたパッケージを目指しました。そこで参考にしたのが、化粧品や香水のパッケージで、外装からお客様が見た時に「上質で良いものである」という体験ができるよう紺色をベースにした化粧箱と、円柱形の瓶を採用しました。
2020年につきみいくらをリリース
約1年間の開発期間を経て、2020年秋につきみいくらをリリースしました。当時は生産量が少なく、品質の一定化も難しかったため100gx2瓶の規格をおよそ100人に販売するので在庫はすぐになくなってしまいました。
販売して初めてわかる価値と特徴
この年のお客様の私たちのつきみいくらに対する感想はとても興味深いものでした。サクラマスのイクラはいわゆる筋子(卵が体内で房状に塊になっている状態)の時期から、体が熟す(産卵に近づく)に伴い体内で筋子が一粒ずつほぐれていきます。サクラマスが完全に熟す前と後ではイクラの硬さが変わり、筋子の状態だとイクラの粒はやわらかい食感、ほぐれた状態だと張りがありプチプチした食感になります。
一般的な鮭のイクラは筋子から加工してつくるものがほとんどで、お寿司屋さんや和食料理店では柔らかいイクラほど良いとされていますが、私たちもそれを追求して、柔らかいイクラを目指し、冷たい水中で生きているサクラマスのお腹を触り、触診しながら筋子の状態を確認するなどして、収穫時期を調整していました。
ところが、私たちのつきみいくらを召し上がったお客様は「やわらかい食感=古い」という印象を少なからず抱かれる例があり、水産物はお刺身もそうですが、ある程度の歯ごたえや食感は“鮮度感”につながると勉強しました。
百貨店のギフトや国際線の機内食メニューに採用され、サステナビリティへの貢献性も評価。
そこから私たちはつきみいくらは張りがありプチプチした食感であるというところを目指し、改善を進めていき地道な営業活動の甲斐もあり、2021年には大丸松坂屋、東急百貨店、宮崎山形屋のお歳暮ギフトに掲載されました。2022年には科学技術振興機構が主催する「STI for SDGsアワード」の科学技術振興機構理事長賞を受賞、サステナブルシーフードアワード2022のファイナリストに採択され、私たちの根底にあるサステナビリティへの貢献性が評価されました。また、全日本空輸の国際線ファーストクラス機内食和食のメニュー内に期間限定で採用され、つきみいくらの品質も高く評価されました。
新ブランド”FISH FARM SAKURA”の誕生と、養殖へのこだわり
私たちはよりお客さまに完全養殖をする意味や私たちの思い、世界観を伝えるために2023年にFISH FARM SAKURAというブランドを作りました。このブランドでは自然の中で魚を魚らしく、大切に育むことをコンセプトのコアにおき、生産の基礎はこれまでに培った完全養殖の技術や高い品質を維持するノウハウで支えています。
サクラマスの生活史に寄り添い、淡水で生まれ、海の生け簀で大きくし、再び淡水で産卵を迎えるように手間暇をかけて育てたものを本桜鱒(ほんさくらます)とよび、その本桜鱒からイクラを収穫することで、より大粒のつきみいくらができます。
つきみいくら醤油漬の誕生
つきみいくらはFISH FARM SAKURAブランドとして、このタイミングでリニューアルすることになり既存のだしで漬けるものに加えて醤油漬を開発しました。つきみいくら開発当初、金色を残すためにだしで漬ける方法をとっていましたが、普通の醤油を使うと色がくすんでしまうために、魚醤油とだしを特別配合で調合しただし醤油で漬け込むことで、醤油のコクと美しい輝きを両立することに成功しました。
これまでのイクラの食べ方に加えて、ご飯にのせたり大根おろしと合わせたりなどの食べ方の提案ができるようになりました。それにともないこれまでのだしの味付けは「だし漬け」、新しい味付けは「醬油漬」と定義して販売しています。
つきみいくら醤油漬は現在、FISH FARM SAKURAのオンラインストアとふるさと納税などで販売しています。お客様からの感想では「ほんのり醤油の味がして、とても上品な味わいでした」、「美味しかったので、また買います、ちょっとした自分へのご褒美です」、「送り先が大変喜んでくれました」など自家需要、ギフトともに良い反響をいただいています。
開発担当者(上野賢)のコメント
つきみいくらは私達、株式会社Smoltが創業以来フラッグシップとして育てている商品です。たくさんの試行錯誤があり、現在の形に至っています。私たちはサクラマスが大好きで、生産に関わる研究をしてきましたが、食品として皆様に召し上がっていただくためには、わからないことだらけでしたが、たくさんの方の協力のもとで開発を進めてきました。まずはより多くの方につきみいくらを知っていただき、サステナブルな水産物を浸透させていくこと、将来的には海外販路の開拓に向けても取り組んで行きたいと思っています。また、現在鮨職人さんと一緒にお店でも取り扱いいただけるようなつきみいくらの業務用商品も企画していますので、よりつきみいくらが身近に感じられる日を目指して努力していきたいと思います。
商品の詳細について
つきみいくら及びブランドについては当社の公式ホームページからご覧いただけます。

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