LCAデータ、出せます。積水化学のカーボンニュートラルへの挑戦

2025.04.25 11:00
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(写真)積水化学工業株式会社 執行役員 環境・ライフラインカンパニー 総合研究所長:武 克己


(以下、動画の文字起こし)


武「積水化学は、お客様から求められれば、製品のLCAデータを提示する用意があります(*)。―“ゆりかごから墓場まで”。そういう指標のもとでモノづくりをしています」


地球温暖化による気候変動。それは私たちの暮らしや、時には生命にとって決して無縁ではありません。
―積水化学は、1947年の創業以来、数々の社会課題を解決してきました。
そんな私たちは今、人類史上最も困難な社会課題、地球温暖化の対策に取り組んでいます。


地球温暖化の主な要因は、温室効果ガス(GHG)の排出によるものです。
日本が排出している温室効果ガスのうち、およそ9割を占めるのが二酸化炭素(CO₂)。
2020年、日本政府は2050年までに『カーボンニュートラル』の実現を目指すことを宣言しました。


武「カーボンニュートラルって、最近よく耳にするけど、難しい言葉と感じるかもしれませんが、考え方はシンプルです。まずは使うエネルギーを見直して、CO₂の排出量を可能な限り減らす。そして、森林保全やCO₂の吸収技術を用いて、排出量と回収量を差し引きゼロにする。その状態がカーボンニュートラルです。
積水化学も、CO₂を含む温室効果ガス排出量を、製造時だけでなく、事業活動にまつわるすべての場面で計測しています」


積水化学は、2019年時点の排出量を100%とし、2025年には33%減、2030年には50%減、
そして2050年には100%減(=カーボンニュートラル)という目標のもと、温室効果ガス実質ゼロに向けて全社を挙げて取り組んでいます。
2023年度実績では32.8%の削減に成功しました。


武「……いいぞ、いいぞ、と(思った)。これは着実に進んでいるなという実感を得ました。主な取組として、弊社の滋賀栗東工場をはじめ、全国の生産拠点に自家消費型の太陽光発電を設置して、製品をつくるときのエネルギーを再生可能エネルギーに切り替えています。ものづくり上は若干のコストアップにはつながるんですけど、そこはコストと考えずに、長期的にはエネルギーの安定調達につながる必要なものとして捉えて、工場一丸となってものづくりに取り組んでいます。
また、環境だけでなく、社会課題解決への貢献度が高い製品を『サステナビリティ貢献製品』として、社内の厳格な制度のもと認定をしています」


製品を使っているときだけでなく、
製品のライフサイクルすべてのCO₂排出量を計算する『LCA』という評価手法が急速に広がっています。


武「『ライフサイクルアセスメント』の頭文字です。使っているときの排出量だけでなく、その製品が原材料から、製造され、どのように使われ、そして廃棄・リサイクルされるまで。“ゆりかごから墓場まで”という言い方をしますが、製品が一生で排出するCO₂の量を考えて使うものを選びましょう、というのがLCAという考え方です」


建築物関係は世界のCO₂排出量の37%を占め、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、さらなる削減の努力が求められています。


武「建築物から排出されるCO₂には、主に2つのパターンがあります。ひとつは、建設するとき、あるいは解体するときの排出。もうひとつは、建築物を使うときの排出。皆様が住んでいる家であったり、お仕事をしているオフィスで使うエネルギーのことですね。この“使うとき”の排出は、省エネ家電などの推進で削減が進んでいます。もう一方の“つくるとき”の削減というのが、今後対策をしていかないといけない課題となっています。
積水化学は、建築にまつわる配管材や上下水道などの公共インフラ資材を製造販売しています。これらの製品は、使うときにはCO₂をほとんど出さないんですね。また、廃棄するときもあまりCO₂を発生させません。原料と、製品を製造するときに発生するCO₂が全体の約9割を占めるわけです」


日本政府は、これから建設される建築物の生涯LCAの算出を必須とする検討を開始しました。


武「国の指針もあり、今後は建築向け建材をはじめ、製品のLCAデータを求められる機会が増えてくると思っています。
積水化学は、お客様から求められれば、製品のLCAデータを提示する用意があります(*)。」


これまで企業による環境への配慮は、あくまで企業活動がもたらす悪影響を減らすことに注目されてきました。しかし、LCAなどの評価手法が進歩するにつれ、現代では製品を使うお客様にとっても環境貢献ができることが重要視されています。
積水化学は、その時代の変化に先駆け、自社もお客様も、自然環境へよりよい貢献をもたらす製品を推進するため、貢献度の高い製品を社内基準で認定登録する『環境貢献製品』制度を2006年からスタート。
以来、制度の内容を進化させ続けています。


武「外部の有識者によるアドバイザリーボードを構成し、基準の高さや透明性を確保させています。2017年からは、自然環境に加えて、社会環境における課題の解決に寄与する製品に対象を拡大しています。そして2020年からは制度の名前を『サステナビリティ貢献製品』制度と変更して、従来の認定プロセスに加えて、企業及び製品のサステナビリティを評価する視点を設けました。


―環境に関わる製品の目的というのは、GHGの排出源がすべてではないんですね。例えば、“ある製品はGHGの削減に役立つけれど、水質汚染をしてしまう可能性がある”ということがある。これを『トレードオフ』といいます。特に開発においては、ある一方だけを見ておくと、最後足元をすくわれるということはよくあります。
そういったトレードオフが起こっていないかを確認して、可能性があるならば改善する。そういった厳しい評価軸を持ちながら、これからもこの制度に認定できる製品を生み出していきます。


積水化学が、これまで事業を続けてこられたのは、社会課題にも環境課題にも貢献してきたからだと思うんですね。世の中が抱えている課題を解決する良いものじゃなければ、なかなか買っていただくことは難しいと思っています。今はその貢献度を数字で測れる時代になりました。透明性のある形でお客様に示せることは非常に良いことだと思っています。
これからはそれを明確に数字で示していくことで、私たちの環境課題解決の姿勢をもっと知っていただきたいと思います」


(*)ここでの「LCAデータ」とは、製品のライフサイクルにおける温室効果ガス排出量を示す、CFP(カーボンフットプリント)を指しています。


【関連リンク】
積水化学工業 環境・ライフラインカンパニーが運営する情報提供サイト「エスロンタイムズ」
積水化学の製品LCAデータ
建設関連:脱炭素・LCA、社会課題解決『サステナビリティ貢献製品』 
積水化学グループのサステナビリティ貢献製品

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