職人仕上げの国産セミオーダー靴ブランド「Tokyo Foot Tailor(東京フットテーラー)」⻁ノ門ヒルズ店が 2025 年 2 月 14 日、東京港区・⻁ノ門ヒルズにオープンしました。この「Tokyo Foot Tailor」ブランドの立ち上げから参画し、企画提案なども行ってきたのが足立区千住に工房を持つ紳士靴製造・販売会社の『シバ製靴株式会社』です。「Tokyo Foot Tailor」の魅力と、履く人の気持ちに寄り添う『シバ製靴』の靴作りについて紹介します。
◆日本人の足に合う靴を作り続ける
「自分の足に合う靴を履くことの喜びを知ってほしい」
そう話すのは、1957 年創業、『シバ製靴株式会社』2 代目代表取締役社⻑の柴善弘氏です。東京都足立区の千住に工房を構え、「足立ブランド」に認定されている紳士革靴の製造・販売会社です。幅広甲高の日本人の足に合う、快適な履き心地の革靴を⻑年研究し、作り続けてきました。
<『シバ製靴株式会社』2 代目代表取締役社⻑柴善弘氏>
そんな『シバ製靴』が企画・立ち上げから参加してきた、職人仕上げの国産セミオーダー靴ブランド「Tokyo Foot Tailor(東京フットテーラー)」の新店舗・⻁ノ門ヒルズ店が 2025 年2 月 14 日、東京都港区の⻁ノ門ヒルズビジネスタワー2F にオープンしました。2024 年 12月まで東京・丸の内の新丸ビル 4 階で営業していた丸の内店を移転する形での開店です。
◆創業社⻑の先代は浅草で修業。アイデアマンの側面も
『シバ製靴』はもともと柴氏の父・定男氏が創業した会社です。
「1950 年代、父は中学を卒業した後、茨城県下妻市から東京・浅草に上京して靴店で丁稚奉公し、7 年ほどで独立しました。ワニやニシキヘビなど爬虫類の革を使った紳士靴を作り、評判となったようです。営業力もあり、靴を卸している小売店へ行って、自分でお客様をつかまえて靴を販売していました。それでその小売店からまた注文をもらうのです。靴と同じ爬虫類の革のバッグをセットにして売ったりして、アイデアマンの側面もありました」
1960 年、現在と同じ場所の足立区千住 5 丁目に工房を建て、靴の製造を続けました。
(右の写真は先代の柴定男氏)
「父はお客様の喜ぶ顔を見ることが好きで、お客様が求めていることをいつも考えていました。日本人の足は幅広が多いので3E や4E サイズの靴はあったのですが、その上の5Eの靴を作り、E の上だから『F』サイズだと言って F シリーズの靴を売り出し、それもヒットしていました。OEM で製造だけを請け負う製靴会社が当たり前の時代、1970 年代からは自社ブランドも立ち上げていました。」
◆「わからない」と答えてはいけない
柴氏は 22 歳で入社しました。入社までの経緯は・・?
「大学で軟式テニスのクラブ活動に力を入れた結果、留年することになり(笑)、2 年で中退したんですね。もともと父の会社に入る気持ちはあり、すぐに入社してもよかったのですが、その前に外での経験も積んでおこうと陸上自衛隊に入りました。北海道の旭川で 2 年、経験を積みました。」
『シバ製靴』に入社後は、靴作りも営業も一からの修業でした。
「会社でも靴作りは学びましたが、そのほか、浅草にあった靴の紙型を作ったり、経営コンサルタント的な仕事をする会社に 2 年ほど修業で通っていました。父の知り合いの会社です。通い始めの頃、いきなり革を見せられ『これは何の革だ?』と聞かれ、答えられないと『お前の会社にもある革がなんでわからないんだ? ここに何をしに来た? 帰れ』と帰らされたりする、厳しい指導を受けました。ゲンコツもよく飛んできました。」と柴氏は懐かしげに話します。
「その会社では製靴の基礎から営業、経営的なことなど、様々なことを学びました。その会社に出入りする取引先とのやり取りを、従業員のふりをして聞き取ることもしていました。」
また、修業中の忘れられないエピソードとしてこんなこともありました。
「靴の素材に関して尋ねられ、それに対して『わかりません』と答えると、『いずれ経営者になる人間なら、わからないと答えるな』と怒られました。『経営者は従業員に対してわからないとは言えないんだ。決断して、なんでもいいから言え』というのです。ただ、それで何か答えると『わかっていない』とまた怒られるのですが(笑)」
◆週末の渋谷で歩行者の足元調査
その会社で学んだことで、自社の工房の製造ラインの非効率な部分が見え、改善を行えるようにもなっていきました。
「トヨタ自動車の『カイゼン』の生産方式を本で学んだりもしました。また、週末には渋谷に出かけ、歩いている人の足元や靴の販売店の棚の写真を撮ったりして、靴の流行などの研究をするようにもなりました。」
柴氏は 2003 年頃、2 代目の社⻑に就任します。柴氏が 40 代になった頃です。
「営業部⻑として企画から営業まで全てを取り仕切っていた時、『来年からお前が社⻑をやれ』といきなり父から言われ、驚いたことを覚えています。ただ、会社の業績も良くスムーズな事業承継ができました。」
◆ 60 種のサイズを用意!!『シバ製靴』を含む 4 社が靴作りを担当
「『Tokyo Foot Tailor』は「全日本革靴工業協同組合連合会」が 2017 年に立ち上げたブランドで、当社(シバ製靴)が事業展開の企画提案をさせていただいた経緯もあります。オーダーを受けた靴の製造は、当社を含めた連合会加盟の 4 社が請け負います。」と柴氏は話します。
オーダーメイドとなる「Tokyo Foot Tailor」ではまず、ご購入希望のお客様に対してスキャナーによる足の計測を行います。そこでデータ化された足⻑と足幅サイズに合わせ、23.5〜28センチまで 0.5 センチ刻みの足⻑と、C〜4E までの6サイズの足幅で揃えられているサンプルシューズを試し履きしていただき、ご自身に合ったサイズを選んでいただきます。
「10 サイズの足⻑に対し、それぞれ 6 サイズの足幅でサンプルを揃えているので、計60 種のサイズから選んでいただくことになります。当然、靴の木型も 60 種あります。そのサイズをもとに、ローファーやストレートチップ、ブーツ、グルカサンダルなどお好きな『TokyoFoot Tailor』デザインの靴を選んでいただき、その靴で使う革の種類、色、靴紐なども選んでいただくことができます。」
◆トラディショナルな上品さとスニーカーのような履き心地を融合
「Tokyo Foot Tailor」の革靴は、日本革靴の“聖地”といわれる東京・浅草で開発された独自の「フットラップ製法」で作られます。従来の堅い中底を省き、柔らかいレザーのみで構成することで、屈曲性が高く、柔らかな履き心地を実現する製法です。トラディショナルな上品さを持つ革靴にスニーカーのようなソフトな履き心地を融合させた、「歩きやすく、疲れにくい」一足になります。
「価格は 35,000〜36,000 円程度から、革のセレクトなどで 5〜60,000 円程度になります。それぞれのお客様の足に合った靴を職人が仕上げます。」と柴氏。
こだわりの一足を持てる新店舗へ是非足を運んでみてください。
『シバ製靴』は自社ブランド立ち上げなど、「お客様に喜んでいただく」ことを目指し、様々なことに取り組んできました。また足立ブランドにも申請、認定され、足立区のもの作りの魅力発信に貢献しています。
柴氏は『シバ製靴』の靴作りのモットーとして、
「好感度」「好機能」「好価格」の 3 つのキーワードを掲げています。
「自分がいくら『いい靴』だと思って靴を作っても、お客様がその靴を好きにならなければ、それはいい靴ではありません。売り場にも行き、どんな靴が好まれているのかを知り、お客様が『いい』と感じてもらえる、好きになってもらえる靴を作りたいと考え、この 3 つの言葉を掲げています。」
柴氏はこれからも、『シバ製靴』が持つふたつのブランド「ANTONIO DUCATI(アントニオ・デュカティ)」「PRIMROSE HILL(プリムローズ・ヒル)」の製造・販売、そして「TokyoFoot Tailor」のさらなる展開に力を入れ、履きやすく、多くの人に愛される靴を作り続けていきます。
会社名:シバ製靴株式会社
住 所:東京都足立区千住 5-15-9
電話番号:03-3888-0004
代表者:柴 善弘
事業内容:紳士靴の製造・販売
「足立ブランド」は、区内企業の優れた製品・技術を認定して、その素晴らしさを全国に広く発信することで、区内産業のより一層の発展と足立区のイメージアップを図ることを目的とした事業です。『シバ製靴株式会社』は、この「足立ブランド」認定企業です。
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