ファーストステップシューズ ベビーシューズの⼿作りキットで思い出を⼼に刻む

2025.04.11 10:10
平成12年ご夫婦⼆⼈三脚で創業した『ファーストステップシューズ』。東京都足立区梅⽥に⼯房を開き、⾚ちゃんが初めての⼀歩を踏み出す際に履く靴のキットを製作・販売しています。私たち足立ブランドの中でも異色の存在感を放つ同社の、⼝コミや評判でスタートした「愛や夢が溢れる」ビジネスモデルを紹介します。
◆「出産祝い」「1 歳の誕⽣⽇のお祝い」に⼼に残る贈り物
クラシックが響く可愛らしい梅⽥の⼀軒家、そこに『ファーストステップシューズ』の⼯房があります。代表である町⽥洋⼦さんのキャリアは学校卒業後、浅草の⼀貫⽣産の靴メーカーで、靴の企画やデザインを担当したところから始まります。7、8 年務めた後、独⽴。フリーのデザイナーとしてしばらく活躍しますが、お⼦さんを授かったため産休に⼊り無事、お嬢様を出産します。


「娘は11ヶ⽉くらいで早く歩き始めたので、⾜が11cmほどで⼩さかったのです。当時はインターネットなどもそこまで普及しておらず、かといって赤ちゃんを連れての買い物も⼤変です。それならば、とこれまでの経験を⽣かし、道具であるミシンや材料、作る⼯房もあるし、モデルもいたので娘のために靴を作ってみようと思ったのがきっかけです」と語る町⽥さん。


できあがってみると、さすが靴デザイナー。思い通りに可愛いらしく完成したそうです。 ママ友にも「うちの⼦供に作って!」と⾔われることも多く、これは仕事になるのでは、 と思い⽣まれて間もない⼩さな⼦供の靴作りをスタートしたのだそう。
「海外では、出産前や出産祝いに⾷べるのに困らないように銀のスプーンを贈ったり、ファーストシューズを贈ったりする⾵習がありますよね。そうした⾵習からインスピレーションを得て、⾚ちゃん靴の販売を思いつきました。でも⼀般の⽅が最初から完成まで全て を作るのはハードルが⾼いと思い、そこまで難しくはないのですが、最後の縫う⼯程をお客様ご⾃⾝で作業していただくような⼿作りキットにしました。革のベビーシューズを作れるという意外性、加えて手作りの楽しさを味わっていただけると思います。」


“⾚ちゃん靴を⼿作りする魅⼒を知っていただく”ために、販売ページをご主⼈が作成したり、デザインフェスタに出店したのが平成12年。同年7⽉に法⼈登録をしました。
◆モデルは娘。成⻑してからも履かせて、試⾏錯誤
「この⼿作り靴は、成⻑するたび⼤きいサイズを作り 3、4歳まで履かせました。保育園にも履かせて⾏ったら、水遊びで汚れてしまう事もあるので⾰靴はちょっと、と断られました」と笑います。


この「⾚ちゃんの⼿作り靴キット」は、特定のサイズ、時期や贈る⽅にこだわらず、⾚ちゃんが⽣まれる前から贈ることができるプレゼント。出産祝い、ハーフバースデー、1 歳の誕⽣⽇のお祝いとしてなど、まだ外を歩けないアニバーサリー的な 8cm〜11cm の室内履きタイプから、実際履いて歩ける実⽤的なクレープのゴム底をつけた14㎝までの⼤きなサイズのキットまで多彩に揃えています。
「キットでできる靴は本⾰のモカシンタイプ。モカシンは靴作りに必要な⽊型が不要なんです。開けば平⾯になるし、靴本体に必要なパーツはもちろん、靴⽤の専⽤針や、縫うためのロウ引きした⿇⽷も同梱されていますのでキットで全て完結、ほかに道具は要りません。基準とした娘の⾜はほっそりした華奢な足ではなくふっくらタイプでした。足の形に添ったつま先にゆとりがある形で指や⾜に負担がかかりづらいオブリークトゥにしています」


靴作りとなると少し難しそうな気もしますが、2時間半程度で作れるそう。価格もオーソ ドックスなものは 6,800 円(税別)と⼿頃です。
「販売はインターネットが多いですが、たまに直接買いにいらっしゃる⽅もいます。ご夫婦や、お祖⽗様とお祖母様で⽚⾜ずつ作り、プレゼントなんて⽅も多くいらっしゃいます」


「ベビーシューズの型紙」や作り⽅はホームページで無料公開しています。
<真っ白の手作りキットから、可愛らしいベビーシューズの完成です>
【ファーストステップシューズをお求めになる⽅の例】
・もうすぐ⾚ちゃんが⽣まれる、ママやパパになる⽅のメモリアルシューズ
・0歳〜1 歳のお⼦さんがいらっしゃる、ママやパパ
・もうすぐお孫さんが⽣まれる、おじいちゃん・おばあちゃんになる⽅
・親しい友⼈や親戚にお⼦さんが⽣まれる⽅
◆⾜⽴ブランドへの参加のきっかけは、⾏政へのSOS
商品の評判は⾼まり、堅調に売り上げを伸びていったものの、町⽥さんはマイペースに丁寧に仕事をしていきたいと⾃他共に認めるタイプ。そんな町⽥さんが「⾜⽴ブランド」へ参加したきっかけを尋ねると……。
「この仕事をスタートして間もなくの頃、関⻄のスリッパの会社が全サイズの型紙をダウンロードしたんです。おかしいなと思ったんですね。⾃社でキットを販売し始めて、特許申請までするから驚いてしまったんです。でも、あちらは合⽪でした。本⾰は、合⽪と違い場合によって50 年、100 年でも持ちます。⾚ちゃんが⼤⼈になって結婚した時も次の世代に受け継ぐこともできます。また、それとは別にそこそこ⼤⼿の靴会社の営業さんがやってきて卸の打診があり、お断りしたら勝⼿にほぼ同じキットを作り販売されました」


そんな⼀抹の不安を抱える中、別の⽤事で区役所に⾏った町⽥さんは、「⾜⽴ブランド」を知ります。認定されるにあたり「ドキドキしながらプレゼンしました」と笑う町⽥さん。無事平成21年、「⾜⽴ブランド」に認定されることになりました。


その後『ファーストステップシューズ』は、テレビやラジオに紹介され軌道に乗ってきました。前職からの好意的な取引先もおり、浅草も近いことから材料もすぐに買いに⾏ける、⼩さい会社だから細やかな対応ができる、など好条件が揃って順調に売り上げも伸びていったそうです。


「⼼揺さぶられた会社は、結局、⼀軒以外は事業をやめてしまいました。もう⼀軒も売上が上がっていないみたいで、⼼配は杞憂に終わりました」と胸を撫で下ろしました。
◆この仕事を始めてわかった⾊々なこと
こうしたキット販売を通して感じたことは⼦供にとって⼀番⼤切なことは「⾜に合った靴とは何かという事を理解してあげること」だといいます。
「娘は先ほども⾔いましたが、幅広甲高タイプ。友達の履いている靴を羨ましがっても『あなたの⾜のかたちには合わないから』と言い聞かせ履かせませんでした。
甥は、靴のサイズが⾜に合っていなかったようで、⼦供にも関わらず指が重なり外反⺟趾のようになってしまいました。⾝内だから指摘してあげることができましたが、よその親御さんにはちょっと言いにくいですよね。


⼦どもは公園のジャングルジムやかけっこなど⼩さい時に思いっきり運動をするのが⼤⼈になってからの⾜のトラブルを防ぐことができると思っています。それでなくても⼦供はどんどん成⻑しますから靴のサイズに注意を払ってあげることは⼤切です」


たまに、左右のサイズが違う⼦どもを持つ親御さんがキットの相談に来るそうです。 「⼤⼿の靴メーカーに勤めていた時は、お客様の顔も⾒えませんし、左右違うサイズを作るとロスが出てしまうのです。けれどこの仕事は、相⼿の顔が⾒えるし、規模も⼩さく営んでいるので左右のサイズを変えて差し上げることはそこまで⼤変ではありません。ですから、そうしたリクエストにもできるだけ対応しています」
お客様の⽴場に⽴った、そうした真⼼のこもったサービスは⼤変感謝され、毎年のようにお礼状や年賀状が届くそうです。ちなみに履き脱ぎの便利さからベルクロで留めるベルト型の靴を、というお客様も多いのですが、⼦供の⾜のことを考えるなら初めてのシューズはサイズ調整の幅が広い靴ひもタイプをお勧めしています、 と町⽥さん。
<Sol(太陽) Angel(天使) を「Sol-A(そら)」となぞって「そらんじゅ」>


またグリーフケアとして開発された「そらんじゅ」シリーズは、産まれたばかりの赤ちゃんの足のサイズと同じ、約8cmの小さな小さな靴。町田さん自身も双子を早産した経験から生まれました。お空に還った天使たちにファーストシューズを贈ることで、回復をもたらす力(レジリエンス)を持って欲しいという願いが込められています。
◆⼦供好きに⽬覚めたワークショップ
「以前、⻄新井・ギャラクシティの遊びながら学べる体験型複合施設『こども未来創造館』で、⼦供の⽇にフェルト製のミニ靴のキーホルダーを作るワークショップを行っていました。また NPOフェスタや足立ブランドのイベント、児童館や子ども会のイベントなど区⺠の⼦供対象に、⾰に刻印を打って⾃分だけのキーホルダー作りをするヌメ⾰ワークショップなども積極的に⾏っています。そうした活動をしているうち、⼦供に教えるのもとても楽しく、私は実は⼦ども好きなのでは?と感じるようになりました。」
<ワークショップで製作した、フェルトでつくるミニシューズストラップ>


「ビジネスとしては、本当は SNS を積極的に利⽤したり、YouTube 動画を改良した⽅がいいのはわかっているんですが……⾃分のペースでやるこんな働き⽅があってもいいのかと思っています」


この仕事を始めて、20年以上。⾚ちゃん靴を作るきっかけとなったお嬢さんも、もう 27 歳。靴とは全く違った職業に就いていますが、運動神経は抜群といいます。それは⼩さい 頃、⾜に合った愛情こもった靴ですくすくと育ったからかも。常に利益を上げ続けていく ことも⼤切ですが、⻑い間愛され、社会に貢献し、⼈に感謝されるビジネスも「⾜⽴ブランド」のひとつの形なのかもしれません。
<「親子でつくれるワークショップ」開催の様子>




企業情報
ファーストステップシューズ
会社名:ファーストステップシューズ
住 所:東京都⾜⽴区梅⽥ 2 丁⽬ 21-12
電話番号:03-5681-2133
代表者:町⽥ 洋⼦
創 業:2000年


「足立ブランド」は、区内企業の優れた製品・技術を認定して、その素晴らしさを全国に広く発信することで、区内産業のより一層の発展と足立区のイメージアップを図ることを目的とした事業です。『ファーストステップシューズ』は、この「足立ブランド」認定企業です。


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取材など掲載情報に関するお問い合わせは、「足立ブランド」の運営事務局でもある足立区役所産業経済部産業振興課ものづくり振興係でも受け付けております。


足立区役所産業経済部 産業振興課 ものづくり振興係
電話番号:03-3880-5869
ファクス:03-3880-5605
足立ブランド公式Webサイト

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