美しさと重厚さ、その先の包まれるような安心感へ。67年目の金庫専門メーカー「栗原金庫」が示す“本物の価値”とは?

2025.04.11 10:00
創業67年の金庫専門メーカー「栗原金庫」。美術品保管用の特注金庫や横置き型刀剣用金庫など、独自の技術と美意識で金庫に新たな価値を創出。高級インテリアとしての存在感と究極の安全性を兼ね備えた逸品を製造しています。2010年には足立区が認定する「足立ブランド」に選ばれました。以降、地域への手厚いサービスを含めた事業展開を行っています。
<3代目となる栗原康雄氏にお話しを伺いました>
◆丁寧な職人仕事を受け継ぐ、昔ながらの金庫製造スタイル
1957年に創業した『有限会社栗原金庫製作所』(東京都足立区青井、代表取締役:栗原富男)は、大量生産では実現できない、昔ながらの重厚で審美性の高い金庫を製造しています。現在は3代目となる栗原康雄氏が、同社の技術を受け継ぎながら、新しい金庫の可能性を追求しています。
<(有)栗原金庫製作所 代表取締役 栗原富男 氏(右)、栗原康雄氏(左)>
『栗原金庫製作所』は2010年に「足立ブランド」の認定を受けて以来、地域の異業種経営者と交流を深めてきました。その中で、様々な気付きを得たといいます。「地元の経営者との出会いは、私にとって大きな財産」と、栗原康雄氏は語ります。特に先輩経営者から経営の悩みや課題について親身な助言を得られたことが、認定企業となった最大のメリットと言います。




『栗原金庫製作所』の特徴は、徹底的な防盗性能と耐火性能の追求にあります。一般的な金庫がおよそ1.6mm以下の鉄板を外板に使用するのに対し、同社の製品は1.6mm以上の鉄板を2枚重ねた合計3.2mm以上の合板にして使用します。そして、中箱(内側の物品を収納する部分)になる鉄板との間に耐火材を充填する三層構造を採用。額縁も一般的な金庫の2倍以上となる60~100mmを確保して、より強固な守りを実現しています。
<耐火金庫。設置スペースに合わせた寸法で、栗原金庫製作所が製造・納品>


その上、耐火材内部にも鉄筋を格子状に配置することで、仮に三層構造壁にドリル穴を開けられても、その穴は一定以上に広がらず、内部の物品が簡単に持ち去られることはありません。もちろん耐火材に囲まれているので、万一、火災が生じても中身の焼失は避けられます。
<金庫の壁内の、コンクリートを入れる前の状態>


また耐火材には一般的なコンクリートはもちろんのこと、特殊なセラミックファイバーを採用するなど新たな工夫を凝らしています。栗原氏は
「コンクリートはおよそ20年で劣化しますが、セラミックファイバーは半永久的に性能を維持します。しかも伝統的な砂やコンクリートと比べて軽量なため、設置場所の可能性も広がる」と、説明します。
◆コレクションを保管する満足度を高める、美しい外観へのこだわり
同社の金庫が持つ重厚な存在感は、カシュー塗装による艶やかな仕上げから生まれます。カシュー塗装とは、カシューナッツの殻から抽出した樹脂を用いる伝統的な塗装技法。耐久性が高く、深みのある光沢が特徴で、ピアノの塗装などにも用いられる高級な仕上げです。漆黒の中に浮かび上がる艶は、見る角度によって表情を変え、金庫に芸術品としての品格を与えます。


「関東近郊でカシュー塗装のできる職人は、数少ない。このような伝統的な技術があってこそ、私たちの金庫は完成するのです。昔の金庫は皆、このカシュー塗装で仕上げられていました。その伝統を守り続けることが、本物の金庫を造る者としての責務だと考えています」(栗原氏)
<見るものを魅了する美しい艶は、カシュー塗装ならでは。職人技の賜物です>


一方で、内装には厳選した桐材を使用し、熟練の指物師が丁寧に仕上げていきます。まず金庫の内寸に合わせて桐材を裁断し、木目の美しさを活かした配置を考慮。さらに収納物の大きさに合わせて仕切りを作り、一つひとつ手作業で組み上げていきます。伝統的な指物の技で接合部を丁寧に仕上げ、くさびで確実に固定することで、長年使用しても緩むことのない完璧な収まりを実現します。


「金庫の中も美しくなければならない。それが私たちのこだわりです。お客様が金庫を開けた時の感動を大切にしたいのです。桐材は調湿効果も高く、大切な収蔵品を優しく包み込みます」と、栗原氏は語ります。
こうした特殊な加工を施すにあたり、顧客との打ち合わせでは、初めに同社に展示してある金庫サンプルを確認。写真では伝わりにくい重厚感や気品を実物で感じていただきつつ、その特徴をご理解いただきながら製造工程を進めていきます。
◆金庫には見えない、新発想の金庫。刀剣用金庫の誕生
現在、同社が手掛ける刀剣用金庫は、ある金庫職人からの依頼がきっかけでした。
「その方が引退されるにあたり、刀剣用金庫の製造を引き継いでほしいと相談を受けました。弊社にはオーダーメイドの技術があったので、お受けすることができました」と、栗原氏は振り返ります。


特筆すべきは、その意匠性です。一見すると高級キャビネットのような外観に、金庫とは思えない優美さを備えています。「大切な刀剣を美しく保管したいというお客様の声に応えて、金庫としての機能性とインテリアとしての審美性を両立させました」と、栗原氏は説明します。
<まるで家具のようなキャビネットの中には、頑丈な金庫が隠されています>


ほかにも美術品コレクターなどからも、特注金庫が注目を集めています。古美術や古文書の保管にも最適と、評判はすこぶる上々。その需要はますます広がりをみせています。
◆難航する職人技の継承と、金庫製造業の未来への展望
『栗原金庫製作所』では、金庫の修理や廃棄など、製品のライフサイクル全般をカバーするサービスを提供。
「金庫が開かなくなった」という緊急事態にも、足立区近隣ならば即座に対応、時には遠方まで出張しての解錠サービスを行っています。




また金庫は、金属、コンクリートなど異素材が組み合わさった特殊アイテムであり、粗大ごみとして廃棄できません。したがって『栗原金庫製作所』のような専門業者が引き取り、解体の上で廃棄する必要があります。金庫の廃棄に困っていた近隣のお客様の声から引取処分のサービスをはじめました。


「金庫を作る会社だからこそ、金庫を適切に解体することができる。長年続いている会社だからこそ、信頼して廃棄を任せて頂ける。新しい金庫を作るだけではなく、役目を終えた金庫の廃棄処分まできちんと考え責任を持つことが大切」と栗原氏は言います。


一方で、将来的な課題も存在します。それは塗装や木工など、協力する職人たちの高齢化。その対策として、『栗原金庫製作所』では一部工程の内製化を進めています。
「ダイヤル錠以外の部品は、ほぼ全て自社で製造できるようになりました。これは品質へのこだわりと同時に、技術を守り継ぐためのやむを得ない選択でもあります」
◆一点物の強みを生かす。カスタマイズで叶える、お客様の夢
同社の強みは、徹底的なカスタマイズ対応です。設置場所の寸法に合わせた設計はもちろん、内装も収納物に応じて最適化します。「お客様と一緒に金庫を作り上げていく過程が、私たちの誇りです」と、栗原氏。価格は一般的な金庫の2倍程度となりますが、同社の金庫は存在自体が高級家具やインテリアのように美しいのです。大切なアイテムを保管するという気持ちを満たし、防盗、耐火性に優れていることからの大きな安心感も備わります。
<金庫内側に設置された桐箱は、収納物を想定した棚位置を決定しています>


「本物の価値を理解するお客様に支持されています。特に経営者の方々からは、『会社の金庫は安い量産品のでもいいが、個人の大切なものは栗原の金庫に入れたい!』と、仰っていただけます」


『栗原金庫製作所』は、金庫に新しい価値を吹き込み続けています。安全性という金庫本来の機能を極限まで高めながら、そこに美しさという付加価値を加えることで、単なる収納具を超えた存在へと昇華させているのです。
「今後も、お客様の大切なものを守り続けるため、妥協のないものづくりを続けていきます」という栗原氏の言葉には、金庫造りにかける強い思いが表れています。




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企業情報
有限会社栗原金庫製作所
会社名:有限会社栗原金庫製作所
住 所:東京都足立区青井1-4-12
電話番号:03-3886-6733
代表者:栗原 富男
事業内容:
・金庫(宝蔵金庫、一般金庫、特殊金庫)の製造・販売・修理・運搬・処分
・スチール収納庫の製造・販売
・電気炉の筐体・箱物等の一般板金製作


「足立ブランド」は、区内企業の優れた製品・技術を認定して、その素晴らしさを全国に広く発信することで、区内産業のより一層の発展と足立区のイメージアップを図ることを目的とした事業です。
『有限会社栗原金庫製作所』は、この「足立ブランド」認定企業です。


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取材など掲載情報に関するお問い合わせは、「足立ブランド」の運営事務局でもある足立区役所産業経済部産業振興課ものづくり振興係でも受け付けております。


足立区役所産業経済部 産業振興課 ものづくり振興係
電話番号:03-3880-5869
ファクス:03-3880-5605
足立ブランド公式Webサイト

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