令和6年能登半島地震で被災した「日本料理 富成」はリニューアルのため改装工事中でした。1年が過ぎた現在も、目途が立たず工事は止まったまま。長年描き続けてきたオーベルジュという夢を実現し、能登の自然と食文化の素晴らしさを体験できる場をつくりたい。そして、復興の灯火になることを目指しています。
◎夢を取り戻す挑戦
ページをご覧いただき誠にありがとうございます。
こんにちは、石川県輪島市で「日本料理 富成」を営んでおります、冨成寿明と申します。
僕には10年前から描き続けた夢があります。
それは「子供の頃の“元気だった能登”を復活させること」です。
夢を叶えるため8年前から環境保全や食育、町づくりの活動を続けてきました。
ようやく結果が出始め、希望を持って次のステップに進もうとしていたところ。
2024年元日、最大震度7の地震が能登半島を襲い、すべてが変わりました。
自宅は半壊、ちょうど改装中だった店舗は罹災証明も取れず、震災補助金を受けることもできませんでした。
そんな中で料理人である僕が気づいたこと。
それは「料理」には人を癒し、心を繋ぐ力を持っているということでした。
そしてもう一度夢に向かう決意をし、今「能登を元気にするオーベルジュ」を復元する挑戦をはじめました。
◎震災と豪雨。試練の日々
地震による被害は想像を超えるものでした。
輪島市町野地区では中心部の建物の7割以上が全壊し、住民のほとんどが避難所生活を過ごしました。
半壊した自宅。公費解体の順番待ち
僕の店舗も建物の筋交いや柱が破損し、倉庫に保管していた輪島塗や珠洲焼きのお皿の半数以上が割れてしまいました。
お皿を保管していた倉庫
さらに、2024年9月には豪雨が発生し、地域は再び孤立。復旧が進むなか、また絶望的な状況に逆戻りしました。生まれ育った町や家、保全してきた川や山の、変わり果てた姿に今でも涙が止まりません。
◎炊き出しで実感した「料理の力」
避難所では、1日450人分を朝昼晩3食、温かい食事を提供しました。
初めて炊きたてのご飯を出したとき、涙を流しながら食べている方々の姿を見て、「料理人としてできることがある」と改めて認識しました。
地元の皆さんと力を合わせ、炊き出しを続けた10ヶ月間。料理を提供する中で見た笑顔と涙や、たくさんの方との出会いが僕の背中を押してくれました。
サポート頂いた皆様、本当にありがとうございました。
炊き出しの様子を、新聞やTVにもたくさん掲載していただきました。
◎プロジェクト内容
新店舗のコンセプト
『 能登の人と自然を元気に 』
「能登の素晴らしさを伝えるオーベルジュ」と「天然食材の総合商社」
事業内容①
1日3組(宿泊1日1組)限定
能登を味わうオーベルジュ(宿泊施設付きレストラン)。
事業内容② 天然食材の卸売と規格外商品の加工品製造。
事業内容③ 売り上げの一部を、里山の保全活動や伝統文化の継承に。
さらに、地域資源を活かした川遊びや収穫などの里山体験プログラム提供予定。
◎プロジェクトの詳細
たくさんの方々に能登の素晴らしさを知ってもらいたい。
その思いで父から受け継いだ仕出し料理店を昼夜2組づつのコース料理のお店に業態変更。
能登の食材集めからと思い、お米や野菜を作り、山では山菜やキノコやジビエ、川で魚やモクズガニを捕りました。キノコ名人さんや漁師さん農家さんから教えてもらった、最高の食材のおかげで、ミシュランガイド北陸2021特別版で1つ星&グリーンスターを獲得することができました。
そして、もっと能登の素晴らしさをたくさんの方に知ってもらうために、オーベルジュを計画。リニューアルオープン後には、海外富裕層向けの食事と体験のツアーが決定していました。
(↓紹介して頂いた記事です。)
能登の「食文化」と「自然と共生してきた生活」は、日本古来の生き方そのもので、海外の方のみならず、日本の皆さんにとっても興味深いものです。そして、地元の皆さんにも能登の素晴らしさを再認識してもらうことが、能登の復興ために必要だと考えています。
8年前から取り組んでいる環境保全や食育の活動
新しい事業と町づくりに取り組み、観光客や関係人口を増やし雇用を生むことで地域経済に貢献します。「能登の人と自然を元気に」するためのプロジェクトを進めます。
◎資金の使い道
ご支援いただいた全額を店舗再建のために使用します。
被災し工事がストップしたままの店舗店舗建築費の残高:4,700万円厨房機器購入費: 1,200万円震災で壊れた食器・厨房機器の購入:500万円合計:約6,400万円
◎スケジュール
3月 クラウドファンディング終了
3月 工事再開
2025年10月頃 新店舗オープン
2025年春~冬 リターン品発送
※建物改修工事完了後に、「宿泊業」「飲食店営業」「総菜製造業」など取得予定です。(図面上で各所に確認済み)
◎最後に
震災から1年が過ぎ、失ったものばかり見て、夢を諦めかけました。
心配してくれる皆さん、どんな時でも駆けつけてくれる仲間。皆さんのお気持ちが嬉しくて、ようやく前を向けるようになりました。本当に感謝でいっぱいです。
地震と豪雨はなかなかハードだったけど、「新しい出会い」と「深くなった絆」はつらい経験をしたからこそ得られたこと。一生の宝物です。
これから、不安はまだまだありますが、「お店の再建」「能登の復興」という新しい夢に向かって、無理せず楽しく進んでいきたいと思っています。
それが、皆様へ僕ができる恩返しだから。
そしてなにより「能登」が大好きだから。