株式会社ソルクシーズ【SOLXYZ Assistant開発者 特別インタビュー】~企業のDXを加速させる次世代AIプラットフォームプロジェクトへの挑戦~

2025.01.22 15:32
社内業務の効率化と働き方改革の実現を目指し、当社は2024年10月、
しました。本システムは、社内の様々な業務課題を解決する画期的なソリューションとして、今後の製品化が期待されています。今回、開発の中心的役割を担った事業戦略室スペシャリストの南野慎治氏に、開発秘話や本システムに込めた思いについて話を伺いました。


――まずは、南野さんご自身についてお聞かせ下さい。IT業界を志したきっかけについて教えていただけますか?
小学生の頃からゲームやパソコンが好きで、“どうやってソフトウェアは作られているんだろう”という純粋な興味がきっかけでした。その興味を追求したいと思い、福岡工業大学情報工学部に進学しました。


――大学時代はどのような活動をされていたのでしょうか?
他大学の友人たちとアプリケーション開発に挑戦しました。最初は基本的なエラー対応にも苦労する日々でした(笑) でも、少しずつ技術を身につけていくうちに、視野が広がっていきました。
アプリケーション開発だけでなく、サーバやネットワーク、FreeBSD(注2) など様々な技術に触れる機会があり、そこから多くの分野に興味が広がっていきました。


――現在はどのような業務をされているのですか?
社長直轄部門の事業戦略室で、新技術の活用の研究やプロジェクトの支援を担当しています。特に最近は生成AIの活用に力を入れており、実際の業務での応用の可能性を日々検証しています。
――ここからは、『SOLXYZ Assistant』についてお聞かせ下さい。まず、開発に至った背景について教えていただけますか?
近年、企業におけるデジタル化の波は加速しており、当社でも業務効率化への要求が年々高まっていました。社内のナレッジ共有や業務プロセスの標準化など、さまざまな取り組みを進めてきましたが、従来の方法では解決が難しい課題が残されていました。特に、部門間でのナレッジ共有や、属人化した業務の標準化といった課題は、従来型のシステムやワークフローでは十分に対応できませんでした。また、社員一人一人が必要な情報にスムーズにアクセスできる環境の整備も課題でした。


――そのような中で、生成AIの登場があったのですね。
はい。生成AIの登場は、私たちの課題に対する大きな可能性を示してくれました。ただし、パブリックな生成AIの利用については、情報セキュリティやコンプライアンスの観点から慎重な判断が必要でした。企業の機密情報や個人情報を扱う環境では、データの取り扱いに細心の注意を払う必要があります。
そこで、安全で効率的なAI活用基盤として『SOLXYZ Assistant』の開発をスタートすることになりました。開発にあたっては、AWSのBedrock(注3) 等の信頼性の高いサービスを基盤としながら、LangChain (注4)などのオープンソースを積極的に活用することで、開発の効率化を図りました。社内の情報セキュリティ部門との連携により、構築から規則策定まで比較的短期間で完了し、リリースを実現することができました。


――技術面での特徴や差別化ポイントについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
最大の特徴は、セキュリティと使いやすさの両立です。社内の重要情報や個人情報の保護のため、AWSのBedrock等、セキュリティが確保された信頼性の高いサービスを採用しています。また、利用データについても、データの収集・利用は必要最小限の範囲に留めることを原則として運用しています。これは、プライバシーの保護という観点だけでなく、システムの効率的な運用という面でも重要なポイントです。さらに、ユーザーインターフェースの設計にも注力しました。技術に詳しくないユーザーでも直感的に操作できる設計を心がけています。
――開発プロセスでの課題や、それらをどのように克服されたのかについても伺えますか?
開発において、最も心強かったのはオープンソースコミュニティの存在でした。世界中の開発者が活発に情報交換を行い、様々な実装例やベストプラクティスを共有してくれています。
特に印象に残っているのは、大規模言語モデルの効果的な利用方法やプロンプトエンジニアリング(注5) に関する課題への対応です。これらは比較的新しい技術領域であり、社内だけでは解決が難しい問題も多かったのですが、コミュニティの知見を参考にすることで、多くの試行錯誤を省くことができました。
また、OSS (注6)を活用することで、開発が効率化され、本質的な課題解決に注力することができました。これは開発期間の短縮だけでなく、品質の向上にも大きく貢献しています。
このような恩恵を受けられたのも、日々オープンソースの発展に貢献されている開発者の皆様のおかげです。私たちも、今回の経験で得られた知見を可能な限りコミュニティに還元していきたいと考えています。


――AI倫理やセキュリティについての取り組みについても詳しくお聞かせください。
AI技術の活用において、責任あるAIの実現は最重要課題の一つと認識しており、『SOLXYZ Assistant』の開発では、特に公平性と透明性の確保に重点を置いています。
具体的には、社内のナレッジ等の独自データから回答を生成した場合に、AIの判断材料をユーザーが理解できることを重視し、生成された内容の出典や参照元を明確にしています。これにより、ユーザーは生成された情報の信頼性を確認することができます。
また、AIの判断が偏りを持たないよう、定期的なモニタリングと評価も実施しています。これは、システムの改善だけでなく、ユーザーからの信頼を獲得する上でも重要な取り組みだと考えています。
――実際の導入効果はいかがでしょうか?
当初の予想を大きく上回る効果が出ています。システムエンジニアとして、まずはコーディングにおける品質向上や開発生産性の改善を予測していましたが、開発チームでの活用を通じて、コードレビューの効率化やドキュメント作成の支援など、様々な場面で効果を実感しています。
また、社内規定やQ&Aなど、既存のドキュメントに基づく問い合わせ対応をAIが担うことで、各部門の担当者の負荷軽減にもつながりました。従来は担当者の時間を大きく取られていた定型的な問い合わせが、AIによって効率的に処理できるようになりました。
さらに、想定以上の広がりとして、バックオフィス部門でも活用が進んでいます。契約書のチェックや各種文書作成など、様々な業務で『SOLXYZ Assistant』を活用し、生産性が向上したという声を多くいただいています。
これらの導入効果を通じて、AIはただの業務効率化ツールではなく、人々の働き方や業務における思考プロセスそのものを変える可能性を持つことを実感しています。


――今後のビジョンをお聞かせください。
現在は、より多様なAIサービスとの連携や機能拡張を進め、誰もが直感的に使えるAIプラットフォームを目指しています。このプロジェクトを通じて、単なる業務効率化だけでなく、企業全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、新しい価値創造の基盤となることを最終目標に開発を進めています。さらに、グローバル展開を見据えた多言語対応や、業界特化型の特殊な知識ベースの構築など、より幅広いニーズに応えられるシステムへと進化を図っています。
また、将来は社内での活用に留まらず、お客様への提供も視野に入れています。私たちが実践で得た知見やノウハウを活かし、多くの企業のDX推進に貢献していきたいと考えています。


――最後になりますが、IT業界を目指す就活生にソルクシーズの魅力について、また、メッセージをお願いします。
当社は、新しい技術への挑戦を支援してくれる環境だと思います。若手でも興味のある技術分野に携わる機会が多く、日々新しい発見があります。これは当社の大きな特徴だと感じています。
私の場合、好きなことから始めた技術への興味が、今の仕事につながっています。皆さんも、興味のあることを大切にしながら、可能性を広げていってください。


――本日は貴重なお話をありがとうございました。


(注)LLM (Large Language Model)=大規模言語モデルオープンソースのUNIX系オペレーティングシステムAWSのAIサービス基盤AIアプリケーション開発のためのフレームワークAIに適切な指示を出すための技術OSS (Open Source Software)=オープンソースソフトウェア
【会社概要】
会社名: 株式会社ソルクシーズ
所在地: 〒108-0023 東京都港区芝浦 3-1-21
     msb Tamachi 田町ステーションタワーS 13F
代表者: 代表取締役社長 秋山博紀
設 立: 1981年2月
資本金: 14億9,450万円(2024年6月末日現在)
事業内容:SI/受託開発業務(システムコンサルティング、システムの設計・開発・運用・保守)、ソリューション業務(セキュリティコンサルティング、パッケージシステムの開発・販売・保守)及び関連機器の販売等
ホームページ: https://www.solxyz.co.jp/

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