世界にゃ不思議なクルマがまだまだある! アメリカのポラリスが作る「スリングショット」は人生を楽しくしてくれること間違いナシのクルマだった

2024.07.28 17:20
この記事をまとめると
■スノーモービルなどを販売するポラリス社は「スリングショット」なる三輪車も手がける
■プロドライバーのインプレッションでは軽量が故に「二輪車のようだ」と評価される
■パワーウェイトレシオは3.7馬力/kgと下手なスポーツカーよりも俊敏だ
アメリカ生まれの三輪車が激アツ!
  ヒトが馬にまたがった太古の昔から、乗り物に対する追究というのは終わることはないようです。とりわけ刺激的な乗り物はいつでもどこからでも生まれてくるもので、2014年にリリースされたポラリス社の「スリングショット」などもそんな1台にほかなりません。後ろ1輪駆動、2シーターオープンというパッケージはさほど珍しいものでもありませんが、スノーモービルやインディアンモーターサイクルズのベンダーが自社製エンジンを搭載したとなると、乗りもの好きはそそられること間違いなし。一体、どんな刺激をあたえてくれるのでしょうか。
  ポラリス社はアメリカに本拠を置く一大インダストリアルメーカーで、その背後には軍需産業が控えているといわれます。また、同社のスノーモービルにはスバル製エンジンを採用したり、アメリカ最古のバイクブランド「インディアン」を子会社化するなど、乗りもの好きのなかにはご存じの方も少なくないはず。
  そんな彼らが2013年にローンチしたのが前2輪、後1輪のファンビークルとなるスリングショットです。前述のとおり、こうしたレイアウトは以前からT-REX(カンパーニャモータース)やカンナム(BRP)といった錚々たるマシンが存在しており、さして驚くほどのものではありません。が、あとから出てきただけスリングショットは先行ライバルを参考にして、しっかりオーバーテイクすることを目指したのだと思われます。
  たとえば、その価格は現地価格2万1999ドル(およそ374万円)からと、この手にしてはリーズナブルな値付け。ベーシックモデルだとエンジンが非力だったりするライバルたちと違って、上級モデルと同じスペックのエンジンが選べるというのも感心です。
  あるいは、インパクトあふれるスタイリングに負けず劣らず凝りに凝ったシャシーというのもスリングショットの優れたポイント。前後ともダブルウイッシュボーンにスタビライザーを装備して、3輪レイアウトで弱くなりがちなリヤのトラクションもしっかりと確保されている模様。前後重量配分こそ公表されていないものの、並列のシート位置を見ればいくらかリヤ寄りであることも読み取れることでしょう。
  さらに、スリングショットはテンポラリールーフや穴の空いたペダル類といったチューンアップパーツはもとより、スリングショットの世界観を表現したアパレルまでラインアップするという力の入れようです。これはオーナーとしてはうれしい限りで、SNSでも「オレのスリングショットライフ」を発信したくなるというもの。ポラリス社はこうしたマーケット戦略がじつに巧みで、成功している大企業らしい売り方といえそうです。
まるで二輪車のような爽快感!
  さて、スリングショットの全長は3800mm、対してホイールベースは2667mmですから、比率1.42となりスポーツモデルとしての資質はそこそこありそう。コストを引き上げるカーボンマテリアルは不使用ながら、車重は753kgとなかなかの軽量級。運動性能には期待が持てますね。
  実際、スリングショットをサーキットで走らせたプロドライバーのインプレッションでは「ドライバーの体重移動を加えることで、まるで軽量なオートバイを走らせているかのような一体感が得られる」みたいなコメント。ヒラヒラと意のままに動いてくれるニュアンスがにじんでいますね。
  搭載されるエンジンは、当初GMのエコテック(2.4リッター直列4気筒DOHC:最高出力173馬力/6200rpm、最大トルク22.9kgm/4700rpm)が選ばれていましたが、生産中止に伴って自社製エンジンに変更されています。スノーモービル「プロスター」から流用した直列4気筒2リッターエンジン(203馬力/195Nm)は、パワーもさることながら、ATV(全地形対応車)にも採用されるほど信頼性の高いもの。バックが軍需産業というのはこういうときにありがたいわけですね(笑)。
  ちなみにこんなスタイルですが、アメリカ国内の衝突安全基準をクリアしており、公式にはバイクですが堂々と公道を走ることができるのです。
  とはいえ、ドアもなく、フロントスクリーンも乗員の胸あたりまで(笑)。ルーフをつければタイヤが段差を越えるたびに頭をぶつけるほどタイトな乗りものです。そのうえ、シートの背後にはリジッドマウントされたかのようにうるさくて振動の多いエンジンが鎮座するわけですから「ハードでストイックな乗りもの」と評されるのも頷けます。
  それでいてインテリアは、センターディスプレイ、バックカメラ、6スピーカーを装備(一部オプション)とカタログにうたうあたり、強烈な洒落が効いているといわざるを得ませんね。
  軽量、かつ好バランス、そして活気のあるエンジンとくればゼロスタートが印象的なこと間違いありません。パワーウエイトレシオは3.7馬力/kgですから、ちょっと速いスーパーセブン並み、つまりは一般的なクルマを秒でブチ抜く実力のもち主ということ。
  現在、アメリカ本国からリリースされているスリングショットはスペシャルエディションを含めて5グレードという充実ぶり。前述のとおり、オプションやアパレルも豊富なので、我こそはと思う方はぜひ手に入れてみてはいかがでしょう。スリングショットで峠道をグイグイ走っていれば目立つことはもとより、快哉の叫びで喉が枯れるほどかもしれませんよ!

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