この記事をまとめると
■ランボルギーニは歴史のあるスーパーカーメーカー
■ランボルギーニの現在の売れ筋はSUVのウルスだ
■ランボルギーニ・ウルスについて詳しく解説
ランボルギーニ初のSUV
スーパーカーブームの主役だったミウラやカウンタックといったハイパフォーマンスカーを生み出してきたランボルギーニ。
近年もアヴェンタドールやウラカン、プラグインハイブリッドユニットを搭載したレヴェルトとハイパフォーマンスカーをラインアップしている同車ですが、現在の売れ筋モデルは2018年に登場したSUVのウルスです。
ランボルギーニにとって初めてのクロスオーバーSUVとして開発されたウルスは、フォルクスワーゲングループに属するポルシェ・カイエンやアウディQ7などと同じPL73と呼ばれるシャシーを用いて開発されました。
ちなみにランボルギーニはウルスをスーパーカーならずスーパーSUVと名乗っています。当然、他のSUVとは一線を画すスーパーSUVのウルスは、プラットフォームを共有するモデルとは異なり、1638mmと際立って低い全高を備えているのが特徴。スーパーカーとSUVのクロスオーバーと考えるべきなのでしょう。
パワーユニットは4リッターV8ツインターボエンジンを搭載。リヤシートが2座独立式4人乗りと3人がけ5人乗りが選択可能です。
ウルスはデビューからすぐに人気車種となったことで、ランボルギーニの販売台数は大きく飛躍。
2022年に最高出力が666馬力のウルス・ペルフォルマンテが登場。
また、同じ2022年にペルフォルマンテと同じパワーユニットを搭載し、さらに走行性能を高めたウルスSを発表と、さらなる進化を果たしています。
スーパーSUVらしい低くてワイドなフォルム
野生の牛を意味するウルス。基本的なスタイリングは2012年の北京モーターショーに出展されたウルス・コンセプトから踏襲しています。
ウルスの大きな特徴はSUVとしてかなり低く抑えられた1638mmの全高。2016mmの全幅とあわせて、同社のスーパーカーをイメージするロー&ワイドなフォルムでデザインされました。
ヘッドライトなどにはY字型のモチーフを採用。ルーフラインはカウンタックやムルシエラゴなどのデザインが取り入れられたことも特徴。また、前後タイヤの六角形型ホイールアーチもカウンタックからインスパイアされています。
ランボルギーニ初のターボエンジンを搭載
ウルスに搭載されるパワーユニットは、ランボルギーニ製ではなくアウディRS6などに搭載されていた4リッターV8ツインターボエンジン。意外なことに量産車ではランボルギーニ初となるターボエンジンを採用しました。
このエンジンは最高出力650馬力、最大トルクは86.7kgmを発揮。0-100km/h加速が3.6秒、0-200km/h加速は12.8秒とSUVとしては圧倒的な加速性能を誇ります。
また、2022年に登場したペルフォルマンテはエンジンの出力が666馬力まで高められました。
300km/hオーバーを可能とした走行性能
加速以外で注目したいのが最高速度。ウルスの最高速度は305km/hともっとも速いSUVとなりました。スーパーカー世代の方ならわかると思いますが(公称)300km/hを誇ったカウンタックより速い最高速度を可能としたのです。
このように300km/hを超える最高速度を発揮するウルスには、前後ともに巨大なブレーキを装備。前後ともにカーボンセラミックディスクを装備し、ハイパフォーマンスSUVに見合う強力な制動力を備えました。
ウルスと異なる内外装を採用
一見、同じに見えるウルスとウルスS。ただ外観にはいくつかの変更点があります。
デザイン的に大きな変更点といえるのがフロントグリルとフロント&リヤバンパー。フロントグリルには水平方向のシンプルなフィンを装備。ボンネットにエア・アウトレットも新たに設置されています。
リヤバンパーはスリットの形状を変更。バンパー下部はマットブラックに仕立てられたほか、オプションでマットブラックのテールパイプを選択できるようになりました。
エクステリア同様、インテリアデザインも変更。
ペルフォルマンテと同じ2トーントリムやコントラストカラーを新たに設定したほか、コネクテッド・ナビゲーションをはじめ、スマートフォンによるセキュリティ管理などにも対応しています。
爆発的な加速を実現
ウルスSが搭載するパワーユニットは4リッターV8ツインターボ。最高出力はペルフォルマンテと同じ666馬力を発揮。最大トルク86.7kg-mを発揮します。
ウルスよりパワーアップしたエンジンを搭載しており、最高速度こそ305km/hと同じですが、0-100km/h加速はウルスより0.1秒速い3.5秒とすさまじい加速力を可能としました。
強烈なパワーとトルクを発揮するエンジンには8速ATと進化したアクティブ・リヤ・トルク・ベクタリング付きのフルタイム4WDを組み合わせています。
4WDシステムはトルクの振りわけを調整可能としたことで、ウルスに比べ素早い前後トルク配分の変更を可能としました。
新たなドライブモードセレクターを搭載
ウルスSには4WDシステムやアダプティブエアサスペンション、ブレーキなどの装備を管理する「ANIMAセレクター」が装備されました。
このセレクターはドライバーが求めるドライブシーンにあわせてドライビングセットアップを選択し、それぞれのモードにあったドライビングダイナミクスを実現する制御システムです。
オンロード用に「STRADA」「SPORT」「CORSA」と3つのモードを用意。
その他、滑りやすい路面を安定して走行できる「NEVE」、オフロード走行時に快適性と俊敏性を可能とする「TERRA」、砂漠などの砂地を走行することに適した「SABBIA」とオフロード向けの3つのモードを用意。さらにステアリングやサスペンションなどをドライバー好みに再設定できる「EGO」と計7つのモードを備えました。
ウルスの祖先? ランボルギーニLMとは
先程、お伝えしたようにランボルギーニ初のSUVはウルスですが、軍用車両メーカーからの依頼を受けオフローダーを開発したことがありました。
そのオフローダーとはランボルギーニLMシリーズ。その起源は、1977年のジュネーヴショーに出展された「チータ」で、鋼管スペースフレーム+FRPボディを備え5.9リッターV8エンジンをミッドシップに搭載していました。ただ、軍に正式採用されなかったことで軍用車両ではなく市販オフローダーとして開発を行うことになります。
その後チータは「LM001」、「LMA」と進化を果たし、1982年には4.8リッターV12エンジンをフロントに搭載した試作モデルを発表。このモデルをベースに5.2リッターV12エンジンに変更するなどの改良を施した市販モデルが、1986年に発表されたLM002でした。
ランボルギーニLM002は1992年まで生産。約300台の販売台数を記録しています。
まとめ
いまやランボルギーニの屋台骨を支えるウルス。同社が開発するSUVは只者ではないことがその中身を見るとよくわかります。
走行シーンや路面状況、オンオフロード問わずに高いパフォーマンスを発揮するウルスはまさにスーパーSUV。ランボルギーニが手がけたウルスは数あるSUVにおいて唯一無二の存在といえるでしょう。