ランボのヘッドライトがフェアレディZのもの! アストンマーティンのテールランプはファミリア!! さらに地下鉄のランプまで……日本車からの意外すぎる流用パーツ

2024.06.07 11:40
この記事をまとめると
■まったく別のクルマの部品を使って作られたクルマを紹介
■有名なスーパーカーメーカーも日本車のパーツを流用していた
■クルマだけじゃなく鉄道関連のパーツにも使用されていた
デザインは違うけどパーツだけは誤魔化せない!
  信号待ちなどのときに前のクルマのテールランプをボーッとみていて「ん? どこかで似たようなカタチがあったような……」なんてふと思うことはありませんか?
  だいたいのケースではほかの似たようなデザインと大ざっぱに合致してそう感じることが多いと思いますが、人間の目と脳の認識力は意外と正確で、前に見たアレと目の前にあるコレが同じものだと気づいてしまうことがあります。
  もし自分がそんな発見をしたら、すぐさまSNSで投稿するか、知り合いにメッセージを送ってしまうでしょう。
  ここではそんな、あの有名なクルマに身近なあのクルマのパーツが使われているんだってよ、というネタを5つとおまけをふたつ紹介してみたいと思います。
■ロータス・エスプリは流用の宝庫
  パーツ流用の宝庫と言われるメーカーは英国のロータスです。そのなかでも「エスプリ」はかなりの部品が他車の流用となっています。
  まず有名なところから挙げていくと、テールのコンビランプがトヨタ・カローラレビン(AE86型)のものという話です。
  これを初代エスプリ(S1)のテールと勘違いして紹介している記事もそこそこあるようですが、初代のエスプリが発売されたのはAE86型より10年も前ですので、AE86レビンのテールランプが流用されたのは、外装デザインが変更された1987年発売の後期モデル(HC・ターボHC)からなんです。
  ちなみに初代のエスプリのテールランプはフィアット・X1/9(エックスワン(バイ)ナイン)からの流用です。
  初代のエスプリはほかにも、シトロエンSMのトランスミッション、オペル・アスコナのサスペンション&ブレーキなどなどが流用されているとか。
■あのディアブロに日産部品が
  続いてはランボルギーニの「ディアブロ」です。これもその筋では有名な話ですが、ヘッドライトにZ32型のフェアレディZのユニットを使っています。
  ディアブロのヘッドライトユニットを外すと上部に「NISSAN」の刻印が見付けられますが、装着状態ではカバーに隠れているようです。
  ディアブロは初期モデルではリトラクタブルヘッドライトでしたが、輸出する各国の交通法規に合わなくなってきたという事情に対応させるため、固定式ライトを採用することになりました。しかしこの当時、鋭角にスラントしたノーズの角度に合うユニットの開発は難しく、他社製品で探したところ、唯一、平面でこの角度に収めているユニットがこのZ32型のフェアレディZのものでした。
  ちなみにディアブロに採用されたヘッドライトユニットは前期フェアレディZのもので、プロジェクターランプがハロゲンバルブのタイプです。
■アストンマーティンも例外ではない
  あの「ボンドカー」に多く採用されていた英国アストンマーティンの車種「DB7」も、日本車のパーツを流用しているようです。
  これもテールランプの流用ですが、その相手がなんと、マツダの「ファミリア・アスティナ」だそうでビックリですね。
  よく見るとアウトラインの形状が違いますが、これはベゼルが被せられているためで、中身はアスティナそのもののようです。
「DB7」にはほかにも、「ファミリア」からドアのアウターハンドルを、「ユーノス・ロードスター」からはインナーハンドルとバンパーのリフレクターを流用しています。
  この当時のアストンマーティンはフォードの傘下にあって、フォードと提携関係にあったマツダの部品を活用したのだと思われます。
クルマだけでなく鉄道にも使用されている
■ランチア・ストラトスの丸いテールランプは大衆車からの流用
  イタリアのカロッツェリア「ベルトーネ」の鬼才デザイナー、「マルチェロ・ガンディーニ」のデザインのなかで、「カウンタック」と並んで最高傑作といわれている「ランチア・ストラトス」も、大胆な流用がおこなわれた1台です。
  特徴的な外観デザインのなかでも印象に残るまん丸の2灯テールランプはストラトスの後ろ姿のアイコンにもなっていますが、じつはこれ、「フィアット850ベルリーナ」からの流用品らしいのです。これにはガッカリするどころか逆に、大衆車にまん丸のテールを採用するフィアットは、「さすがイタリア!」と賞賛したくなりました。
■マクラーレンはメルセデスのパーツを使っている
  この話はかなり細かい部分の流用例ですが、プレミアムスポーツカー・メーカーのマクラーレンが、エントリーモデルの「570S」に、メルセデスで使われているパーツが流用されているようです。
  その部品というのはサイドウインドウの昇降モーターです。このモーターはドイツのパーツサプライヤーのクローゼ社が製造する部品で、「メルセデス・ベンツ Eクラス(W212)」や「メルセデスAMG GT-R」などに採用されているとのことです。
■<番外編>その1 2000GTのテールランプはバスからの流用?!
  さて、ここからは別メーカー間の流用ではなく、同じメーカー内での「意外な」流用例を紹介します。
  これはちょっと旧い例ですが、日本を代表するピュアスポーツカーの「トヨタ2000GT」のテールランプが他車種からの流用です。しかも、当時カローラの6倍の価格といわれた超プレミアム車のテールランプにマイクロバスのテールランプが流用されていたというのですからビックリです。
  その流用元のマイクロバスというのは、1956年に発売された「トヨタライトバス K170B系」です。こちらはこちらでメッキの装飾がアメリカンな雰囲気でまとまっていて興味深いデザインですが、まさかマイクロバスからあの名車のテールを流用してしまおうという大胆な発想をするなんて、当時のデザイナーは図太い神経をしていたのだなと思わずにいられません。
■<番外編>その2 地下鉄のホームドアにGT-Rの部品が!
  そして番外編のもうひとつは、その流用先が意外すぎる例です。
  その流用先というのは地下鉄のホームドア。東京の都心を「Uの字」にぐるっとまわる「東京メトロ・丸の内線」のホームに設置された「ホームドア」の上部に付けられたインジケーターランプに「NISSAN」の刻印があるというのです。
  そのことにいち早く気付いたクルマ好きがいたのでしょう。SNSなどで拡散して「あれは14シルビアのサイドマーカーに似ている」とか「33GT-Rか34前期ではないか?」などいろいろ検証が成されたようですが、まだ車種を特定するエビデンスは出ていないようです。
  ちなみにその採用理由ですが、ホームの長手方向に対して視認性が優れる製品を探していたところ、クルマのサイドマーカーの機能と結びつけた人がいて、それで仕入れの交渉をおこなったとのことです。
  確かに機能を考えたら合理的な判断だと思いますが、きっとその採用会議にはクルマ好きが混ざっていたと考えたほうが自然でしょう。
  と、いろいろ意外な流用例を挙げてみましたが、流用の主な目的はコストカットです。上記の流用例のほとんどは少量生産のスポーツ系車種です。そのジャンルの車種では、エンジンやデザインにはコストを割きますが、他の部分はできるだけ低コストで済ませたいと考えるでしょう。とくにヘッドライトなどの灯火類は構造が複雑なこともあって意外とコストがかかるため、個別に型を作って製造するのではコストが合いません。その結果流用という妥協案を選ぶことになるのでしょう。
  部品の側からしたら、いろんなところで活躍できて嬉しいことなのかもしれません。

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