旧車趣味は金食い虫……でもない! 庶民のギリ現実的路線の「200万円」で始められるクルマを探してみた

2024.08.28 11:40
この記事をまとめると
■200万円以下で購入できる国産旧車を紹介
■旧車なので故障のリスクはあるものの比較的維持がしやすいものを選択
■パーツ探しなどで仲間とのコミュニケーションを取るのも旧車趣味の楽しみのひとつだ
安く買える旧車もまだまだたくさん存在!
  ここ数年で感じるのは、週末に高速や大きな街道を走っていると、クラシックカーや旧車に出会う確率が多くなってきたなということです。
  そもそも旧車の業界に関わる仕事をする前までは、いまほどは旧いクルマに注目をしていなかったせいで、実際に走っていたのに気付いていなかったということもありますが、それを差し引いても、道中で遭遇する頻度は高くなった気がしています。
  実際、旧車と呼ばれる国産の古い年式のクルマの人気は高いレベルを維持していて、ちょっとしたブームになっているといっていい状態です。
  中古車の市場の相場もそれを表していて、ブームが起こる兆しが見え始めた15年ほど前に比べ、もっとも差が出た車種で10倍以上という高騰ぶりを見せています。かつて100万円前後で買えたものが1000万円以上と、ちょっと信じられない額になってしまっています。
  そのため、昔はおこづかいの延長でベース車が買えたので、コツコツと自分の好みに合わせてカスタムすることが趣味の予算の範囲で行えていましたが、いまではベース車の購入のハードルが激上がりしてしまっているために、旧車の世界に踏み込む入口が難関となっているのが現状です。
  とはいえ、趣味の世界の価格、とくに中古の価格は人気の大小でかなりの差が生まれますので、まだ注目度が低めの車種ならば、」おこづかいの範囲で購入できる目も残っていると思います。
  ここでは、「旧車に興味があるけど価格がなぁ〜……」とお悩みの人に向けて、200万円以下で買える可能性の高いダークホース的な車種を紹介してみましょう。
■まずは人気の車種とその理由を知る
  国産の旧車のなかで、圧倒的な首位をずっと守っている車種がふたつあります。
  ひとつは「ハコスカ」こと3代目の日産スカイライン(C10型)です。先に触れた10倍以上に高騰したのがこのハコスカで、高性能エンジンを搭載した初代のGT-Rグレードは、一時期2000万円を超えたというウワサも聞こえてきました。
  人気度でいうとダントツの1位です。スカイライン自体が日本のドメスティック(固有)の車種ということで、海外のクルマ好きからも注目され、憧れる人も多いようです。
  人気の2番目は同じ日産のフェアレディZ(初代・S30型)です。
  こちらも日本国内だけでなく、北米や欧州などで「Z(ズィー)カー」の愛称で呼ばれ、高い人気を誇ったクルマです。
  クルマのデザイン自体が秀逸でカッコイイというのが最大の理由だと思いますが、発売当時からずっと日産のスポーツカー&GTカーの二本柱として支持され続けた車種で、人気が衰えなかったことがいまにつながっているのではないでしょうか。
  また、どちらも日産が長い間作り続けた名機「L型エンジン」を搭載しているという点も見逃せません。
  このエンジンは、設計は古くさいのですが、直列6気筒のスムースさとタフさが魅力で、多くのバリエーションが生まれたため、現存する個体が多く、故障しても代わりが利くということでクルマの延命に貢献しました。
  構造がシンプルでいじりやすく補修パーツも豊富なことから、旧い日産車のなかでこのL型エンジンを搭載している車種は、軒並み高値で取引されているという傾向があります。
  この2車種を筆頭に、スカイライン系とフェアレディZ系はその後継車にも価格高騰の勢いが及んでいます。
  また、ほかのメーカーでも、トヨタではセリカやレビン/トレノ、ホンダはS600/800、マツダはRX-7系、三菱はギャランGTOやFTO、いすゞのベレットや117クーペなど、スポーツ系の車種は当時から憧れていた人が多く、一度は乗りたいという想いから相場が高くなっている傾向があるようです。
意外にも100万円台からも狙える!
■旧車らしさを味わえて、価格が控えめな車種を探す!
  ここでは、単に価格が安いというだけでオススメしてしまい、購入したあとのトラブルに対応できずに落胆して、最悪の場合、旧車を嫌いになってしまう、ということにはなってほしくないので、先に扱いや維持がカンタンではない車種も混じっていますということをお断りしておきます。
  その上で魅力を感じていただき、長いお付き合いになる車種と出会えてもらえたら幸いです。
まずは人気の高いL型エンジン搭載車から
  シンプルな構造で補修や維持がしやすいことで支持されている日産のL型エンジンを搭載する車種は、軒並み値が上がっているということはお伝えしましたが、探せばまだリーズナブルといえる範囲に留まっている車種もあります。
  その一例が日産セドリック/グロリア(430型)です。この車種は、1979年から1983年まで発売されたモデルで、2リッターのL20型から2.8リッターのL28型まで、インジェクション仕様のL型エンジンが搭載されています。
  前モデルの330型は根強い人気があり、少し価格が高めですが、この型ならまだ200万円以下でも手に入れられる可能性はあるでしょう。
  エンジンや駆動系の部品は豊富にあり、足まわりなどの補修部品もそこそこあるようなので維持もしやすいでしょう。
人気のブルーバードの穴馬モデル
  スカイラインとフェアレディZに次いで日産で人気の高さを誇るのが510型ブルーバードです。
  ほどよくコンパクトな車体に、パワフルな1.6〜2リッターの4気筒エンジンを搭載。少しコワモテの雰囲気を醸し出す顔つきなどが支持され、日本を始め北米でも高い人気を誇ります。
  この510ブルも程度やグレードによっては稀に200万円以下で売られていますが、ほとんどは300万円以上でしょう。
  狙い目はその2代あとのモデルになる「810型」です。L型エンジン(6気筒シリーズ)と同じ設計で2気筒削った4気筒のL型エンジンを搭載しているので、6気筒シリーズ同様に補修と維持がしやすいのがポイントです。
  タマ数はけっして多くありませんが、根強い人気を持つL型4気筒エンジンを堪能できるリーズナブルな車種ということでオススメします。
トヨタでは大衆車代表のパブリカがオススメ
  スポーツ系の車種の人気が高い日産車に比べ、トヨタ車はセリカやソアラ、マークIIなどのスペシャルティカー&高級車に人気が集まる傾向があります。
  そのため、ダークホース車種を探すなら、そのラインを外すことが第一になります。ずばりオススメは「パブリカ」です。
  カローラの前身で通算20万台以上を売り上げた、まさに大衆車の先駆けというべき車種です。初代は丸目2灯のカエルを連想させる愛嬌のあるデザインが魅力で、エンジンは空冷の水平対向2気筒800ccという、オートバイに搭載されるのがジャストサイズのユニットを搭載していて、十分以上に旧車らしさを味わえます。
  初期モデルのDXグレードなどは高値が付いていますが、探せば初期モデルでも200万円以下で販売されているのを見付けることができるでしょう。
  心配は補修や維持ですが、旧車専門店に相談すれば、パーツはそこそこあるようなのでなんとかなる車種だと思います。
最後はもとの価格が低めな軽自動車から
  軽自動車枠が生まれた初期のころは、排気量の上限が360ccでした。いわゆる「サブロク」と呼ばれているクルマ達です。
  もともとの価格が安いことと実用性が高くないことから、いまでも相場が低めで取引されています。
  ただし、実用性という面では期待しないでください。車体サイズはかなり小さいので積載能力は少ないですし、エンジンが非力なので、高速道路では肩身の狭い思いをするでしょう。
  それでも小さくて可愛いクルマがほしいという人にはオススメのジャンルです。
  人気の高いスバル360(てんとう虫)やホンダZ、ステップバン、マツダ・キャロルなどは200万円を越える個体も多く、なかなか手が出しづらい車種になりますが、それ以外の車種なら200万円以下で十分に探せるでしょう。
  たとえば「ホンダN360」はいかがでしょう。MINIに倣ってFFレイアウトを採用したことで、サイズの割に広い室内を実現していて実用性は低くありません。
  エンジンはホンダならではの高回転まで元気にまわるユニットで、非力は非力ですが、楽しめるエンジンといえるでしょう。
  維持についてですが、ホンダの旧車はマニアが支えている面があり、パーツの調達もその伝手を探せば何とかなるという話も聞きます。
  もうひとつはマツダの「ポーター」。シンプルな構成の商用車ベースですが、なんとも可愛らしいデザインが人気の車種で、初代はボンネットがあるスタイルでバンとトラックが選べます。
  後から追加されたシート下にエンジンが配置されるキャブオーバータイプの「ポーターキャブ」も、初期の丸いライトベゼルが付いた愛嬌のあるデザインのタイプは人気があります。
  どちらも100万円台中盤で取引されているのをよく見かけます。
  こちらの維持についてはカンタンとはいえないでしょう。ただ、中古パーツはそこそこあるようなので、ポーターに強いショップやユーザーグループを頼ればなんとかなりそうです。
  さて、200万円以下という括りで旧車をピックアップしてみましたが、気になる車種はあったでしょうか?
  基本的には維持しやすい車種は人気が高く、価格も高くなる傾向があるので、カッコ良さとの両立を求めるなら、価格の面で割り切るしかありません。
  なので、リーズナブルに旧車の魅力を味わいたいという向きには、とりあえず人気の車種は選択肢から外すことが必須となります。つまり、ある程度の扱いにくさ、維持のしにくさを覚悟しないとなりません。
  でも、いまはネットでいろいろ繋がれますので、その車種固有のコミュニティにつながったり、その車種が強いショップを見付けたりすることで、扱いにくいという部分はかなり解消できるでしょう。
  ハマればそういう仲間とのコミュニケーションも楽しみのひとつになりますので、思い切って一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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