1年中高温多湿で道路が冠水するような大雨も降る! クルマに過酷なタイなのに美しい旧車だらけなワケ

2024.05.23 06:20
この記事をまとめると
■タイの首都バンコク市内では旧車を見かけることが多かった
■バンコクではユーノス・ロードスターだけでなく20年以上前のメルセデス・ベンツやボルボも見かけた
■どのクルマも綺麗だったことからしっかりメンテナンスをしていると思われる
タイでクルマが使われる環境は過酷
  東南アジアに位置するタイは、いわずとしれた亜熱帯地域に位置している。年間を通じて多少の平均気温差はあるものの、日本でいえば年中「夏」が続いていることになる。筆者は2024年3月末にタイの首都バンコクを訪れていたのだが、滞在後半になると連日最高気温が37度、日本での「酷暑」と呼ばれるような日々が続いた。日本での酷暑と同様に午後1時もすぎると、とにかく外を歩くのがかなりつらくなるので、一旦ホテルに戻ってギンギンにクーラーをきかせて避難して夕方再び出かけるようにしていた。
  タイには雨季と乾季があるが、雨季といってもずっと雨が降っているわけではない。2024年2月にインドネシアの首都ジャカルタを訪れたときはちょうど雨季であった。ただし、こちらもずっと雨が降っているわけではなく、どんより曇った天気をベースにときおり雨が降る程度であった。しかし、滞在初日の晩には雷鳴とどろくゲリラ豪雨のような天気が一晩中続いた。事情通によると、「ここ最近は気候変動が影響し、雨季といっても以前とはずいぶん様子が変わってきた」と語ってくれた。
  そのような気候なので、リーズナブルなモデルや東南アジア専売のようなモデルでは、空調にヒーターを備えずに冷房(クーラーが多い)のみというモデルも少なくない。
  雨季になれば、バンコクのような大都市でも道路冠水は珍しくない。つまり、年中高温多湿で道路冠水も珍しくない(最近の日本も夏場は珍しくないが)ということで、クルマにとってはかなり悪環境といえるのである。
  近年では、「日本も亜熱帯になったのではないか?」ともいわれるほど、タイとは地政学的に近いので、日本車はそれでも高温多湿に強いとされている。夏の暑い日に渋滞下でエアコンを使ってもできるだけクルマに負担をかけないような設計などもされている。その意味でも、東南アジアでは日本車が強みを見せているのかもしれない(エアコンの効きなども車種選びの重要な基準のようだ)。
意外や意外、バンコクは日本の旧車天国だった
  このような状況なので、日本以上にクルマにとっては過酷な環境に見えるのだが、バンコク市内を見ていると、意外なほど旧車を見かける。5代目ホンダ・シビックや初代マツダ(ユーノス)・ロードスターといった日本車に交じり、欧州車の旧車も多く見かけることができた。
  メルセデス・ベンツでいえば、W123やW124のEクラス、初代Cクラスを見かけることもできたほか、20年ほど経過したボルボも走っていた。ちなみにボルボは新車でも街なかを走る姿をよく見かけた。「日本と同じかもしれませんが、インテリジェンスの高い所得に余裕のある人が好んで乗っているようです」とは地元事情通。
  日本車はともかくとして、当時の欧州車は高温多湿を苦手にしていたのだが、いまでも冷房をきかせ、外装もかなり程度良く乗っているのである。見かけただけでも手入れが行き届いているのが伝わってきた。
  そもそもタクシーですらドレスアップしていることも少なくない土地柄、クルマをいじることが好きな人が多いように見受けられる。日本でも趣味で旧車を乗っている人はよく見かけるが、バンコクで見かけた多くの旧車たちは、趣味として乗っているというよりも、手入れを丹念に行いながら日常的に使っているようにも見えた。
  ちなみに、かつて日本で中古バスを販売する人に話を聞いたことがある。中古バスとして販売される車両はおおむね走行距離が60万km前後のものが多いとのこと。そして、仕入れ先はバス事業者となるのだが、たとえば路線バスで同年式同型車であっても、点検・整備などをしっかり行っている事業者と、乗りっぱなしに近い状態で使っている事業者ではコンディションに大きな差が出ると聞いたことがある。
  その意味では、バンコク市内で意外なほど欧州ブランドの旧車を見かけたということは、普段から小まめに手入れをする人がタイには多いということを意味するのかもしれない。

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