この時代にまだ「パクリカー」を堂々展示……ってある意味スゴイ! バンコクのモーターショーで見つけたもはや笑えるクルマたち

2024.04.29 06:20
この記事をまとめると
■タイの「バンコクモーターショー」には中国メーカーが多数出展していた
■昔のイメージでは「パクリ車」や「コピー車」が多かったが最近は少なくなった
■今回のバンコクモーターショーで見かけた「パクリ車」をいくつか紹介する
東南アジアではBEVがアツい!
  2024年3月末から4月上旬にタイの首都バンコク郊外で開催された「第45回バンコク国際モーターショー(以下:バンコクモーターショー)」。
  タイはそもそも日本車の販売シェアが圧倒的に多く、いまでも70%台をキープしているとされている。そのなかでここ最近は、中国メーカーがBEV(バッテリー電気自動車)を引っ提げ、相次いでタイ市場に参入している。そのため、街なかでは日本車を多く見かけるのだが、ショー会場では「新参者」で目立つということもあり、中国メーカーの存在が際立っている。
  中国メーカーはタイだけでなく、インドネシアなどほかの東南アジア諸国でも積極的に展開してきている。一般消費者レベル以上に、政治レベルではBEVに熱い視線(大気汚染対策などで)を送る傾向もあり、とにかく勢いがあるように見えるのが現状。
  中国メーカーといえば、過去には「パクり車」が得意芸であった時期がある。聞いた話では、「パクり」ではなく設計データを何らかの形で入手した「コピー車」という表現が似合うモデルが目立っていたほど。たとえば、いまではBEVでテスラと激しく販売競争を展開するBYDオート(比亜迪汽車)も、過去には9代目トヨタ・カローラそっくりの「F3」というモデルをラインアップしていた。
  このF3のフロントグリルには、9代目トヨタ・カローラのグリルでトヨタのエンブレムがあるところにBYDのエンブレムがあるのだが、そのスペースにカローラのトヨタ・エンブレムがそのままつけられるとのことで、中国ではBYD F3を買うとトヨタのエンブレムを購入して付け替えることも多かったようだ。ちなみにエンブレムもその場でコピーしてくれる工房があり、筆者も実際に訪れてその作業風景を見たことがある。
  いまではBEVを中心に世界的な販売競争を展開するようになっており、また中国社会もそれなりに成熟しているので、クルマ以外の製品を含めても露骨なコピー商品は激減しており、クルマの世界でも「完コピ」というよりは、「イメージを拝借している」レベルのモデルがパラパラとラインアップされる程度となった。
パクリ芸はいまだ健在!
  このような「何かに似ている」といったモデルをオートショーに展示するのは中国国内だけかと思いきや、今回のバンコクモーターショー会場内でも見かけることができた。
  まず「これはなかなかだな」と思ったのが、GWM(長城汽車)の「タンク500」というフルサイズSUV。エクステリアがどこかのクルマに似ているということはないのだが、そのボディカラーのコーディネートが「メルセデス・マイバッハGLS」のイメージカラーと色調が同じなのである。
  しかも、このモデルは正式開幕前日の「VIPデー(特別招待日)」にはなく、メディア招待日となる正式開幕日から展示されるようになっていた。どのようなメッセージがあるのかはわからないが、マイバッハをリスペクトしてこのモデルを開発したのかもしれない。
  あとは、やはりGWM(歴史的にパクりモデルが過去に多かった)となるのだが、BEVの「ORA 07」は、2023年12月に開催された「バンコクモーターエキスポ」でデビューしたのだが、「小さいポルシェ・パナメーラ」といったオーラを出しながら展示されていた。
  極めつけは、二輪車メーカーブースの集まるところにブースを構えていた「HONRI自動車グループ(鴻日汽車集団)」傘下の「VIAオート(未奥汽車)BOMA」。画像を見てもらえれば、なんの説明もいらないほど「トヨタ・アルファード」そっくりとなっている。
  ボディサイズがかなり異なるので「完コピ」とはいえないが、中国コピー車の真骨頂ともいえるモデルがいまだ健在していた。ちなみにBOMAはBEVとなっている。
  このHONRIグループには、HOXIDオート(鴻喜達汽車)というメーカーもあり、こちらは三輪車をラインアップしている。筆者が2000年代後半に中国へ行くようになった当時は、すでに「農村の移動手段」のような存在になっていた三輪車だが、報道によると、この三輪車もICE(内燃機関)から電動になると都市でも再起したとのことである。
  筆者が遼寧省の郊外を訪れたときには、タクシーとしてよく使われていたことを記憶している。当時の三輪車はまさにコピー車のオンパレード。ベースは三輪オートバイとなっているようだが、これにボディをかぶせるので、このかぶせるボディがプジョーなど、どこかで見たようなものばかりであったのも記憶に鮮明に残っている。
「そっくり=コピー車」は、社会もある程度成熟したタイで積極的に受け入れられることはないだろう(そもそも堂々と販売するのは難しいだろう)。ただ、前述したタンク500のような、「ボディカラー」に限定した「パクり」ならば、気分だけマイバッハを味わいたいという人には選ばれるかもしれない。

あわせて読みたい

「なにがしたいのか意味不明」と辛辣な声! タイに進出したベトナムの新興自動車ブランド「ビンファスト」の戦略が謎すぎる
WEB CARTOP
EVに限ればモーターショーで勢いのあるBYDよりも韓国のヒョンデが圧倒的に多い! インドネシアの街中クルマウォッチング
WEB CARTOP
「Q SKIP」で楽しむ!東急沿線1日お散歩旅
antenna
世界で売れまくりBYDのATTO3は日本でも売れる…のか??
ベストカーWeb
カローラを倒してテスラモデルYが一位に……20万台以上の差に!! 国産車が20台もランクインした世界販売ランキング
ベストカーWeb
【エチュード】韓国美容系動画クリエイター「チョ・ヒョジン」との第三弾コラボアイテム登場
PR TIMES Topics
いまタイで高級ミニバン戦争が激化! 鉄壁のアルファード&レクサスLMに挑む中国勢たち
WEB CARTOP
タイではピックアップトラックが激戦区! 意外にも中国メーカーがBEVじゃなく「ハイブリッド」を投入するワケ
WEB CARTOP
アートフラワー2024サマーコレクション第1弾を販売開始
PR TIMES Topics
BEV化が急速に進むタイに押し寄せる中国メーカー! 普及にブレーキがかかりそうな要素も見え隠れする危うい戦略
WEB CARTOP
需要が大揺れ「タイの自動車市場」に異変あり
東洋経済オンライン
抹茶三昧の和菓子「水まる餅 hey!抹茶」新発売
PR TIMES Topics
中国車ってEV一辺倒じゃなかったの!? インドネシアでみた中国メーカー「エンジン車」の存在感
WEB CARTOP
続々とアジア各国に進出する中国メーカー! 勢いはあるものの「焦り」のようなものが見え隠れする現状
WEB CARTOP
八幡屋礒五郎の焙煎一味を使用した「一味きな粉わらびもち」新発売
PR TIMES Topics
単に価格勝負で日本市場を狙っていない! BYDの侮れないブランド戦略とは
WEB CARTOP
三菱に新型ハイブリッドSUV登場!! バンコクショーでも中国メーカーの猛攻止まらず アジアの最新トレンドはいったいどうなる!?
ベストカーWeb
オープン2周年記念!「オアシスドッグカフェ」にてオリジナルお散歩バッグ新発売
PR TIMES Topics
日本車王国タイのモーターショー会場は中国ブランドが台頭! それでも「日本メーカーの優位」が揺るがないワケ
WEB CARTOP
タイにヒョンデが「N」で参戦! ただし「タイ人の好み」を把握している日本車の壁はそう簡単に崩せない
WEB CARTOP