新車カタログをみると燃費が2種類あるけどナゼ? WLTCとJC08モード燃費の違いとは

2024.04.13 11:40
この記事をまとめると
■自動車のカタログに表記されている「JC08モード」と「WLTCモード」の違いを紹介
■JC08モードとWLTCモードでは走らせ方が違う上に荷物も想定しているので数値に開きがある
■かつてはエンジン出力も2種類の測り方があった
モード燃費の測定は実際に走らせるわけじゃない
  エコであることが当たり前の条件になったのか、それともゼロエミッションではなくてCO2を排出するのであれば大差ないと社会が考えるようになったのかはわからないが、令和のクルマ選びにおいては、平成時代ほど燃費性能と商品力がダイレクトにつながっていないように感じることもある。
  とはいえ、CO2排出量を総量的に規制するという動きは世界的なトレンドである。化石燃料を消費するクルマにとって燃料消費=CO2排出であり、「よき市民」であるほどCO2排出量を減らすためには省燃費なクルマに乗るべきと感じていることだろう。
  CO2排出による環境への影響を抑えるという意味で、本質的に重要なのはリアルワールドの燃費であるのはいうまでもない。とはいえ、いわゆる“実燃費”は環境やドライバーのスキルなどによって変わってくる。そこで参考となるのが、カタログスペックに掲載されている「燃料消費率」である。
  そして、昨今の新型車においては「WLTCモード燃費」と「JC08モード燃費」が併記されているケースが多い。はたして、このふたつのモード燃費は何が異なるのだろうか。
  まず前提条件でいうと、モード燃費の計測はシャシーダイナモと呼ばれる、室内に設置された計測器に実車を載せて行われる。「計測器を使っている段階でリアルワールドとかけ離れた測定方法だ!」と批判したくなる気持ちもわかるが、温度や湿度などの条件を一定にしなければ横並びで比較することはできないため、条件を統一することは当たり前といえる。
  当然ながら、シャシーダイナモ上での走らせ方も合わせなければ比較するデータとしての意味はない。すなわち、JC08やWLTCというのは、計測用走行パターンの名前と捉えればいいだろう。また、シャシーダイナモ上で、そのまま計測するとさまざまな走行抵抗は無視されてしまう。空気抵抗や転がり抵抗については車種ごとに計測した上で、それぞれに負荷値として設定することでリアルワールドに近づけるという工夫もされている。
具体的な違いをズバリ解説
  さて、JC08モードにしろWLTCモードにしろ、言葉で表現するのは難しいほど非常に複雑な走行パターンが定められているが、その違いを手短に表現すれば、「停止時間(アイドリング)が長いのがJC08モード、高速走行・加速シーンが多いのがWLTCモード」と区別することができる。
  そもそもJC08というのは、「J」というアルファベットが入っていることからもわかるように日本専用に作られた計測モードで、渋滞や信号待ちを考慮したシチュエーションが多くなっている。そのため、アイドリングストップ機能が貢献しやすいモードという見方もできる。
  一方、WLTCというのは「Worldwide harmonized Light vehicles Test Cycle」の略称で、直訳すると「国際調和的軽量自動車用測定方法」となり、一般的には「世界統一試験サイクル」という和訳が使われている。国際的な測定モードであり、世界中の交通シチュエーションを意識したサイクルとなっている。そのため、速度レンジが高めになっているのだ。
  また、計測時に設定する車重についても異なる。JC08モードでは2名乗車を条件設定としているので、車両重量+110kg(1名55kgで計算)となるが、WLTCモードでは1名+荷物の車重を基準としている。WLTCモードにおける車重の計算方法は、車両重量+100kg+積載可能重量の15%というもので、ほとんどのケースでJC08モードより重くなる。
  結果として、JC08モードとWLTCモードが併記されているカタログスペックを見ると、後者のほうが数値としては悪化しているように見える。さらに、WLTCモードでは市街地・郊外・高速道路と3つのモードを組み合わせているのも特徴。各モードでの燃費データもカタログスペックとして記載されているので、個々のモデルにおいて、どんなシチュエーションが燃費に有利なのか判断する参考となることもある。
  そのため、WLTCモードのことを「現実に即した燃費測定方法」と表現することもあるが、前述したように測定モードというのは、あくまでも横並びで比較できるよう条件を揃えるための決まりごとであって、どちらがリアルワールドに近いかを評価すべきではないだろう。
  ベテランドライバーであれば、昭和から平成にかけての時期にエンジン出力の測定方法が「グロス」から「ネット」に切り替わったときにも同じような話があった。簡単にいうと、グロスというのはエンジン単体で計測した馬力であり、ネットというのは量産車と同じ吸排気系を装着して測った馬力となる。
  そのため、数字だけを見るとグロスのほうが大きく、「グロス馬力は信用できない」という話もあったが、ネット馬力についてもエンジンベンチといって車載ではない状態で計測したものである。エンジン・トランスミッション・タイヤといった具合で路面にパワーを伝えるリアルな状態とは、いずれにしても異なっているのだ。
  だから意味がないという話でもない。燃費にしろ、馬力にしろ、計測モードというのは、条件を合わせて比較するために必要なものであって、それ以上でもそれ以下でもないと捉えるべきだ。問題にすべきは、自動車メーカーが測定モードに合わせた“チート”セッティングをすることで、計測モードがリアルワールドと乖離することなのだが、数字で見える性能差が商品力として評価される限り、そうした自動車メーカーの取り組みをなくすことは難しいだろう。

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