季節ごとの行事やお祝いの日に食べる特別な料理を「行事食」といいます。「年越しそば」もその1つ。1年の締めくくりになぜそばを食べるのか、その由来や込められた願いと、大根やネギを使った年越しそばレシピを紹介します。
●始まったのはいつ?
江戸時代に始まった習慣で、元々は大みそかの祝い膳の1つだったと言われています。この習慣が現代にも受け継がれ、今では60%以上の日本の家庭で、大みそかに年越しそばが食べられているそうです。
●どうしてそばを食べるの?
そばが細く長いことにあやかっています。そばのように寿命が延びますようにと、長寿を祈って食べたといわれています。また、他の麺類に比べて切れやすいため、苦労や厄災を断ち切るという意味も込められています。縁起をかついで、長寿そば、運気そば、福そば、縁切りそばなどさまざまな呼び方があります。
●いつ食べる?
年越しそばを食べる時間帯に決まりはありません。夕飯に食べても年越し直前に食べても構いません。ただし、年が変わる前には食べ終わりましょう。
ネギ、大根など定番野菜の年越しそばレシピ
常備している野菜で、さっと作れるそばを紹介します。
おいしいそばの茹で方
●用意するもの
・生そばor乾麺:人数分
・茹で湯:1人分約1リットル
●茹で方
1.大きめの鍋に人数分の湯を沸かす。
2.沸騰したらそばを入れ、表示時間通りに茹でる。
[茹でるときのコツ]
・ふきこぼれそうになっても水を入れたりせず、火加減で調整しながら茹でる(湯の温度を変化させないのがコツ)。
・冷やすときは、冷水で丁寧にもみ洗いし、ぬめりをとる。
●ネギと味わう鶏南蛮そば
鶏モモ肉を香ばしく焼いて食べ応えのある一品
材料(2人分)
ネギ:1本
鶏もも肉:1枚(約350g)
塩:小さじ1/2
粉山椒:小さじ1/4
生そば:2玉(1玉約150g)
[A]
だし汁:800ml
醤油:大さじ3
酒:50ml
みりん:大さじ1
作り方
鍋にAを入れて沸騰させ、弱火で温めておく。
鶏肉は厚いところを包丁で開いて余分な脂肪を取り除き、皮目にフォークで数カ所穴を開けて塩と粉山椒をふる。ネギは青い部分の半量を薬味として薄い輪切りにし、残りを幅4cmに切る。
グリルに皮目を上にして鶏肉と幅4cmに切ったネギを並べ入れ、中火で8~9分焼く。ネギは焼き色がついたら先にグリルから取り出し、1に加えて鍋の火を止める。
鶏もも肉が焼きあがったら、キッチンばさみで食べやすい大きさに切って3に入れる。
そばを袋の表示通りに茹で、湯切りして器に盛る。3をかけ、2のネギの輪切りをのせる。
●おろしそば
ピリッと辛味のきいた大根と一緒に食べる福井県の年越しそば
材料(4人分)
生そば:4玉
大根おろし:大根400g分
だし汁:600ml
酒:大さじ1と1/3
薄口醤油:大さじ3弱
みりん:大さじ1と1/2
刻みネギ:20g
かつお節:8g
唐辛子:お好み
作り方
鍋にだし汁を入れて沸騰させ、酒、醤油、みりんを加え、かけ汁をつくる。
そばをたっぷりの湯で茹で、水気を切って、温めた器に入れる。
大根おろしをいれたかけ汁をそそぎ、刻みネギ、かつお節を飾る。お好みで唐辛子をかける。
memo
・ 福井県の年越しそばとして食べられている「おろしそば」は、冬でも冷やして食べるのが一般的です。冷たいそばにするときは、茹でた後に水にとって十分にぬめりをとりましょう。
・ 福井県では、大根おろしを入れたかけ汁をかけるほか、大根とだしを別々に入れる、大根のしぼり汁とだしをあわせてかける、などの食べ方もあります。
地方に伝わる年末料理
・宮崎県に古くからある年末の行事食に、「歳とり膳(年取り膳、年越し料理とも呼ばれます)」があります。1年間の無病息災を感謝しながら、大みそかの夜半から未明にかけてごちそうをいただき、家族揃って1つ歳をとることを喜びました。
・地域によって歳とり膳に使う材料はさまざまですが、歳とり魚には、沿岸部では縁起物である「鯛」を、山間部では日持ちのする「塩イワシ」を主に使用します。そのほかには、煮しめ、白あえ、煮豆、なますなどが並びます。
最後に
家族の健康を祈りながら、年越しそばを食べてください。
[ネギ]選び方や冷蔵&冷凍保存、栄養、料理別の切り方まとめ
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本来、関東では白い部分を食べる「長ネギ(根深ネギ・白ネギ)」、関西では緑の葉の部分を食べる「青ネギ(葉ネギ)」が主流ですが、現在ではどちらのネギも地域を超えて流通しています。薬味など、生で使うとネギ本来の辛味や香りが活き、焼く・煮るなどの加熱調理をすると辛味が消えてマイルドな甘みが生まれます。
最終更新:2023.11.08
文:アーク・コミュニケーションズ
写真(撮影):清水亮一(アーク・コミュニケーションズ)
写真(撮影協力):吉田めぐみ
監修:カゴメ
出典:
農林水産省
「お蕎麦を知って美味しい年越しそばを食べよう!」(年越しそばの由来、そばの茹で方)
「みんなに話したくなる「年越しそば」について(年越しそばの由来)
「自然への感謝と祈りをこめて 家族を結び、未来へつなげる和食」(年越しそばの呼び名)
「うちの郷土料理」福井県(おろしそば)
「うちの郷土料理」宮崎県(年越し料理)
JA共済「地域のきずな」(ねぎたっぷり鶏南蛮そば)