スポーツで体験し、防災を身近に感じてほしい。「防災スポーツ」の開発の経緯と込めた想い

2023.08.31 14:10
株式会社シンクは、“スポーツで災害に強くなる”をコンセプトにした「防災スポーツ」という新しい形の防災を提供しています。


地震や津波、台風など、自然災害が絶えない日本。「もしも」のときに、自分を、家族を、周りの人を助ける力を身につけていてほしい。そのために、防災をもっと身近に楽しんで取り組んでもらえるようにと思いを背負って生まれたのが、本取り組みです。


今回は「防災スポーツ」が生まれた経緯やその取り組みについて、代表の篠田よりご紹介します。
プレーヤーとは異なる、新たな形でスポーツの発展に貢献したい
篠田は大学卒業後、スポーツ系企業勤務を経て、2014年に株式会社シンクを設立しました。スポーツコンサルティング事業、イベントプロデュース事業、マラソン大会向け記録配信サービス事業(スポロク)、防災スポーツ事業の4つを展開しています。中でも防災スポーツは、2020年12月に「第8回スポーツ振興賞スポーツ庁長官賞」、2021年2月に「スポーツ庁主催 INNOVATION LEAGUEコンテスト ソーシャル・インパクト賞」、2022年2月に「内閣府主催 第4回日本オープンイノベーション大賞 スポーツ庁長官賞」を受賞しました。また、篠田は本取組に関わるテーマで2023年4月に「令和5年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞」を受賞しました。


篠田が大学卒業後からずっとスポーツ事業に携わっているのは、子供の頃に野球へ打ち込んでいたことが大きな理由のひとつです。ひたむきに取り組んでいたものの、活躍する選手は一握りで、選手としてやっていく厳しさを感じました。しかし、現実を理解してはいても、やはりスポーツからは離れがたく、「新たな形でスポーツの発展に貢献できたら」と思うようになりました。その思いから、これまでスポーツ事業に取り組んできました。
株式会社シンク 代表 篠田大輔
スポーツとして楽しみながら防災を体験・学習してもらう「防災スポーツ」
スポーツコンサル事業などを行っていく中、2018年に「防災スポーツ」が生まれます。「防災スポーツ」とは、その名の通り、防災とスポーツをかけあわせて、災害時に必要な身体の動きをスポーツに落とし込んだものです。防災訓練を競技化した体験プログラムである「防リーグ」と、防災に関する正しい知識と行動を学び、実践する「防トレ」を中心に構成しています。


「防災スポーツ」は、スポーツとして楽しみながら防災を体験・学習してもらえる機会になることに加え、この取り組みに共感していただいたスポーツチームやアスリートなどの力もお借りすることで防災啓発にも繋げることができると考えています。


アスリートの発信力や訴求力、スタジアム・アリーナといった施設など、スポーツが持つ資産を活用した展開をしていけたらと思い展開しています。


また、「防災スポーツ」を活用したブランディング支援も行っています。企業の広告宣伝や販売促進コンテンツ、福利厚生の一環として活用していただくことで、企業や団体の価値向上や他産業への波及を目指す取り組みとなります。
ただ楽しいだけの機会ではなく、体験を通して知恵と力を的確に学ぶことができる
「防リーグ」には現在、7種目の競技があります。
それぞれの競技で、災害前に身に着けておきたい防災知識トレーニングから、災害時に自分の身を守ったり周りを助けたりするための体験、そして災害後の復旧・復興のための体験ができ、災害の時系列に沿って学ぶことができるプログラムとなっています。


たとえば、毛布を使った担架で障害物競争を行う「レスキュータイムアタック」では、災害時に周囲の人たちと協力しながら負傷者を運ぶ救助体験ができます。
いざ災害が起こったときに、担架が身近にあるとは限りません。担架の代わりに、災害時でも比較的手に入りやすい毛布を使って人を運ぶ方法を学びながら、段差やぬかるみなど、災害時の悪路を想定したコースを安全に速く移動する体験を得ることで、災害時の人命救助に活かせる力を育むことができます。
レスキュータイムアタック


その他、支援物資を限られたスペースに効率的におさめる「ゴー!ゴー!キャリー」や、川や海で溺れている人を救助することを想定した「ウォーターレスキュー」など、避難所での対応や水難の際の救助方法を学ぶ競技もあります。


安全により速くを競うタイムトライアルと、コラボレーションやコミュニケーションを学べるチーム戦スタイルを取り入れたことで、スポーツ競技のように楽しんで体を動かしながら災害時に活かせる防災の知恵と技を覚えることができます。


また「防トレ」は、こうした「防リーグ」での競技体験を通して高まった防災意識を、継続的に維持してもらいたいとの想いから作成したトレーニングプログラムです。一般的なエクササイズやトレーニングが日常的に行われていることと同様に、災害前の対策や災害時に必要とされる冷静な対応力を家庭で日常的に養えるよう、防災に関する正しい情報をプログラムにしています。


事業化に当たっては、篠田自身が学んだ被災体験の教訓に加えて、防災の日常化を目指すNPO法人プラス・アーツにプログラム監修を依頼し、東京大学大学院で防災研究に従事する廣井悠教授をアドバイザーに招くなど、防災に関する学術的な根拠もおさえました。


そのため、ただ楽しい体験という形で終わらせるのではなく、災害前、災害時、災害後とそれぞれのステージで必要とされる知恵と技を、体験を通して的確に学ぶことができるようになっています。
きっかけは阪神・淡路大震災での被災経験
これらの「防災スポーツ」を考えるようになったのは、代表の篠田が阪神・淡路大震災で被災したことが根底にあります。被災後の行動は本当に体を動かすものばかりだったといいます。本棚に埋もれた家族を助け出したり、がれきの間を縫って支援物資を運んだり。避難した小学校では水が止まっているものだから、地域の人と協力し合ってプールの水をトイレに運んだりもしました。篠田の場合は野球で鍛えた体力がありましたが、“走る=逃げる”“運ぶ=人を助ける、物資を運ぶ”“投げる=(水害時)浮くものを投げる”というように運動時の行動は災害時の行動とリンクするのではないかということに、あとから気付いたのです。
阪神・淡路大震災被災当日(中央 篠田)


災害時には知識に基づく判断力に加え、とっさに行動できる体力とスピードが必要であること。この教訓を体で覚えていたので、体力や俊敏性を養えるスポーツに防災力を高められる可能性を見出せたのだと篠田は振り返ります。


災害はスポーツで備えられる、この思いから今の「防災スポーツ」が生まれました。
スポーツを通して楽しみながら防災を学び、防災をもっと身近に感じてもらいたい
スポーツは、大きく『遊戯性=楽しむ要素』『運動=体を動かす要素』『競争性=競う要素』という3つの要素から成り立っています。そのうち、運動と競争性は、身体を動かして、より早く逃げるなどの災害時に役立つ要素です。それらに加えて、遊戯性という要素をもつスポーツには、防災に必要とされる能力を楽しみながら身につけられる効果が期待できます。


災害はどうしても「怖い」「危ない」といったマイナスイメージが強く、大事だとはわかっていながらも防災に目を向ける機会は多くはないのが現状だと思います。だからこそ、スポーツを通して楽しみながら防災を学ぶことで、防災をもっと身近なものに感じてもらいたいと考えています。同時に、災害時には協調や身体で覚えた動きが大切になってくることも、スポーツを通すことでより理解を深めてもらえるのではないかと期待している点です。
万が一災害が起きたときに、自分自身と周囲の人を守れる方を増やしたい
これまでに学校や自治体、企業やアスリートチームなど、数多くの団体に導入されています。
コロナの影響でイベントを開くことが難しい時期もありましたが、コロナ禍でこれまでのように密になる運動会が開催できなくなった小学校では、その代わりに「防災スポーツ」を取り入れて学年別に実施していただき、現在はカリキュラムの1つとして活用していただいています。
小学校での取組


また、近年では、Jリーグの「水戸ホーリーホック」やWEリーグの「マイナビ仙台レディース」といったプロスポーツチームや、スタジアム・アリーナといったスポーツ施設との協業も増えています。例えば、試合の開催に合わせて来場者に「防リーグ」を体験してもらうイベントを合同で実施することで、地域の防災や減災に貢献できたらと思います。
合計の体験者は6000名を超え、「みんなで力を合わせる体験が楽しかった」「防災スポーツを通じて、スポーツに対する意欲が高まった」といった反響の声も続々と頂いています。
スポーツ庁の室伏広治長官から、「スポーツと防災訓練をかけ合わせた、大変興味深い取り組み。いざというときに、慌てず冷静な判断ができるようになるのではないでしょうか。」(スポーツ振興賞 スポーツ庁長官受賞時)というコメントもいただいています。
スポーツ庁 室伏広治長官 と 代表篠田


現在では、企業とのコラボなど協業にも広げており、様々な形で「防災スポーツ」を活用していこうと考えています。


最後に、「防災スポーツ」を知っていただく、実際に体験、活用していただく機会をさらに増やし、また最近は水害も多発していますので様々な災害に対応したプログラム開発を進め、万が一災害が起きてしまった場合に、自分自身を、周囲の人々を守っていける方を増やしていきたいと思っています。


そして、スポーツ事業会社として、スポーツの価値、可能性を高めていければと思っています。



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