残価設定ローン終了時に乗り替えられない! 納期遅延が生み出した新たなる問題

WEB CARTOP
2023.01.16 17:20
この記事をまとめると
■現在の新車購入事情について解説
■アメリカでも納期遅延が発生している
■日本では納車から1年で乗り換えの提案をしているディーラーも
アメリカでも納期遅延が発生
  “新車の深刻な納期遅延”、すでに聞き飽きたといった人も多いフレーズだが、これは何も日本だけの問題ではない。アメリカでも日本のように1年以上待たなければならないといったような長期間ではないものの、納期遅延が発生している。そもそも、新車が欲しくなったらディーラーへ出かけ、ディーラーが敷地内に大量にストックしている車種のなかから試乗などをしてお気に入りを決めて契約となったら、その日のうちに乗って帰ることができたのがアメリカの新車の買い方(いまはコロナ禍を経てオンライン販売がかなり普及しており、新車を自宅へ届けるデリバリーサービスもあるので、必ずしも店頭に足を運ぶ必要なく新車は買える)。
  この新車の買い方がほぼ崩壊しているというのである。日本では“注文書”と呼ぶように、ディーラーと注文書を交わすと、メーカーの販売代理店であるメーカー系正規新車ディーラーがメーカーへ当該車両の生産を発注し、完成車がディーラーに配車され、エンドユーザーへ納車される、“受注生産販売方式”が大前提(人気車はディーラーストック車両を販売するようになってきているが、いまはディーラー在庫車があってもほんのわずか)。
  しかし、アメリカではディーラーが仕入れた(メーカーがほぼ一方的に完成車をディーラーに届ける)新車のなかから選び、新車を手に入れるところが大きく異なる。現状のアメリカでは、店頭在庫も少なくなかなか在庫車からお気に入りのモデルを探すのが難しい。そこでお客がリクエストを出し、ディーラーがメーカーから配車される予定リストに希望車があれば販売するスタイルが主流とのこと。「納期を早めるために、“この色でこの仕様なら納車早いですよ”とディーラーが誘導することも珍しくありません」とは事情通。
  あくまでメーカーから配車される車両のなかから選ぶことになるので、日本ほどは深刻な納期遅延とはなっていない。また、現状では大量の在庫を抱えないなかで新車販売ができているので、ディーラーとしては経営状態もよく、今後はいまの流れ、つまり買ったその日に乗って帰ることはできないという点では、ある意味“日本式”に近い新車販売スタイルになるのではないかといわれている。
  また日本ほど状況が悪化しない背景には、リースで乗っている人が多いこともあるようだ。「アメリカではリースアップ時期から納期を逆算し、前倒しで新車の入れ換えを検討する動きになっています。リース契約満了に間に合わなければ面倒なことになりますからね」(事情通)。
  日本ではここのところ残価設定ローンにおいてアメリカのような心配をする声が聞かれるようになった。たとえば大人気ミニバンのトヨタ・アルファードが高額なミニバンであるのは周知の事実。中古車でも国内外を問わずに人気を博しリセールバリューも高いので、新車購入時の残価設定ローンの5年払いでの設定残価率は55%ほどとも聞いている。現場のセールスマンに聞くと、「グレード選択などでプランは異なりますが、売れ筋モデルで残価設定ローンを組むと、最終支払回分として据え置かれる残価は240万円ほどになります」とのこと。
納車から1年で乗り換えの提案をしているディーラーも
  設定残価率は中古車相場よりやや低めに保険をかけているので、完済前のしかるべき時期(たとえば5年ローンを組んで、初回車検前後で乗り換えなど/ケースによっては査定額で相殺だけでなくお釣りが残ることもある)に下取り査定額で残債整理し、次の新車に乗り換えるのがベストパターン(アルファード以外でも完済しないのが残価設定ローンの賢い利用法)ともいわれている。しかし、現状ではたとえば現行アルファードから次期型アルファードへの乗り換えなど、多くのケースで、乗り換え予定の新車の納車予定時期の見当すらつかないのが現状となっており、アメリカのように逆算するなど計画的に新車に乗り換えるのはほぼ不可能。そもそも人気のより高いモデルほど、メーカーもディーラーもいつ生産ができて、いつ納車できるのかなど見当もつかない状況となっている。同じモデルでもメーカーオプションの選択の違いで状況がより異なるのほど状況は混乱しているのである。
  新車への乗り換えがスムースにできないからと、支払最終回分となる据置分(設定残価分)の金額に対し再ローンを組み支払いを続け、乗り続けるということもできるが、再ローンの支払期間は2年のみとなっており、2年間で240万円を返済するのはかなり厳しい。残価設定ローンにおける支払最終回の清算方法は、たとえばアルファードならば、トヨタ車への乗り換え、車両の返却、再ローンから選ぶことができる。現状では新車の多く(とくに人気車)の納期が読めないなかではスムースな新車への乗り換えはできない。しかし再ローンを組んでの返済継続はかなり厳しい。そうなると、車両を返却して清算となるので、一時的にマイカーのない状況か、中古車でつなぐことになる(といっても中古車も現状ではタマ不足でしかも価格は高め)。
  アルファードを例にしたが、残価設定ローンはすでに新車販売の6割で利用されているともいわれているので、ほかの車種でも同種の問題が発生しかねない。そもそも残価設定ローンは、同メーカー車への乗り換えを促進し、顧客の囲い込みを目的として開発された商品であり、現状では新車販売促進効果も薄れてしまうともいえる。中古車不足で下取り査定額は全体的にも底上げ基調となっているので支払途中での乗り換えでは好機到来ともいえるが、いざ乗り換えとなってもお気に入りの新車が1年待たないと納車にならないとか、新規受注停止では話にならない。ローン支払い途中で所有権留保されていても買い取りに応じてくれる専業店もあるが、とにかくすぐ乗り換えられる新車は限られるのが現状。納期優先で選んだとしても平時よりは数カ月ほどは納期が遅延しているケースがほとんど。
  そこで販売現場で話を聞くと、前出のアルファードでは、納車後1年経ったお客にすでに次の新車への乗り換えを勧めているとのこと。「2022年にトヨタRAV4の新車が納車になったお客様で、2022年中に次の新車としてトヨタ・ヴォクシーを発注した方もいらっしゃいます。ノア&ヴォクシーは一時的に納期が縮まっておりますが(本稿執筆時点)、直近まではオプション次第では納車予定が2024年末ごろまで遅延していました。これだけ世界情勢や経済が混乱しているなかでは何が起こるかわからないので、再び納期が延びても不思議ではないとのことでした」とは現場のセールスマン。
  前述したように、海外では在庫販売が主流である、日本国内における欧米車、いわゆる輸入車でも在庫車販売が基本。いくつかの輸入車ブランドで聞いた限りでは一部人気車(メルセデスベンツGクラスなど)を除けば、ほぼ平時並みといっていい納期となっているので、いままで日本車しか乗ってこなかった人で輸入車に興味があれば、輸入車に乗り換えやすい状況にあるともいえ、これもまた好機到来といえるだろう。

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