新車はかつてのように「お買い得なタイミング」がない! イマドキはいつ買っても条件にほとんど差がなかった

2024.03.20 06:20
この記事をまとめると
■かつて新車ディーラーでは年度末などの増販期になると大幅値引きを行っていた
■バブル経済崩壊以降はディーラー利益が減って値引き額も減少、最近の物価高騰がさらにディーラー利益を圧迫
■現在は増販期とそれ以外でほとんど購入条件に差はないため、欲しいときに商談しても損することは少ない
かつては増販期に大幅値引きを行うのが定番だった
  事業年度末や事業年度締めでの上半期末となる9月、そして暦年締めでの年末となる12月などは「増販期」とも呼ばれ、新車をより好条件で購入することができる時期とされている。過去には車両本体価格(メーカー希望小売価格)からの値引きが増販期にはとくに大きくなっていた。そのように値引き額が年間を通じて乱高下するため、「車両本体価格」ではなく「メーカー希望小売価格」という表現にいまはなっている(ここではわかりやすく車両本体価格という表現を使う)。
  車両本体価格からの値引き原資は販売するディーラーの利益からとなるのが一般的。バブル経済のころは車両本体価格におけるディーラー利益も厚みがあり、そこから数十万円レベルの値引きを行っても、とにかく販売台数がハンパなく多かったので(ざっくり現状の倍程度の市場規模)、派手な値引きをして乱売しても、ディーラーでは十分な利益を確保できていたのである。
  しかし、バブル経済の崩壊とともにディーラー利益は削られる一方となった。エアバッグやABSなど標準装着するデバイスが増えてくるなど、新車の製造コストが上がり、それなりに車両本体価格も上昇傾向となった。モデルチェンジのたびにコストアップ分などを車両本体価格に反映するのだが、それでも十分コストアップを吸収できるほどではないので、ディーラー利益分が削られることとなり、車両本体価格からの値引きも相対的には抑制されるようになってきた。
  ただし、アルファードのようにそもそも車両本体価格の高い高級車は「高収益車種」とも呼ばれるモデルとなり、ディーラー利益もコンパクトカーなどに比べれば十分確保することができた。そして先代アルファードは、とにかく爆発的に売れた。ある暦年締め年間新車販売台数では10万台強を販売するなど、とにかく売れまくった。
  再販価値も投資対象と見る人がでてくるほど高値安定していたので、残価設定ローンを利用して新車購入してもらえば、完済後や返済途中でディーラーが引き取っても自社で再販売したり、転売しても十分利益が取れたので、モデル後半には70万円引きなどという値引き額も飛び交っていたが、このようなケースはかなりレアなケースとなっている。
  そしてさらに、昨今の物価高騰がディーラー利益をさらに圧迫した。輸入車はすぐに数十万円レベルの車両価格アップで対応したが、日本車は物価高騰分に対応できるような「値上げ」になかなか踏み込めないなか、仕方なくディーラー利益を削って対応した。
ディーラー利益が圧迫されたいまはいつ買っても条件はほぼ同じ
「そもそも、いまのような物価高騰が訪れる以前から年間を通じて車両本体値引きに“波”のような、つまり増販期だからといって車両本体値引きがアップするということはなくなり、年間を通じてほとんど変化しなくなりました。増販期に好条件になるのは用品サービスの充実や、下取り査定額の一律アップなどの“特典”があったからです」とは事情通。
  車両本体価格からの値引きについては、トヨタ車がすでに車種によって原則ゼロや数万円程度といった抑制傾向となっており、国内販売トップメーカーのこの傾向は、他メーカーにも程度の差こそあれ波及しつつあるものと筆者も実感している。
  新車を売っても利益がほとんど得られないなか、ディーラーは下取り車や試乗車の再販での利益確保を重視しているので、値引きが足りない分を下取り査定額へ上乗せするといったことも期待できない。
  さらに、販売トップのトヨタを中心に納期遅延がまだまだ続いていることも、いわゆる「値引きの平準化」を加速させている。増販期に大幅値引きなど好条件がとくに期待できたのは、かつて新車ディーラーの多くが抱えていた潤沢な「ディーラー在庫車」があってこその話。しかし、現在の新車生産状況は、ディーラーが「見込み発注(お客が注文する前に先行してオーダーをかけること)」して自社にストックするということはまだまだ厳しいのが現状となっている。ホンダ系ディーラーあたりで聞くと、「あらかじめ月々決められた生産枠があり、そこから溢れれば翌月生産扱いになる」という流れになっているということであった。
  つまり、ディーラーとしても、注文をもらったのはいいのだが、その新車がいつの販売実績になるのかというのが読み切れないので、増販期にセールをやるといってもある程度、工場からの出荷時期が読みやすいモデルに限定してセールを行うことも多い。
  つまり、ここでいいたいことは、現状では「年度末は買い得だからそれまで購入を待つ」といったことはせずに、欲しくなったときに商談を行って条件が合えばそのまま契約しても、増販期と購入条件で大きな差はないというのが現状ということである。

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