夏の年中行事であるお盆に、法事で帰省したり、お墓参りをしたりする人も多いのではないでしょうか。でも、実はその期間がいつからいつまでなのか、はっきり分からないという人もいるのでは?この記事ではお盆の期間や由来を解説するとともに、お盆に食べられている郷土料理のレシピも2つ紹介します。
お盆の期間は?
現代の暦では、8月13~15日(旧暦だと7月13~15日)をお盆といいます。
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お盆自体は、法律で制定された「国民の祝日」ではありませんが、最も近いタイミングだと、8月11日の「山の日(※1)」があります。
1 2016年に設けられた最も新しい国民の祝日(2024年12月現在)で、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日とされています。
お盆とは?
祖先の霊を供養する仏教行事です。お墓参りをしてごちそうをお供えし、祖先の霊を慰めます。「精霊棚(しょうりょうだな)」を設けて野菜や果物などをお供えし、お盆に帰ってきた祖先の霊をおもてなしします。祖先を弔うための盆踊りも行われ、現在も民俗芸能のひとつとして各地で継承されています。
精霊馬とは?
お盆に飾られる、きゅうりやなすに割り箸やつまようじの足を付けたお供え物です(※2)。祖先の霊が、あの世とこの世を行き来するために使う乗り物とされています。
・きゅうり
足が速い「馬」に見立てて、あの世から早く家に戻って来ることができるようにという願いが込められています。
・なす
歩くのが遅い「牛」に見立てられ、少しでもゆっくりこの世から帰ってもらえるように、またお供え物などをたくさん持ち帰ってもらえるように、といわれています。
2 意味合いや置き方、飾る時期などは地域によって異なります。
お盆の郷土料理レシピ2選
お盆に食べられているご当地料理を紹介します。
●精進汁
岩手県奥羽市江刺管内に伝わる、お盆に必ず食べられている汁物。旬の野菜を使って、昆布だしと醤油で味付けした精進料理で、使う具材の種類は奇数(=縁起の良い吉数)とされています。
材料(作りやすい分量)
ごぼう:1本(約30cm)
にんじん:小1本
じゃがいも:中2個
いんげん:少々
昆布:1本(約60cm)
こんにゃく:1丁
豆腐:1丁
油揚げ:1枚
[A]
酒:大さじ2
みりん:大さじ3
醤油:大さじ3
作り方
昆布は水1リットル(分量外)で戻し、縦半分に切って、結び昆布を作る。
1の水に、結び昆布を入れて煮る。
ごぼう、にんじん、じゃがいもは、斜め切りにする。
こんにゃくは下茹でし、厚めの短冊切りにする。
油揚げは油抜きして、大きめの短冊切りにする。豆腐は食べやすい大きさに切る。
2にごぼうを加え、その後にんじん、じゃがいも、油揚げ、こんにゃくを入れて煮る。ごぼうがやわらかくなったら、豆腐を加える。
Aで味付けし、火を止める。30分程度おいて味をしみ込ませる。
やわらかく茹でたいんげんを彩りに添える。
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お墓参りの際には、精進汁から具だけを取り出して蓮の葉にのせ、なすやきゅうりなどと一緒に墓前にお供えします。盆棚にも同様にお供えします。具材を取り出してお供えするため、野菜が煮崩れしないよう煮詰めずに、火を止めて味をなじませます。
●じんぷく汁
三重県の北勢地方で、お盆にお供えする料理として作られます。お盆には殺生をしてはいけないといわれていることから、かつお節を使わずに、油でよく炒めてコクを出し、みょうがやネギなどの薬味と一緒に食べます。
材料(4人分)
なす:1本
みょうが:1個
ネギ:お好みで
切り昆布(糸昆布):15g
油:大さじ1
たまり醤油(または醤油):20ml
水:200ml
こしょう:少々
作り方
水で戻した切り昆布をよく洗って、砂やごみを取る。
なすは縦半分にしたものを横半分に切り、さらに縦に切る。
1と2を油でよく炒める。
3に水を入れて、たまり醤油で味付けする。
食べる直前に、みょうがのせん切りとこしょうを入れる。お好みでネギの小口切りを加える。
最後に
お盆の風習やお供え物を紹介しました。各地に伝わるお盆料理も作ってみてください。
[なす]あく抜きや切り方から、焼きなすまで料理の基本
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深みのある鮮やかな皮の色が「茄子紺」と呼ばれるように、日本では昔から親しまれ、地域ごとにさまざまな品種が発達しました。
どんな調味料ともマッチするのは、味にクセがないことと、果肉に細かい空気の隙間があるスポンジ状のため。油や調味料、だしをよく含み、おいしくなります。
最終更新:2025.06.25
文:アーク・コミュニケーションズ
写真(撮影):清水亮一(アーク・コミュニケーションズ)
写真(撮影協力):吉田めぐみ
監修:カゴメ
出典:
国立国会図書館「JAPAN SEARCH お盆」(お盆の期間と由来)
内閣府「各『国民の祝日』について」(山の日)
農林水産省
「Facebook 2016年8月13日 【キュウリの馬。ナスの牛】」(精霊馬について)
「うちの郷土料理」盆汁 三重県(お盆に食べてはいけないもの)
JAグループ「旬を味わう(お手軽レシピ) JA江刺女性部」(精進汁)
みえ食文化研究会、三重県健康福祉部健康づくり室「美し国みえの食文化」(じんぷく汁)