トランスジェンダーのリアルに触れる短編漫画作品集『となりのとらんす少女ちゃん』

2025.04.30 12:34
合同会社在野社
トランス当事者自身が描く、市井を生きる「とらんすちゃん」の物語。新鋭・とら少、渾身のデビュー作!
『となりのとらんす少女ちゃん』書影(カバー表1)

2025年5月14日、合同会社在野社(本社:静岡県沼津市高沢町1-9-1110、代表・編集責任者:浅野葛)は、「Premier Comics 100」(読み;プレミアコミックス・ワンハンドレッド)レーベルの第1作として、『となりのとらんす少女ちゃん』(以下、本書と記述)を発売します。本書は、SNS上でトランスジェンダー(女性)が登場する漫画作品を数多く発表し、セクシャルマイノリティ当事者を中心に共感の輪を広げてきたとら少の初単行本となる短編作品集。全国の書店およびネット書店で購入可能です。また電子書籍としても10を超えるストアで展開予定です。

内容紹介
とら少(以下、著者と記述)は、自身がトランス当事者だからこそ持ちうるリアリティを、鋭い観察眼と一線級のストーリーテリングにより重厚かつ新鮮な読み口の漫画作品として昇華、Twitter(現・X)、pixivといったSNSやクリエイター向けプラットフォームに発表し、デビュー前ながら着実にファンを増やしてきました。

プライべートの多忙から一時は漫画制作を断念しようとしていたものの、単行本化を熱望する声にこたえ活動を再開。出版にむけて実施されたクラウドファンディングでは開始初日に目標額を達成するなど、いま注目を集める漫画家のひとりです。

商業デビュー作となる本書では、SNS発表時に大きな反響を呼んだ3篇のリメイクと書き下ろし1篇が収録されます。
読者層は主にセクシャルマイノリティ当事者を想定するものの、生き生きとした人物描写や豊かな感情表現、人間という存在を深く浮き彫りにする力強いストーリーは、読み手の属性を限定しません。トランスジェンダーについての理解を深めたい読者にとってもおすすめできる一冊です。
「退廃的なとらんすちゃん」
「未来から来たとらんすちゃん」
著者:とら少(読み;とらしょう)大阪出身。トランスジェンダーの女性。学生時代に漫画制作を開始。大学在学中の2014年よりTwitter(現・X)やpixivなどのSNS上にて作品の投稿を続け、注目を浴びる。
2019年発表の「未来の自分に女になるよう説得される話」は有志の手によりスペイン語、中国語など、多言語翻訳された。2025年刊行「となりのとらんす少女ちゃん」(在野社)で商業デビュー。




目次
1.退廃的なとらんすちゃん
2.弟はとらんすちゃん
3.未来から来たとらんすちゃん
4.似つかわしいとらんすちゃん(書き下ろし)


帯文
虹色に光ることもなく、ピンクとブルーに別れることもない、トランスの生を一度は満たす灰色の感情がただよっている。
――高井ゆと里(倫理学者『トランスジェンダー入門』)

「わかりやすい物語」の先にある、現実のトランスジェンダーのリアリティに触れる、新鮮な経験。
――三木那由他(哲学者『言葉の展望台』)

▶︎高井ゆと里さんコメント全文
▶︎三木那由他さんコメント全文
『となりのとらんす少女ちゃん』カバー表4

収録作品紹介
・相川と園木は同じ学科の同級生。園木は相川に好意をもち、相川もそれに気づいているが、のらりくらりとかわす。実は相川には他の同級生には言えない秘密があって、園木の好意に応えることもできない。その夜、園木から飲み会に呼び出される相川だが--(「退廃的なとらんすちゃん」)

・男子中学生・りょうとには友人を家に呼べない理由がある。弟・あゆむが「オカマ」だからだ。そのせいで友人にからかわれ、気苦労が絶えない毎日を送る。ある日りょうとは、発表課題を仕上げるために、片思いしている美羽を家に招くことになり--(「弟はとらんすちゃん」)

・ある日、サッカー少年・ユウタの家を訪ねる若い女性。ユウカと名乗る彼女は「性別移行した未来のユウタ自身」だという。男性として成長するまえに早く性別移行を始めろと迫る”未来の自分”に、「オレは女になんかならない」と譲らないユウタだが--(「未来から来たとらんすちゃん」)

・クラス委員長のショウタは、みんなの期待どおりに生きる「優等生」。自分とは真逆で、男らしくできない副委員長のヨシくんに苛立ちを隠せない。「なんでぼくはこんなにムカつくんだ」。自問するショウタの心の奥底にあるのは、いまだ消せない幼馴染の美咲とのわだかまりだったーー(「似つかわしいとらんすちゃん」)
「退廃的なとらんすちゃん」
「弟はとらんすちゃん」
「未来から来たとらんすちゃん」
「似つかわしいとらんすちゃん」
◀︎試し読み
版元・担当編集者より
著者は、当事者である自身の体験をもとに、トランスジェンダー(女性)の登場する漫画作品を多く生み出してきました。それまでのトランスジェンダーを扱う作品群とは一線を画すリアルな視点が清新な感覚をもって受け入れられ、着実にファンを増やしています。

「ずっと男の子になりたかった」「ありのままって、なに?」「オレは女になんかならない」
――このようなセリフで紡がれる著者の作品のトランス当事者たちは、生得的な性別(からだの性別)と"自認する性別"(こころの性別)が一致しないという不条理として表現されてきた従来のトランスジェンダー像(性同一性障害当事者を含む)に当てはまりません。
見えにくく、揺らいでいる実際のトランスジェンダーの一様でない性のありようを鋭い観察眼で紐解き、繊細なタッチにより再現することに成功しています。
実際には女性として生きることを選んだにも関わらず、「男性のまま生きられたらどうだっただろうか」という妄想に捕らわれてしまう主人公・相川。(「退廃的なとらんすちゃん」より)
(自分自身を女性だと思っているのに)他者のまなざしにさらされ「女の子ではない」と本心にはないことを言ってしまう主人公の弟・あゆむ。(「弟はとらんすちゃん」)


著者の作品のもうひとつの特徴として、それらのほとんどがコミックエッセイではなく、あくまでフィクションであるということです。
フィクションとしてトランスジェンダーに向き合う物語は、漫画以外のジャンルを合わせても多くはありません。それも当事者自身の手によるものに限定すると僅少です。

エッセイの魅力を否定するわけではありませんが、虚構を用いてしか描けないものがあることもまた事実です。
本書収録「未来から来たとらんすちゃん」などはその例のひとつで、「もし過去のある地点に戻れたとしたら当時の自分にどのようなアドバイスを送るか」という誰もが持ちうる空想を土台に、二次性徴や家族/友人関係の葛藤など、トランスジェンダーの多くが成長の過程で経験する「あるある」なイベントをなぞりながら、しかし最終的には単純な歴史改変というプロットに頼らず「現在」の意味を逆説的に浮き彫りにします。この骨太のストーリーはまさに、フィクションの力がもたらす醍醐味と言えるでしょう。
本書の登場が、日本の漫画シーンにあたらしい風を吹き込むことを確信しています。
女性に性別移行した”未来の自分”が、移行前の過去の自分自身に会いにくる「未来から来たとらんすちゃん」。



出版に先がけ実施されたクラウドファンディングでは、『言葉の展望台』(講談社)等の著作で知られる三木那由他さん、『トランスジェンダー入門』(集英社)を共著した高井ゆと里さんと周司あきらさんなど、各界で活躍する著名人が応援コメントを寄せてくれました。
これらの著名人の間でも「とら少」の名前はよく知られていて、そのために快く許可をいただいたという経緯があります。
コメントの後押しもあり、最終的には総数271名、総額2,028,700円というご支援に恵まれました。

周司さんのコメントは、このような一文からはじまります。「ようやく本になると知った日は、興奮して眠れませんでした。SNSがトランスヘイトに溢れてからも、漫画が更新されるのは一縷の望みだったのです」。

「作品を生むことが、希望」。
誰かにそうまで言わしめる表現者は、それだけで稀有なものです。
出版社の仕事はまず第一義に、このような才能をすくい上げ、それを求めるひとのもとへ届けることにあると考えます。

著者の真摯な筆致から立ち上がる本書が、今日のトランスジェンダーをめぐる政治的な争いを越え、出版文化の希望それ自身となることを切に願います。

▶︎周司あきらさんコメント全文
浅野葛(合同会社在野社/”葛”は”かつら”と読む)
1983年静岡県生まれ。映像制作者としてキャリアを積む一方、小説を執筆し文芸新人賞に投稿を続ける。
2024年に在野社を設立。本書が書籍編集者としての”デビュー作”となる。

文学フリマ東京40で先行発売決定!
5/11(日)東京ビックサイト(東京都江東区)にて開催される文学フリマ東京40で、5/14(水)の一般発売日に先がけ本書を発売します。

本の書き手と読み手が直に触れ合える場として発展を遂げてきた文学フリマは、近年では小規模な版元などもこの輪に加わりさらなる盛り上がりを見せています。
在野社の出展ブースでは、本書の著者であるとら少も参加予定!
ゴールデンウィークのグランドフィナーレとなる日曜、ぜひ足を運んでみてください。

【文学フリマ東京40開催概要】

開催日時:5/11(日)12:00~17:00
(最終入場時間 16:55)

場所:東京ビックサイト 南1−4ホール
東京都江東区有明3丁目11-1
東京臨海高速鉄道「りんかい線」「国際展示場」駅(R-03)から徒歩約10分
東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」「東京ビッグサイト」駅(U-11)から徒歩約3分

入場料:1000円

在野社ブース位置:け-23

▶︎詳細 
▶︎文学フリマ東京40 
▶︎在野社Webカタログ 
書誌概要
著者:
とら少
レーベル:
Premier Comics 100(プレミアコミックス・ワンハンドレッド)
【巻次】01
発行所:
合同会社在野社
装丁:
はちみつちひろ(小月デザイン)
ブックデザイナー。1991年生まれ。お好み焼きが好き。 ポートフォリオ▷
印刷・製本
藤原印刷株式会社
版型:
A5版 カバー・帯あり
【色数】本文:スミ1色 表紙:特色1色 カバー・帯:4色 
ページ数:
192ページ
定価:
1650円(本体価格)+税
ISBNコード(13桁):
978-4-9913920-0-9
Cコード:
C0079
0:一般>0:単行本>79:コミックス・劇画
ジャンル:
コミックス(青年向け)
初版発行日:
2025年5月9日
初版発売日:
2025年5月14日
流通:
(株)鍬谷書店扱い→トーハン・日販・他、全ての取次帳合に納品可能。
2025年4月現在、書店もしくは書籍を扱う飲食店・雑貨店等に限り直取引も可能(
経由または
よりご注文)。

関連リンク
▶︎「となりのとらんす少女ちゃん」出版クラウドファンディング 実施ページ(2024年11月23日に支援の受付を終了) 
▶︎版元ドットコム・書籍紹介ページ 
▶︎公式サイト内書籍紹介ページ 
▶︎鍬谷書店(取次) 
▶︎「一冊!取引所」在野社詳細ページ 
レーベル概要
100人、100の地点、100のものがたり。「プレミアコミックス・ワンハンドレッド」は、新人/プロの限りなく、価値のある漫画作品をコレクションするレーベルです。
同様にジャンルやテーマも不問ですが、レーベルを通して刊行する作品は漫画家1名につき1作品のみというのが特徴です(複数巻刊行作品は除く)。




出版社概要
合同会社在野社(ザイヤシャ)
2024年5月、静岡県沼津市に設立。「そこに、息吹が、あれば。」 をミッションに掲げ、志をもつ作り手と共鳴し、真に価値ある書籍や視聴覚コンテンツ(音声・映像)を出版する。『となりのとらんす少女ちゃん』が会社を挙げて初の刊行物となる。
【所在地】静岡県沼津市高沢町1-9-1110 【設立日】2024年5月9日 【代表社員】浅野葛 【資本金】50万円 【事業内容】書籍および音声・映像等創作物の出版 各種クリエイティブの制作請負 飲食店の運営 ▶︎Webサイト 

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