2024年11月、第一三共ヘルスケアはスポーツ向けプロテイン・サプリメントブランド「DNS」を譲受し、事業をスタートさせた。当社はこれまで医薬品から機能性スキンケア・オーラルケア・食品へと多岐にわたる事業領域を展開し、「科学的根拠に基づいた製品開発」と「健康でありたいと願うすべての人々のQOL(生活の質)の向上」を目指してきた。「DNS」ブランドを取得することで、スポーツ領域においても人々の健康増進に貢献することが可能となった。
これまでトップアスリートの認知度100%を目標としてきた「DNS」だが、プロテインは近年新たなフィールドとして、プロだけではなくスポーツを楽しむ一般生活者のニーズも高まっている。「DNS」の人気を支える品質、味、効果へのこだわりと、プロテインやサプリメントを必要としている方に対するアプローチの展望をDNSのマーケティング・営業担当の鈴木に聞いた。
―アスリートの進化を支える「DNS」の理念と魅力
「DNS」は、2000年に株式会社ドームが開発したアスリート向けのプロテインパウダーやドリンク・サプリメントブランド。その誕生の背景には、プロテインを積極的に摂取している海外アスリートの存在があった。
鈴木:「DNS」は、海外アスリートの栄養やサプリメントに対する意識、リテラシーの高さに触れた株式会社ドームの初代代表 安田秀一が、「国際舞台で活躍するためには、日本のアスリートにもそれらが不可欠」という危機感と使命感をもってスタートさせたブランドです。「人を進化させる。」をミッションに、瞬発力を上げる、ベンチプレスをあと1回多く上げられるようにする、といった、個々の運動機能をより向上させるために幅広いラインアップを展開してきました。
製品にはプロテインやサプリメントのほか、EAA(必須アミノ酸)などがあり、種類や成分もさまざま。これらの豊富な製品ラインアップがアスリートから高く評価されている。
左から「プロテインホエイ100」「ビタミンスーパープレミアム」「EAA PRO」
鈴木:「DNS」とは、”Dome Nutrition System”の略。これには、「DNS」が製品の提供にとどまらず、科学的根拠に基づき栄養の重要性などの啓発・教育活動も含めて“システム”として考えるという矜持が込められています。
―目的に合わせて選べるラインアップの豊富さが、アスリートを中心に高く評価されている理由
鈴木:アスリートの方が抱える身体づくりの課題や理想、必要な栄養素はそれぞれ。「DNS」はラインアップが豊富なため、シリーズ内で自分に必要な栄養をチョイスして組み合わせられるのが、便利で使い勝手がいいと好評です。加えて、目的に合わせた栄養を摂取できるよう、例えば身体づくりを促進するHMB カルシウム、身体を守るグルタミン、栄養を行き渡らせるNOブースター(アルギニン、シトルリン)も入ったオールインワンタイプの「ホエイプロテインSP」などもあります。
「ジェルエックス」もおなじくオールインワンタイプ。“朝食代わり”がコンセプトのプロテインゼリーだ。開発のきっかけはユーザーの声だったという。
鈴木:「ジェルエックス」は、朝が早いゴルファーからの「朝食を満足にとれない」という悩みから生まれた製品です。1つで卵3個分以上のタンパク質と9種類のビタミン・ミネラルを含み、「とりあえず飲んでおけば安心してプレーに専念できる」を叶えました。
―INFORMED-CHOICE認証取得。「DNS」がこだわる味と安全性
2016年、「DNS」は英国のLGC社が運営するアンチ・ドーピング認証プログラムINFORMED-CHOICE(インフォームドチョイス)を導入した。アスリートが積極的に飲み続けられるように、「DNS」は味や効果だけでなく、安全性もとことん追求している。
鈴木:「DNS」は全製品(*)にINFORMED-CHOICEを導入しているので、どの製品もドーピングになるリスクがなく、安心して摂取いただけます。さらに、栄養として有効な量をキープする、また科学的根拠のある成分のみを使うことも徹底しています。科学的根拠の情報は、日々進化していくもの。「DNS」では情報が更新されれば、都度製品に反映しています。また、昔のプロテインは味が二の次になっていて、我慢して飲むものというイメージがあったかもしれませんが、「DNS」は「飲みたい」と思えるように、飲み物としてのおいしさにも力を入れています。
*プロテイン、サプリメント製品として
―選手の悩みに寄り添い、理想の身体づくりをサポート。「DNS」がアスリートに選ばれるまで
鈴木はこれまで全国のプロチームやクラブチーム、高校や大学の部活の場に足を運び、選手やトレーナーの声を聞き、さらにサプリメントやスポーツ栄養学についての講習会、試飲会などにも取り組んできた。
鈴木:特に海外の現場を知っている選手はサプリメントを必要としている人が多く、選手のリクエストからチームでの導入に至ったケースもありました。INFORMED-CHOICEを導入しているので、私たちも自信を持って提案できています。プロ野球やJリーグでは、多くのチームに使っていただいています。
競技によって選手が必要とするエネルギー量やカルチャーが異なるため、さまざまなスポーツの現場に対応していくことの苦労もある。
鈴木:DNSの担当者にはスポーツ経験者も多く、私自身も学生のときにやっていたラグビーの知識があります。担当者間でお互いの知見を持ち寄って取り組んでいますが、やはりスポーツによっては必要な知識が異なる。そうしたときにはプロの方にも積極的に話を聞いて勉強しています。とはいえ、身体の構造は同じ。土台となる栄養を伝えつつ、各スポーツの運動パターンなどを学び、彼らへの製品提案に活かしています。
また、自分に必要な栄養をイメージできているプロのアスリートと、これから身体をつくっていく高校生のアスリートに対してもアプローチの仕方は変わるという。
鈴木:高校の部活には、監督やコーチからオファーをいただく形で講習会を行っています。彼らには、大切なのは毎日の食事から摂る栄養であること、そのうえで「なぜサプリメントが必要なのか」ということを話しています。プロのアスリートを目指す中学生や高校生は、まずは量を食べて胃や腸を鍛え、吸収量を増やしながら身体を大きくする必要があります。それでも求められる栄養をすべて食事で賄うのは難しい。なので「DNS」はそのサポートをしていきたいと思っています。学生向けの講習会には、保護者が参加されることもあり、「何を食べさせたらいいか」など相談をしてくれるので、コミュニケーションが取りやすいです。
スポーツの現場には、アスリートの十人十色の悩みと喜びがある。
鈴木:怪我をしやすい、体重が増えない、筋肉がつかない、食事の量が食べられない……。選手一人ひとりの悩みにその場でピンポイントに対応していくのは大変ですが、その分、「怪我をしたときにサプリメントを摂ってみたら回復が思ったより早かった」「教えてもらったとおりにサプリメントを飲んだら体重を増やすことができた」といったお喜びの声が聞けるのは大きな励みになります。また、「DNS」を活用してくれているチームが優勝したりすると、チームの一員になった気持ちで喜びを分かち合っています。
―第一三共ヘルスケアのブランドとして、「DNS」が目指す未来
現在鈴木たちは、ラグビー、アメフト、サッカー、野球、バスケットボールのチームにアプローチしているが、今後「DNS」の認知度を高めていくために、より多くのスポーツとその選手、そして新たなフィールドにも活動領域を広めていきたいと考えている。
鈴木:競技人口が比較的少ないスポーツの選手が「DNS」を取り入れることでパフォーマンスが向上し、その選手やスポーツが注目されて競技人口の増加に貢献できたら、というのはずっと思い描いています。メジャーなスポーツでは、バレーボールも未開拓。世界的には野球より競技人口が増えてきているといわれ、今後さらなる盛り上がりが期待されているバレーボールの世界にも「DNS」を知ってもらいたいです。
これまでプロテインは、プロのアスリートのものというイメージがあったが、一般生活者でもニーズが高まり、ユーザーの裾野は広がりつつある。「DNS」を一般の人にとっても身近に感じていただき、製品を手に取っていただくためにできることがあるのではないかと鈴木は語る。
鈴木:コロナ禍の影響から自宅でトレーニングする人が増えたり、ジムのトレーナーがSNSで栄養情報や自分が飲んでいるプロテインを紹介したりすることで、感度の高い人たちを中心にタンパク質の必要性や効果に対する注目が高まった印象があります。実際にプロテインはアスリートだけではなく、みなさんに日常的に取り入れてほしいもの。爪や髪、肌のケアにもなりますし、食べる量が減っている高齢者の捕食、夏バテ対策としても有効です。そういった健康のサポートになることも発信していきたいです。
今は、第一三共ヘルスケアの強みを最大限活用して、これまで「DNS」をあまり知らなかった方たちにもアプローチできるよう準備を進めています。また、一般の人には、ビタミンやミネラル、鉄も摂取できるプロテインがあると、より親しみやすいかもしれません。そういった製品開発も含め、アスリートはもちろん、健康を願うすべての人のそばに「DNS」がある未来を目指します。
すべての人の健康をサポートすることを目指す。「DNS」の新たな挑戦は始まったばかりだ。
<関連情報>
◆第一三共ヘルスケア株式会社について
第一三共ヘルスケアは、第一三共グループ(※)の企業理念にある「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という考えのもと、生活者自ら選択し、購入できるOTC医薬品の事業を展開しています。
現在、OTC医薬品にとどまらず、機能性スキンケア・オーラルケア・食品へと事業領域を拡張し、コーポレートスローガン「Fit forYou 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。
こうした事業を通じて、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」を推進し、誰もがより健康で美しくあり続けることのできる社会の実現に貢献します。
※ 第一三共グループは、イノベーティブ医薬品(新薬)・ワクチン・OTC医薬品の事業を展開しています。